ドル円見通し FOMC議事録公開後の下落続く(10/13)

12日未明のFOMC議事録は、9月21日の声明文からさほどかい離するものはなく、インフレが進まないことへの懸念が強い印象を与えたために

ドル円見通し FOMC議事録公開後の下落続く(10/13)

<概況・ポイント>

10月6日の米雇用統計から急騰して9月8日以降の高値を更新した。しかしそこで買い材料出尽くし、イベント通過による揺れ返しに入って当日深夜から下落に転じた。10日夜には112円割れとなる111.989円まで一段安し、その後は11日昼高値112.58円、12日未明高値112.56円と戻すも、戻り高値は切り下がった。10日深夜安値の後は11日夜安値112.077円、13日未明安値112.12円とやや切り上がっているのだが、これが三角持合いないしはボックス型の中段持ち合いとなり、112円割れからは持ち合い下放れへ進む可能性が懸念される姿となっている。
12日未明のFOMC議事録は、9月21日の声明文からさほどかい離するものはなく、インフレが進まないことへの懸念が強い印象を与えたために12月利上げ確率を100%に近づける程の内容はなかった。現時点では7割程度の確率となっているようだ。

米労働省が発表した週間新規失業保険申請は24万3000件となり、前週比1万5000件減少して市場予想の24万1000件を下回った。前週は当初発表の26万件から25万8000件に下方修正された。良好な数字と言える。
米労働省が発表した9月の生産者物価指数 は全体の前年比が+2.6%となり前月の2.4%から上昇、市場予想と一致した。コア指数の前年比は+2.2%となり、前月の+2.0%、市場予想の+2.0%を上回った。これらは米連銀の利上げ判断に寄与するものとして若干のドル高反応を見せたが、ドル円の動きは限定的なものに止まり、深夜の下落で発表前水準をすでに割り込んでいる。
13日は米消費者物価指数の発表があるので、そこで前年比での上昇率が予想を上回ってくればドル高反応もあり得るところだが、10月6日高値からの下落基調を転換するほどのインパクトは期待が薄いか。

【1か月上昇後の下落で26日移動平均へ接近】

9月8日から10月6日まで凡そ1か月、上昇幅は6.11円幅であった。4月17日から5月11日高値への上昇が6.25円幅、6月14日から7月11日への上昇が5.65円幅であり、今回の上昇も概ね前2回の上昇レベルと変わらない。10月6日以降、為替市場ではそれまでのユーロ安ドル高からユーロ高ドル安へと反転、豪ドルも反発に転じ、コモディティ市場でもゴールドが上昇する等、9月8日からの流れが基調転換しつつあるが、ドル円のそうした全般状況にあって10月6日からは頭重くなってきている。

上昇してきた26日移動平均が111.77円にあるが、凡そ1か月の反騰後に同線を割り込むところから下落するというパターンが昨年5月30日高値からの反落、昨年7月21日高値からの反落、今年1月の下落、3月10日高値からの反落、5月11日高値からの反落、7月11日高値からの反落で繰り返されてきた。
26日移動平均に到達し、一時的に割り込んでもすぐに切り返すなら、そこを押し目として次の上昇へ進む可能性が残る。しかし、同線割れからさらに続落し始める場合は戻り一巡による下落再開へ進む可能性が優先される。週末夜から週明けにかけてはそうした分岐点に入りそうな印象だ。
仮に26日移動平均割れから続落し始める場合、概ね5か月周期での高値、安値形成のリズムを踏まえると、9月8日安値を基準として年末からさらに越年する下落の長期化も警戒する必要が出てくるかもしれない。

26日移動平均前後を下値支持線、押し目ラインとして上昇し、10月6日高値を上抜くならば、まず5月と7月高値のある114円台前半試し、さらに3月10日高値115.50円試しへ向かう可能性が考えられる。26日移動平均割れから続落なら、まず心理的節目、半値押しラインの110.00円試し、さらに下落なら9月8日安値試しへ向かう可能性が懸念されてゆくと思われる。

日経平均は20数年ぶりの高値を更新し、所謂アベノミクス相場開始以降の最高値をつけている。解散総選挙から現政権勝利、アベノミクス=その実態は過剰流動性供給による資産バブル形成と日銀の株買い支え=は継続するとの思惑が高値更新の背景であろうが、為替市場はそうした見方に対してやや慎重だ。株高ならリスクオンで円安を助長するが、日米貿易摩擦による円安牽制、北朝鮮有事リスクが継続していること、資産バブル以上に内実のある景気拡大感に乏しいことが頭を押さえている印象がある。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では、6日夜の急落により遅行スパンが悪化、先行スパンから転落した。10日深夜以降が持ち合い相場のため、遅行スパンは一時的に好転したものの13日午前では悪化している。12日未明への上昇で先行スパンを上抜きかけたがその後の失速で13日午前時点では転落状態にある。両スパン悪化中のため、10日夜安値を試す、あるいは底割れから一段安へ向かいやすい状況と思われる。強気回復には両スパンが揃って好転し、かつ、11日高値112.58円を上抜く必要がありそうだ。

60分足の相対力指数は12日未明に60ポイントを超えたが、その後は50ポイント台を維持できずに横ばい推移している。40ポイント割れへ下降する場合は下げ再開感が強まるとみる。強気回復には60ポイント超え、その後も50ポイント台を維持することが必要と思われる。

概ね3日から5日周期の高値・安値形成のサイクルでは、10月4日夜安値を前回のサイクルボトム、6日夜高値を同サイクルトップとして下落してきたが、10日深夜安値で直近のサイクルボトムをつけて戻しに入った。しかしその後は持合い止まりであるため、11日昼高値と12日未明高値をダブルトップとした弱気サイクル入りへ進む可能性が懸念される。112.12円割れからは10日深夜安値以降のやや右肩上がりの支持線を割り込んでくるため弱気転換注意とし、10日深夜安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして次の安値形成期となる13日深夜から17日夜にかけての下落が想定される。

以上を含めて当面のポイントを示す。
(1)13日未明安値112.12円を当初の支持線とし、割り込む場合は10日深夜以降の持合い下放れ警戒とし、10日深夜安値割れからは弱気サイクル入りとし111.75円から111.50円のゾーンを試す下落を想定する。111.75円以下は突っ込み警戒、反発注意とするが、112円以下での推移中はさらに週明けへ一段安しやすい状況とみる。
(2)112.40円超えからは11日昼高値112.58円試しを想定する。112.58円を超えられずに112.25円割れしてくる場合は下げ再開と112円割れへの一段安を想定する。
(3)11日昼高値を上抜く場合は112.75円から113円手前への上昇を想定する。112.80円以上は反落警戒とするが、112.50円を上回って終了なら週明けも高値を試しやすいとみる。(了)<9:50執筆>

【当面の主な予定】

10月13日
21:30 (米) 9月消費者物価指数 前年比 (8月 +1.9%、予想 +2.3%)
21:30 (米) 9月消費者物価指数コア 前年比 (8月 +1.7%、予想 +1.8%)
21:30 (米) 9月小売売上高 前月比 (8月 -0.2%、予想 +1.6%)
21:30 (米) 9月小売売上高 除自動車 (8月 +0.2%、予想 +0.9%) 
23:00 (米) 10月ミシガン大学消費者信頼感指数 速報値 (9月 95.1、予想 95.0)
23:00 (米) 8月企業在庫 前月比 (7月 +0.2%、予想 +0.6%)
23:25 (米) エバンス米シカゴ連銀総裁講演

10月14日
00:30 (米) カプラン米ダラス連銀総裁講演
02:00 (米) パウエルFRB理事講演

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