ドル円日本政局が重石、米CPI伸び率が重要(3/13)

3月2日安値からのほぼ1週間にわたる二段上昇での上げ幅は1.81円幅であった。

ドル円日本政局が重石、米CPI伸び率が重要(3/13)

【概況】

先々週の3月2日に105.24円まで下げたのは米連銀の利上げペース加速懸念、トランプ大統領による唐突な鉄鋼・アルミへの保護主義的関税導入宣言によるものだった。この下落で2月16日安値を割り込んで昨年11月6日以降の安値を更新したが、105円割れをひとまず回避してその後は戻しに入った。
3月7日には関税反対派のコーン委員長辞任報道でもう一度売られたが底割れを踏みとどまり、ADP民間雇用統計等が強かったことや9日には関税対象からメキシコとカナダが外れ、安全保障問題と絡んで適用免除される同盟国もあり得るとやや関税ショックが揺らいだこと、9日午前には米朝首脳会談実現報道もあって続伸、9日夜の米雇用統計での非農業部門就業者数が予想を超える増加だったことで9日深夜には107.03円まで戻して週を終えた。

3月2日安値からのほぼ1週間にわたる二段上昇での上げ幅は1.81円幅であった。
下げ道中の小反発は2月2日への2.19円幅、2月21日への2.35円幅があるが、いずれも2.50円以上を戻せず、また下降トレンドの抵抗線となりやすい26日移動平均を上抜けない程度であった。今回の反発もまだそれらの小反発レベルを超えておらず、26日移動平均(現在107.10円近辺)も超えられていない。

週明けの12日は欧米市場関連では特にイベント、指標発表等手がかりがなかったが、国内では財務省による森友関連文書偽造問題で政局が紛糾していることを嫌気してリスク回避的な円高となり、昼過ぎには106.35円まで下落した。麻生財務相が辞任拒否姿勢を示したことでいったん買い戻される場面もあったが、下げ渋りに止まり、夜間では一時上昇していたNYダウが反落したことで株安リスクも意識されてて106.31円へ続落、13日午前もさらに安値を切り下げている。

【国内政局とグローバルな問題】

財務省文書偽造問題はあくまでも国内問題である。12日は株高円高であり、株式市場では景気・企業業績等への影響は直接的でなく、あくまでも米国株価動向への同調姿勢が主であるためにこの問題に対しての反応は鈍いが、為替についてはアベノミクスや日銀金融緩和等政治方針への影響や先行きの混迷懸念が材料視されるために株式市場以上に悲観的な反応となりやすい。このため日中はこの問題では新たな展開等で円高反応してゆく懸念が残る。

グローバルな為替市場動向を決定付ける可能性があるものとしてはやはり米連銀の利上げペース加速問題であり、週末の雇用統計で非農業部門就業者数が31.3万人増と予想を大幅に上回ったことは利上げペース加速に寄与したが、インフレ動向に影響を与える平均時給伸び率が前月の+0.2%から+0.1%へ鈍化したことは判断を留保させる可能性を意識させた。このため、13日の米消費者物価指数の伸び率が重要になってくる。
消費者物価指数が予想を上回る場合は利上げ問題を意識した米長期金利上昇、ドル高円安となりやすい。ただし長期金利の上昇レベルが危険水準を意識させると、今度は株安反応へと変わり、株安リスクから円高と反応の仕方も変わってくる可能性がある点には注意がいる。

【60分足 一目均衡表、相対力指数、サイクル分析】

【60分足 一目均衡表、相対力指数、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月2日夜安値と7日午前安値をダブル底として上昇してきたが、9日深夜高値で当面のピークを付けて下落サイクルに入ったと思われる。今回の安値形成期は12日から14日夜にかけての間と想定されるので、早ければ13日中に安値を付けて反騰入りする可能性があるが、106.75円超えへ進めず、一時的に106.50円を超えても維持できないうちは13日夜への一段安余地が残る。また米消費者物価指数発表から円高の場合は14日の日中にかけて安値形成が続きやすくなると思われる。

60分足の一目均衡表では12日午前の下落で遅行スパンが悪化、13日未明への続落で先行スパンからも転落した。このため遅行スパン悪化中は先行スパン下限を抵抗とした安値試し優先とし、強気転換は両スパンそろって好転するところからとみる。

60分足の相対力死すは9日午前高値から9日夜高値へ高値を切り上げる段階で指数のピークが切り下がる弱気逆行となって失速した。50ポイントを下回るうちは30ポイント前後まで低下する可能性ありとみる。強気回復には50ポイント超えから続伸する必要があると思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、106.00円を支持線、106.50円を抵抗線とみておく。
(2)106.50円以下での推移中は一段安警戒を優先し、106.00円から105.80円前後への下落を想定する。106.80円以下は突っ込み警戒、反騰注意とするが、日本の政局問題で新たにネガティブな材料が出てくる場合は105.50円台まで下値目途を引き下げる。
(3)106.50円を超える場合は106.75円までは戻り売りにつかまりやすいとみるが、米経済指標等から106.75円を超えてくる場合は上昇再開、107円超えを再び試す可能性ありとみる。ただし107円台序盤は戻り売りも出やすいとみる。(了)<9:15執筆>

【当面の主な予定】

3/13(火)
21:30 (米) 2月 消費者物価指数 前月比 (1月 0.5%、予想 0.2%)
21:30 (米) 2月 消費者物価コア指数 前月比 (1月 0.3%、予想 0.2%)
21:30 (米) 2月 消費者物価指数 前年比 (1月 2.1%、予想 2.2%)
21:30 (米) 2月 消費者物価コア指数 前年比 (1月 1.8%、予想 1.8%)
 トランプ米大統領、カリフォルニア州訪問
 米ペンシルベニア州下院補欠選挙

3/14(水)
(独) メルケル独首相、就任宣誓
06:45 (NZ) 10-12月期 四半期経常収支 (前期 -46.79億NZドル、予想 -24.50億NZドル)
08:50 (日) 日銀・金融政策決定会合議事要旨
08:50 (日) 1月 機械受注 前月比 (12月 -11.9%、予想 5.2%)
11:00 (中) 2月 小売売上高 前年比 (12月 9.4%、予想 10.0%)
11:00 (中) 2月 鉱工業生産 前年比 (12月 6.2%、予想 6.2%)
16:00 (独) 2月 消費者物価指数改定値 前月比 (速報 0.5%、予想 0.5%)
17:00 (欧) ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
19:00 (欧) 1月 鉱工業生産 前月比 (12月 0.4%、予想 -0.4%)

21:30 (米) 2月 生産者物価指数 前月比 (1月 0.4%、予想 0.1%)
21:30 (米) 2月 生産者物価コア指数 前月比 (1月 0.4%、予想 0.2%)
21:30 (米) 2月 生産者物価指数 前年比 (1月 2.7%、予想 2.8%)
21:30 (米) 2月 生産者物価コア指数 前年比 (1月 2.2%、予想 2.6%)
21:30 (米) 2月 小売売上高 前月比 (1月 -0.3%、予想 0.3%)
21:30 (米) 2月 小売売上高(除自動車) 前月比 (1月 0.0%、予想 0.4%)
23:00 (米) 1月 企業在庫 前月比 (12月 0.4%、予想 0.6%)

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