中村日銀審議員によるタカ派発言を受けて反落。本日は米雇用統計がメインイベント
〇ドル円、日銀中村審議委員発言で米国序盤に149.65まで下落後、米株、米金利上昇等で150円台回復
〇ユーロドル、指標好調、株価堅調、仏政局不透明感後退等に一時1.0590まで上昇
〇ドル円テクニカルの地合いの急速な悪化懸念され、日銀による年内利上げ観測の再燃等も重石に
〇引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:148.50ー151.50
海外時間のレビュー
5日(木)のドル円相場は振れを伴いつつも方向感に欠ける展開。アジア時間朝方にかけて、高値150.78まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)ハト派で知られる中村豊明日銀審議委員による「利上げに反対しているわけではない」とのタカ派的な発言や、(2)上記1を背景とした日銀による年内追加利上げ観測の再燃(円金利急上昇→円買い)、(3)円キャリートレードの巻き戻しが重石となり、欧州時間朝方にかけて、安値149.65まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)急ピッチな下落に対する反動買い(自律反発)や、(5)株式市場の堅調推移(リスク選好の円売り圧力)、(6)米金利上昇に伴うドル買い圧力、(7)米新規失業保険申請件数(結果21.3万人、予想21.5万人)は良好な結果が支えとなり、本稿執筆時点(日本時間12/6午前2時30分現在)では、150.15前後まで持ち直す動きとなっております。
5日(木)のユーロドル相場は堅調な値動き。アジア時間朝方にかけて、安値1.0507まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)ドイツ10月製造業受注(結果+5.7%、予想+1.8%)の市場予想を上回る結果や、(2)欧州債利回り上昇に伴うユーロ買い圧力、(3)欧州の主要株価指数の堅調推移、(4)フランスを巡る政局不透明感の後退(内閣不信任案可決でバルニエ首相の辞任決定→独仏スプレッド縮小)が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値1.0590まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間12/6午前2時30分現在)では、1.0560前後で推移しております。尚、昨日発表されたユーロ圏10月小売売上高(結果▲0.5%、予想▲0.3%)は市場予想を下回る結果となりましたが、市場の反応は限られました。また、ラトビア中銀カザークス総裁より「来週の会合も含めて利下げは継続していくべき」とのハト派的な発言が見られましたが、ユーロ売りでの反応は限定的となりました。
本日の見通し
ドル円は12/3に記録した約2カ月ぶり安値148.64をボトムに切り返すと、一時151.23まで反発する場面も見られましたが、昨日は再び149.65まで反落するなど、冴えない動きが続いています。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、50日線、200日線、一目均衡表転換線、基準線、ボリンジャーミッドバンド)を下抜けした他、これまでドル円を下支えしてきた買いシグナル(一目均衡表三役好転やダウ理論の上昇トレンド)も消滅するなど、テクニカル的に見て、地合いの急速な悪化が警戒されます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)日銀による年内利上げ観測の再燃(時事通信社による一昨日の報道を受けて日銀による年内利上げ観測が後退したが、昨日は一転、ハト派で知られる中村豊明日銀審議委員によるタカ派発言を受けて年内利上げ観測が再浮上)や、(2)米FRBによる年内利下げの織り込み加速(次回FOMCでの利下げ織り込み度合が1週間前の66.5%から足元74.0%へ上昇傾向)、
(3)上記1、2を背景とした円キャリートレードの巻き戻し懸念、(4)トランプ・トレードからベッセント・トレードへのテーマシフトなど、ドル円相場の下落を連想させる材料が揃っています。本日予定されている米11月雇用統計が低調な結果を示す場合には、米FRBによる利下げ織り込み加速→米金利低下→米ドル売りの経路でドル円に強い下押し圧力が加わるシナリオも想定されるため、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は米雇用統計以外にも、米12月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値や、米当局者発言(ボウマンFRB理事、シカゴ連銀グールズビー総裁、クリーブランド連銀ハマック総裁、サンフランシスコ連銀デーリー総裁)などの重要イベントが予定されております。
本日の予想レンジ:148.50ー151.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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