【概況、米経済指標は良好】
ドル円は30日ロンドン序盤に112.48円まで上昇、深夜にはいったん111.73円まで下げたがV字反発して112.50円超え、さらに1日早朝には112.69円を付けて11月20日高値112.719円に迫っている。
今週は27日の米新築住宅販売が予想以上に強く、28日の米消費者信頼感指数が上振れ、29日の米GDP改定値も予想を超える上方修正となり、米経済指標の良好さが目立った。
この日も週間新規失業保険申請件数は23.8万件となり、市場予想および前週の24.0万件を若干下回った。
10月の米個人消費は前月比で+0.4%となり、前月の+1.0%(+0.9%へ下方修正)を上回り、市場予想と一致した。PCEコアデフレーター前年比は+1.4%で市場予想と一致した。
11月のシカゴ購買部景況指数(シカゴPMI)は63.9となり、前月の66.2から低下したが市場予想の63.0を上回った。
12月1日にISM製造業景況指数、12月6日に米ADP民間部門雇用報告、12月8日に労働省雇用統計と重要指標発表が続くが、現在の流れでは経済指標の良好さが確認され、12月12-13日のFOMCで利上げ決定へと進む可能性が強まっている。
【トランプ政権の税制改革法案成立へ前進】
トランプ政権が公約に掲げてきた大規模な法人減税を柱とする税制改革法案はすでに下院で可決されているが、上院でも予算委員会で可決されている。今は上院本会議採決に向けた調整へと進んでいるが、これまで法案に反対としていた有力者マケイン共和党上院議員が賛成の姿勢を示したと報じられ、法案可決の可能性が高まった。仮に可決されれば約30年ぶりの抜本的税制改革となるが、可決された後は下院案との一本化へ調整が必要となり、まとまれば実現へ向かう。
大規模減税期待からNYダウは前日比で300ドル以上の上昇、史上最高値を更新しており、市場の楽観的なリスク選好心理が一段と増している。
株高は投機マネーを米長期債から株へとシフトさせ、米長期債下落=長期金利上昇を招く。長期金利上昇は株高へのブレーキでもあるが、現状は長期金利が多少上昇しても楽観的な株高は継続するとの強気心理が優勢である。米長期金利は10月後半から下降していたが、今週はドル指数反発とともに上昇しており、ほぼフラット状態にある日本の長期金利とのスプレッドが拡大し、長期金利面からのドル買い円売りを助長している。
【12月FOMC接近】
12月12-13日のFOMCでは今年三度目となる利上げは確実視されている。問題は来年の利上げペースだが、先に公開された9月会合での議事録ではインフレ目標実現についてのメンバーの見解が分かれていることが示されたため、2018年の利上げペースが一段と加速する可能性は低いと思われる。しかし2016年も当初は年4回の利上げ、2017年も3回の利上げとバランスシート縮小開始が実行されており、次回FOMCでも同様の利上げペースとなるのではないかと思われる。
まず、12月の利上げ決定、来年見通しが示されるところまでは、米経済指標良好さが続くことを前提にドル高感が進み、ドル円も上昇しやすい環境になってきていると思われる。ただしその後は材料消化で流れは変わりやすい。昨年はトランプラリーもあってボラティリティが高かったが、今年はそうしたサプライズ事象は発生していないので、昨年同期ほどの動きは期待薄と思うが、28日未明安値からの上昇が継続している現状を踏まえると、ひとまず11月6日からのドル安円高基調が一服、揺れ返しの戻り高値試しが続きやすい状況に変わってきたと思われる。
【60分足 一目均衡表分析】
60分足の一目均衡表では、29日未明安値からの上昇で遅行スパンは好転、先行スパンを上抜いた。30日夜にいったん急落したものの先行スパン上限までの下落から早々にV字反発したため、両スパン好転は維持されている。戻り高値が切り上がれば遅行スパン悪化のリスクも先送りされるため、遅行スパン好転中は高値試しを優先し、弱気転換は先行スパン転落からと考える。
60分足の相対力指数は29日夜高値、30日夜高値への上昇に対して指数がほぼフラットとなり、1日早朝への一段高では指数のピークが切り下がる弱気逆行気配が見られる。しかし、30日深夜にいったん下げてから切り返したため、指数が弱気転換を示すには30日深夜の44ポイント割れへと低下する必要がある。このため、50ポイント以上を維持するうちは高値を試しやすく、50ポイント割れを弱気転換注意、44ポイント割れから下落再開とみる。
概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、11月29日の上昇で27日朝高値を上抜いたため、23日朝安値から3日目となる28日未明安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りした。30日夜にいったん急落してから高値更新となったため、28日未明安値を起点とした上昇サイクルの継続中とみるが、28日未明安値から3日目となる30日深夜安値で直近のサイクルボトムをつけて新たな強気サイクル入りとなった可能性も考えられる。このため、112円台を維持するうちは上昇継続余地ありとし、30日深夜安値(111.73)割れからは弱気サイクル入りとして1日夜から5日未明にかけての下落期入りを想定する。
28日未明安値から高値切り上げ、その後の安値も切り上げる強気パターンで推移し始めている。11月6日からの安値切り下げ、その後の戻り高値も切り下がって一段安してきた流れの揺れ返しに入っている印象だ。このため、目先は21日高値112.70円から113.00円までを戻り抵抗と考えるが、1日夜、週明け4日へと続伸する場合は11月14日高値113.91円試しまで揺れ返しのポイントが切り上がる可能性ありとみる。(了)<9:50執筆>
【当面の主な予定】
12月1日
10:45 (中) 中国11月財新製造業PMI (10月 51.0、予想 51.0)
23:05 (米) ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
23:30 (米) カプラン米ダラス連銀総裁、講演
24:00 (米) 11月ISM製造業景況指数 (10月 58.7、予想 58.3)
24:00 (米) 10月建設支出 前月比 (9月 +0.3%、予想 +0.5%)
24:15 (米) ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
オーダー/ポジション状況
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