【概況】
11月6日夜の米中間選挙投票中に10月31日高値113.38円をしっかりと上抜き、ダブル天井破りの姿勢を見せた。7日朝からの開票速報に当初は民主党優勢報道でドル安となって113円を割り込み、その後の共和党接戦へ挽回報道でドル高となって113.81円まで上昇して10月26日以降の高値を更新、ドル高一巡後はもう一度113円を割り込んで112.93円の安値まで下げたが、深夜には米国株高を背景にドル高感が再燃して113.50円超えまで戻してきた。
【米中間選挙、予想通りで楽観的株高】
米中間選挙は予想通りに上院を共和党が押さえ、下院は民主党が過半数を獲得するねじれ現象を発生させた。共和党は下院で敗れたとはいえかなりの接戦に持ち込んだこと、中間選挙では与党が負ける事が多く、オバマ前大統領も1期目の中間選挙で下院の過半数割れ、クリントン元大統領時代には上下両院で過半数割れしたもののいずれもその後の大統領選挙では再選している。
株式市場は選挙結果を想定内として株高基調回復期待から上昇、NYダウは前日比545.29ドル高、ナスダック総合指数も194.79ポイント高と大幅上昇した。開票直後には米10年債が一旦買われたがその後は株高で売られ、米10年債利回りは終盤の上昇で選挙前水準まで戻し、10月9日の高値3.261%に迫る3.237%となったが株式市場は特に警戒した動きを見せずに大幅高のまま終了している。
メジャー通貨の加重平均であるドル指数は10月31日から下落していたが、開票当初に安値を更新した後は戻している。日経平均は開票速報につられて前日比プラスマイナスを往き来した後に61.95円安で終了していたが、7日夜のNYダウ大幅上昇により8日朝は400円を超える上昇で開始している。総じて株式市場は楽観的な反応へ進み、米長期金利は上昇気配ではあるが株高にブレーキをかけるところには至っていないという状況だ。
トランプ米大統領は7日の会見で民主党との協力姿勢を示したが上院を押さえたことで勝利したとした。大統領弾劾への動きになる可能性があることは予算等を巡ってリスクではあるものの、議会運営には民主党との協調が必要となり、トランプ政権の掲げる米国第一主義・保護主義による貿易戦争問題については大きな逆風にはならないのではないかとみられている。逆に再選へ向けて成果を上げるために強硬姿勢が強まる可能性もあるのではないかと思われる。
7日からは米連銀のFOMCが始まった。9月に今年3度目の利上げが実施されており、議長会見のない今回は現状維持とみられているが、9日未明に出される声明文で12月会合での利上げ確率及び来年の利上げ姿勢についてのニュアンスが注目される。内容次第では米長期債利回り上昇により金利面でドル高を助長するきっかけとなる可能性もある。
【60分足一目均衡表、サイクル分析】
10月26日安値111.37円からの上昇は7日の乱高下も含めて高値更新で継続している。10月4日から26日への下落規模は8月21日への下落時及び5月29日への下落時と概ね同規模であり、いずれも104日移動平均到達から反騰、26日移動平均超えからの続伸で上昇基調を継続してきたため、今回も9日未明のFOMC声明発表を強気で通過すれば10月4日高値に迫る可能性も出てきた印象だ。
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、10月26日深夜安値から4日目となる11月2日朝安値でサイクルボトムをつけて11月5日夜から7日深夜にかけて上昇期に入っていた。7日昼への高値更新と夜間の反落、その後の反騰という展開を踏まえると、31日深夜高値から4日半となる7日昼高値でサイクルトップをつけ、2日朝安値から3日半となる7日夜安値を直近のサイクルボトムとして新たな強気サイクルに入り、次の高値形成期となる12日から14日にかけての間への上昇が想定される。ただし7日昼高値との毛抜き型ダブルトップ形成から弱気転換する可能性があること、FOMC声明後に7日夜安値を割り込む場合は底割れによる弱気サイクル入りとなって12日から14日にかけての間への下落へ進む可能性があることに注意する。
60分足の一目均衡表では8日未明への上昇で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜き返している。先行スパンを上回る内は遅行スパン好転中の高値試し優先とし、両スパン揃って悪化の場合は弱気転換注意とし、7日夜安値割れからは弱気サイクル入りとして遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は7日昼と夜の安値形成時で小規模の強気逆行を示して上昇している。50ポイントを上回る内は上昇継続性ありとし、勢い付く場合は70ポイント台後半を目指す可能性ありとみる。50ポイント割れからは下げ再開注意とする。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、113.30円を支持線、7日昼高値113.81円を抵抗線とみておく。
(2)113.30円を上回る内は7日昼高値試しとみる。毛抜き型ダブルトップ形成の可能性があることとFOMCを控えているので113.80円以上は反落注意とする。FOMC通過等で高値更新から勢い付く場合は114円台序盤試しへ上値目処を引き上げる。
(3)113.30円割れから続落の場合は弱気転換注意とし、7日夜安値112.93円割れからは弱気サイクル入りとして112.50円前後、さらに9日から12日にかけての下落継続で112円台前半を試す可能性ありとみる。
【当面の主な予定】
11/8(木)
未 定 (中) 10月 貿易収支・米ドル (9月 316.9億ドル、予想 350.0億ドル)
未 定 (中) 10月 貿易収支・人民元 (9月 2132.3億元、予想 2370.0億元))
14:00 (日) 10月 景気ウオッチャー・現状判断DI (9月 48.6、予想 48.7)
16:00 (独) 9月 貿易収支 (8月 172億ユーロ、予想 184億ユーロ)
16:00 (独) 9月 経常収支 (8月 153億ユーロ、予想 210億ユーロ)
18:00 (欧) 欧州中銀(ECB)月報
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.4万件、予想 21.4万件)
28:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)、政策金利 (現行 2.00-2.25%、予想 2.00-2.25%)
23:15 (欧) クーレECB理事、講演
11/9(金)
08:50 (日) 10月 マネーストックM2 前年同月比 (9月 2.8%、予想 2.8%)
09:30 (豪) 豪準備銀行(RBA)、四半期金融政策報告
10:30 (中) 10月 生産者物価指数 前年同月比 (9月 3.6%)
10:30 (中) 10月 消費者物価指数 前年同月比 (9月 2.5%)
18:30 (英) 9月 貿易収支 (8月 -111.95億ポンド、予想 -113.00億ポンド)
18:30 (英) 9月 鉱工業生産指数 前月比 (8月 0.2%、予想 -0.1%)
18:30 (英) 9月 製造業生産指数 前月比 (8月 -0.2%、予想 -0.2%)
18:30 (英) 7-9月期GDP、速報値 前期比 (前期 0.4%、予想 0.5%)
18:30 (英) 7-9月期GDP、速報値 前年同期比 (前期 1.2%、予想 1.4%)
22:30 (米) 10月 生産者物価指数 前月比 (9月 0.2%、予想 0.2%)
22:30 (米) 10月 生産者物価指数 前年同月比 (9月 2.6%、予想 2.7%)
22:30 (米) 10月 生産者物価コア指数 前月比 (9月 0.2%、予想 0.2%)
22:30 (米) 10月 生産者物価コア指数 前年同月比 (9月 2.5%、予想 2.5%)
22:30 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演
22:45 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演
23:00 (米) クオールズFRB副議長、講演
24:00 (米) 11月 ミシガン大学消費者信頼感指数 (10月 98.6、予想 97.7)
24:00 (米) 9月 卸売売上高 前月比 (8月 0.8%)
24:00 (米) 9月 卸売在庫 前月比 (8月 1.0%、予想 0.3%)
オーダー/ポジション状況
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