米連邦公開市場委員会(FOMC)利上げ後の影響
(1)NY株安が止まらず、為替はドル全面安に
NYダウは、FOMC利上げ前日の18日終値23,675ドルから2日間で約800ドルの下落(終値22,859ドルで▼3.5%)、20日のザラバ安値では1,031ドル安(▼4.4%)までありました。10月初旬の年初高値26,951ドルからは約▼16%の調整になっています。
為替は約7週間の揉み合い続けた112円〜114円レンジを抜け出し、9月中旬まで遡る111円〜114円レンジ方向で推移しています。
(2)株安の懸念材料になったのは?
下図の赤い線は米FRBが保有する債券の合計額です。量的緩和実施により最大時4兆1,400億ドルまで膨れ上がりましたが、2017年10月以降の資産縮小で3,650億ドル減少しています。
⇒今回は株価大幅下落の1要因としてこのテーパリング政策が挙げられています。
(チャート出所:FRB)
資産縮小は毎月500億ドル減少させることが出来るとしています。そしてFRBは量的緩和第3弾を開始した2012年以前の数値(上図のオレンジライン)である3兆ドル未満まで順次縮小したい旨を明確にしています。テーパリングは毎月最大で500億ドルですから年6,000億ドルになり、少なくとも2019年には目標とされる3兆ドル以下とはなりません。
これに対し、FOMC前にエコノミストが株価下落を食い止めるためにFRBが打ち出せる1案として次の項目がありました。「量的緩和で実施した購入済国債の満期日に償還減を打ち止めし、再投資する」と。
しかしながら、パウエルFRB議長はテーパリングを継続する旨記者会見で述べています。日米欧の量的緩和により、世界中に大量の資金がばら撒かれ、その現金回収を米国は意図しているので、エコノミストはこの政策を止めるのが重要とコメントしていました。
結果、多くのエコノミストは「バランスシートの縮小計画の継続を市場は懸念しているが、FRBはこれに対して音痴(意を解さないい)だった」と指摘しています。
特に、米運用会社Natixis投資会社の主任エコノミストは「誰もが何故市場が沈んでいるのかの理由を探している。量的緩和からの引き締め政策への非難はまさしく主要ステージの事態である」とコメントしています。
来年以降のFOMCではこのテーパリング政策の継続性の有無について蒸し返されると思います。
(3)その他の懸念事項
@クレジットカードの債務が1兆ドルあり、単純に計算して25ベーシスの利上げで25億ドルの支払い増になる。実際はプライムレートに上乗せされるので、これより大きくなる可能性高く、この分は消費が縮小すると計算しています。
ANed Davis調査グループは、世界の中央銀行の半分以上が引き締め政策に転じており、株価には悪影響となると過去の調査をもとに分析しています。
(2108年12月21日 13:50、1ドル=111円35銭、1ユーロ=1.1449ドル)
オーダー/ポジション状況
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