ドル円8/29と9/5の高値を結ぶ抵抗線まで到達(9/12)

先週末まで4日間反落していた米ナスダック総合指数が10日から連騰、

ドル円8/29と9/5の高値を結ぶ抵抗線まで到達(9/12)

ドル円8/29と9/5の高値を結ぶ抵抗線まで到達

【概況】

9月7日安値110.38円から戻しに入り、7日夜の米雇用統計後に111.24円へ上昇、いったん下げたが切り返して11日未明に同値まで戻し、11日午前からの日経平均上昇からの連想買いで夕刻には111.56円まで続伸した。11日夜にはユーロとポンドが一旦反落したことでクロス円からの円高により小反落したが深夜から12日未明へは米長期金利上昇を背景に一段高となり、111.64円まで戻り高値を切り上げた。

先週末まで4日間反落していた米ナスダック総合指数が10日から連騰、NYダウも11日は113.99ドル高と反発したため米国株高により投資マネーが米国株買い・米国債売りに動き、米10年債利回りは2.0983%まで上昇して8月1日の3.0160%以来の水準となった。米10年債利回りは8月22日に底をつけて上昇期に入ったが、9月7日からさらに続伸したことが7日からのドル円上昇を支えた格好だ。

米中貿易戦争泥沼化への懸念は依然として濃厚だが、今のところは米国株高基調を壊す程ではないとして楽観論が米国株を支えている。しかし11日にトランプ米大統領は大統領執務室で「中国には強い態度で臨む」と記者団に述べており、いまだ発動されていない2000億ドル規模の対中関税強化の発動への懸念もくすぶる。

【10年周期の懸念】

9月12日には米生産者物価指数、13日には米消費者物価指数の発表がある。また13日は英中銀とECBの金融政策発表もある。EU離脱交渉での楽観的な進展期待を背景にポンドが反騰、ユーロもつれて上昇してきたが、それらの流れが加速するのか下落に転じるきっかけになるのか注目される。
新興国通貨安は概ね一服しているもののインドルピーが史上最安値を更新するなど波乱状態はまだ継続している。1987年のブラックマンデー、1997年から98年のアジア通貨危機、99年のロシア通貨危機から南米通貨危機へと発展して2000年にITバブル崩壊、2008年にリーマンショックと10年毎に金融市場が危機に見舞われてきた。リーマンショックから10年目の今年、新興国通貨安問題がさらに深刻化するようだと市場心理も10年周期の危機到来への不安にさいなまれることになるかもしれない。

【日足の逆三尊の目はまだ残る】

9月7日安値から反発したことにより、8月21日安値を頭、7月26日安値と9月7日安値を両肩とした日足の逆三尊パターン形成の目はまだ残っている。8月29日高値111.82円超えからはその可能性が高まり、8月1日高値112.15円超えで逆三尊完成となり、7月19日高値を試す上昇へ発展する可能性が出てくると思われる。そのためには米長期金利上昇による日米金利差拡大、ドル全面高がクロス円での円高に勝る展開か、株高継続でリスクオン心理によりドルストレートでのドル安とクロス円での円安において円安が勝ること等が必要だ。逆に米中貿易戦争問題で追加関税発動となる場合や新興国通貨危機が一段とスケールアップする場合、上海株や人民元安が深刻化する場合はリスクオフの円高が加速して逆三尊形成失敗からの下落期入りとなりかねない。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月7日午前安値で直近のサイクルボトムをつけて強気サイクルに入った。今回の高値形成期は9月5日深夜高値を基準として10日夜から12日深夜にかけての間と想定される。8月31日安値からの上昇は丸3日で1.07円のドル高円安で一巡したが、今回も7日午前安値から丸3日の上昇で1.26円のドル高円安となっており、ほぼ同レベルの上昇を実現した、また8月29日深夜高値と9月5日深夜高値を結ぶ抵抗線に到達している。このため既にトップアウト警戒期に来ていると思われる。高値更新の場合も12日の日中から夜にかけての間でピークをつけやすいと注意し、111.50円以下での推移が続く場合は弱気転換注意、11日夜安値111.27円割れからは弱気サイクル入りとして次の安値形成期となる12日午後から14日の日中にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では10日深夜への上昇で先行スパンを上抜き、遅行スパンも好転状態を維持してきたが、新たな高値更新へ進めないと遅行スパンは悪化しやすい位置取りとなっている。このため遅行スパン好転中は高値試しの余地ありとするが、遅行スパン悪化からは弱気転換注意として安値試し優先へ切り替える。その際は先行スパン下限が支持線となりやすいが、先行スパンから転落の場合は9月6日から7日にかけての間へ下落した時のような下げ方になる可能性に注意する。

60分足の相対力指数は11日高値形成期とその後の高値更新の間で指数のピークが切り下がる弱気逆行型となっているので、50ポイント割れからは下げ再開と仮定して40ポイント前後試しへ向かいやすくなるとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、11日夜安値111.27円を下値支持線、12日未明高値111.64円を上値抵抗線とみておく。
(2)111.27円を上回る内は111.64円超えから112円試しへ向かう可能性があるが、111.75円から112円にかけてのゾーンは反落警戒とし、その後に111.50円を割り込むところからは下落期入りと考える。
(3)111.27円割れからは弱気サイクル入りと仮定する。当初は111円割れで買い戻しも入りやすいとみるが、111円以下での推移が続き始める場合は7日安値110.38円試しへ向かうとみる。(了)<9:40執筆>

【当面の主な予定】

9/12(水)
未 定 (英) 英中銀金融政策委員会(MPC)1日目
18:00 (欧) 7月 鉱工業生産 前月比 (6月 -0.7%、予想 -0.5%)
21:30 (米) 8月 生産者物価指数 前月比 (7月 0.0%、予想 0.2%)
21:30 (米) 8月 生産者物価指数 前年同月比 (7月 3.3%、予想 3.2%)
21:30 (米) 8月 生産者物価コア指数 前月比 (7月 0.1%、予想 0.2%)
21:30 (米) 8月 生産者物価コア指数 前年同月比 (7月 2.7%、予想 2.7%)
22:30 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、講演 シカゴ
25:45 (米) ブレイナードFRB理事、講演 デトロイト
27:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)

9/13(木)
08:50 (日) 8月 国内企業物価指数 前月比 (7月 0.5%、予想 0.1%)
08:50 (日) 8月 国内企業物価指数 前年同月比 (7月 3.1%、予想 3.1%)
08:50 (日) 7月 機械受注 前月比 (6月 -8.8%、予想 5.7%)
08:50 (日) 7月 機械受注 前年同月比 (6月 0.3%、予想 4.5%)

10:30 (豪) 8月 新規雇用者数 (7月 -0.39万人、予想 1.80万人)
10:30 (豪) 8月 失業率 (7月 5.3%、予想 5.3%)
15:00 (独) 8月 消費者物価指数 改定値 前月比 (速報 0.1%、予想 0.1%)
20:00 (ト) トルコ中銀、政策金利 (現行 17.75%、予想 22.00%)
20:00 (英) イングランド銀行(BOE)政策金利 (現行 0.75%、予想 据え置き)
20:00 (英) 英中銀資産買取プログラム規模 (現行 4350億ポンド、予想 据え置き)
20:45 (欧) 欧州中銀(ECB)政策金利 (現行 0.00%、予想 据え置き)
21:30 (欧) ドラギECB総裁、定例記者会見
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 20.3万件、予想 21.0万件)
21:30 (米) 8月 消費者物価指数 前月比 (7月 0.2%、予想 0.3%)
21:30 (米) 8月 消費者物価指数 前年同月比 (7月 2.9%、予想 2.8%)
21:30 (米) 8月 消費者物価コア指数 前月比 (7月 0.2%、予想 0.2%)
21:30 (米) 8月 消費者物価コア指数 前年同月比 (7月 2.4%、予想 2.4%)
26:15 ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演
27:00 (米) 8月 月次財政収支 (7月 -769億ドル)

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