ドル円見通し 3月2日からの上昇パターン崩れる(3/15)

14日は米生産者物価指数と小売売上高の発表があったが、生産者物価は概ね市場予想に近かったため決め手にならず。

ドル円見通し 3月2日からの上昇パターン崩れる(3/15)

【概況】

3月1日のトランプ大統領による鉄鋼・アルミへの関税導入宣言を嫌気して2日夜にはに105.24円の安値を付けたが、先週はこれをやや過剰反応だったとして戻しに入り、9日の米雇用統計で非農業部門就業者数が予想を大幅に上回ったことから9日夜には107.05円まで戻した。今週序盤は日本国内政局リスクもあって反落していたが13日午前安値106.25円から上昇を再開、13日夜の米消費者物価指数が予想通りに概ね良好だったことで107.28円まで戻り高値を切り上げた。この段階までは3月6日高値106.46円、9日高値107.03円、14日夜高値107.29円と戻り高値が切り上がり、安値も2日夜安値105.24円、7日午前安値105.45円、13日午前安値106.25円と切り上げてきた。いわゆる「高値を切り上げ、その後の安値も切り上げる」上昇パターンを継続してきたのだが、14日夜の下落で13日午前安値を割り込み、この上昇パターンが崩れた。

上昇パターンが崩れた下落の背景は米国の関税導入問題が対中国への大規模関税導入へと発展、貿易戦争リスクが拡大したことに対してNYダウが懸念を強めて3日間続落したこと、ティラーソン国務長官が電撃解任されたことによるトランプ政権の先行き不安がある。株安の逆相関でリスク回避的に米長期債が買い戻されているが、13日の米消費者物価、14日の米生産者物価は予想の範囲だったものの小売統計が悪かったことで米連銀の利上げペース加速判断には寄与していなということもあり、米10年債利回りは2.8%台前半へ低下しており、日米長期金利差からの円売り圧力が後退していることもあるだろう。

【インフレ指標は予想の範囲、小売予想外に鈍化】

14日は米生産者物価指数と小売売上高の発表があったが、生産者物価は概ね市場予想に近かったため決め手にならず。しかし小売売上高は予想に反して悪かったため、発表当初の上下動が落ち着いた深夜からはドルが下落した。
米商務省が発表した2月の小売売上高は前月比0.1%減となり、市場のプラス予想を裏切って3カ月連続でマイナスとなった。2月の米生産者物価指数は全体の前年比が+2.8%で前月の+2.7%から上昇したが予想通りだった。コア指数の前年比は+2.5%で前月の2.2%から上昇したがこれも予想通りだった。前月比では全体もコア指数も+0.2%で前月の共に+0.4%から鈍化した。前日の米消費者物価、この日の生産者物価と小売売上高は、米連銀の利上げペース加速判断を増長するほどには強くなかったが、利上げ加速の判断がなされる可能性を後退させるほどでもなかった。FOMCは3月20-21日に開催、22日未明に声明文、議長会見が行われる。

【貿易戦争懸念拡大】

市場の関心事は米朝首脳会談動向、トランプ政権による関税強化と貿易戦争懸念、米連銀の追加利上げペース加速問題、昨日からはこれに英露対立への懸念も加わっている。
米朝首脳会談問題はこれまでの長い対話と制裁の繰り返しによる疑心暗鬼もあるが、今回は韓国の文大統領による並々ならぬ努力もあり、実現の可能性は高まっている。しかし当面は進捗を見定めようということで材料的には落ち着いているが、この問題で国際協調派、対話重視派とされたティラーソン国務長官が電撃解任されて後任に対北朝鮮強行派のCIA長官がスライドしたことは、米朝首脳会談が現実化するまでは対立再燃のリスクもまた継続する可能性を示唆している。朝鮮半島問題への楽観的なドル円に対するリスクオン反応は限定的となっているようだ。

米国の関税導入問題は中国への関税強化とそれに対する中国の対抗が焦点化してきている。NYダウが14日に248.91ドル安と下落して3日続落しているのもこのためだ。年末にトランプ大統領は大規模企業減税を実現して株高に貢献したが、その効果を打ち消すような貿易戦争懸念が発生している。また株安は質への逃避で米国長期債の買い戻しを助長して米長期金利はやや低下傾向を見せ始めている。
3月1日にトランプ大統領は関税導入を宣言、8日に鉄鋼・アルミニウムの輸入制限措置の発動を決定。ロイター電では中国からの輸入に対して年間で最大600億ドルの関税適用を検討しているとの報道があり、14日にも米ウォール・ストリート・ジャーナル電子版が中国に対して1000億ドル規模の貿易赤字削減に向けた圧力をかけていると報じた。

トランプ政権はすでに今年1月、家庭用洗濯機と太陽光発電パネルの緊急輸入制限を発動しているが、主たる対象は中国だった。また知的財産権侵害に対して米通商法301条に基づく輸入制限も検討しているとの報道もある。中国は対抗姿勢を示している。北朝鮮問題での中国の協力が不可欠だった段階ではさほど表面化していなかったが、米朝首脳会談実現の可能性が高まったことで露骨に中国に対する攻勢を仕掛けている印象だ。
貿易戦争リスクはリスク回避感を助長してドル円には下落要因となる。米国による対日貿易赤字縮小圧力も円安にブレーキを掛ける。

【60分足 一目均衡表、相対力指数、サイクル分析】

【60分足 一目均衡表、相対力指数、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月2日夜安値と7日午前安値をダブル底として上昇、9日深夜高値でいったんピークを付けて下落したが、13日午前安値からの反騰で9日深夜高値を上抜いて新たな上昇期に入っていた。13日午前安値割れに至らないうちは上昇継続の可能性があったが、14日夜の下落で13日午前安値を割り込んだ。このため現状は底割れによる新たな弱気サイクル入りとして次の安値形成期となる16日から20日にかけての間への下落へ進みやすい状況となってきている。3月2日以降の高値切り上げ、その後の安値切り上げパターンも崩れている。新たな強気サイクル入りには13日夜高値を上抜く必要がある。
106円前後までの下落を切り返して106円台後半へ戻しても14日高値を上抜けない場合は13日夜高値とのダブルトップ型か、ないしは9日深夜高値も含めて三尊天井型が形成されやすいと思われる。

60分足の一目均衡表では13日夜からの下落で先行スパンから転落した。14日夜には遅行スパも悪化している。このため遅行スパン悪化中は安値試しとし、目先の戻り抵抗は先行スパンの下限前後までと考える。上昇再開には両スパンがそろって好転する必要がある。

60分足の相対力指数は30ポイント台へ低下しているが、特に強気逆行(相場が安値を更新するも指数のボトムが切り上がる逆転現象)は見られていないので、30ポイント以下への低下も警戒されるところ。強気回復には50ポイント超え、維持へと上昇する必要がある。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、106.00円を支持線、106.50円を抵抗線とみておく。
(2)106.50円以下での推移中は106円割れから105.50円前後試しへ向かうとみる。106.25円以下で夜間を終了の場合は16日の日中も安値を試しやすいとみる。その際は3月2日安値105.24円を試す可能性ありとみる。
(3)106.50円超えの場合は戻り抵抗を106.75円前後まで引き上げるが、そこはいったん戻り売りにつかまりやすいとみる。
(4)仮に106.75円前後まで上昇してから反落なら60分足レベルの三尊天井の右肩形成となる可能性に注意し、107円を超える場合は13日夜高値とのダブルトップ形成からの反落警戒とする。(了)<9:40執筆>

【当面の主な予定】

3/15(木)
21:30 (米) 3月 ニューヨーク連銀製造業景況指数 (2月 13.1、予想 15.0)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 23.1万件、予想 22.8万件)
21:30 (米) 3月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (2月 25.8、予想 23.5)
21:30 (米) 2月 輸入物価指数 前月比 (1月 1.0%、予想 0.3%)
23:00 (米) 3月 NAHB住宅市場指数 (2月 72、予想 72)

3/16(金)
19:00 (欧) 2月 消費者物価指数(HICP、改定値) 前年比 (速報 1.3%、予想 1.2%)
21:30 (米) 2月 住宅着工件数 (1月 132.6万件、予想 129.0万件)
21:30 (米) 2月 建設許可件数 (1月 139.6万件、予想 132.8万件)
22:15 (米) 2月 鉱工業生産 前月比 (1月 -0.1%、予想 0.3%)
22:15 (米) 2月 設備稼働率 (1月 77.5%、予想 77.7%)
23:00 (米) 3月 ミシガン大学消費者態度指数速報値 (2月 99.7、予想 99.3)

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