トリプルレッド成立報道で一時156円台前半まで急上昇。約3カ月半ぶり高値を更新
〇ドル円、米国での「トリプルレッド」成立報道等に156円台前半に上昇
〇米10月生産者物価指数および、同コア指数はいずれも市場予想を上回る結果
〇ユーロドル、欧州勢参入後一時1.05割れを示現するも米金利上昇幅縮小等に1.06台前半を回復
〇ドル円、短期的にも中長期的にも上昇トレンドの継続を示唆
〇ファンダメンタルズもトリプルレッド実現に伴うトランプトレードの本格スタートがドル円をサポート
〇引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:154.75ー156.75
海外時間のレビュー
14日(木)のドル円相場は堅調な値動き。アジア時間朝方にかけて、安値155.34まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)一部メディアによる「米議会選で上下両院とも共和党が過半数を獲得する見通し」との観測報道や、(2)上記1を背景としたトランプ・トレードの本格再開(トリプルレッド実現でトランプ氏の公約が通り易くなるとの期待感→インフレリスク再燃→米金利上昇に伴うドル買い圧力)、(3)日米金利差に着目した円キャリートレードの活発化期待、(4)直近高値突破に伴う仕掛け的なドル買い・円売りが支えとなり、欧州勢参入後に、高値156.25(7/23以来の高値圏)まで上昇しました。引けにかけて反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間11/15午前2時30分現在)では、155.80前後で推移しております。尚、昨日発表された米10月生産者物価指数(結果+2.4%、予想+2.3%)および、同コア指数(結果+3.1%、予想+3.0%)はいずれも市場予想を上回る結果となりましたが、ドル買いでの反応は限られました。
14日(木)のユーロドル相場は下落後に持ち直す展開。(1)一部メディアによる「米議会選で上下両院とも共和党が過半数を獲得する見通し」との観測報道や、(2)上記1を背景としたトランプ・トレードの本格再開、(3)欧州経済の先行き不透明感(ドイツ連銀ナーゲル総裁は11/13に「トランプ政権による関税政策はドイツ経済の縮小を招く恐れがある」と発言)、(4)ドイツやフランスを巡る政局不透明感、(5)デギンドスECB副総裁による「インフレはかなり低下してきた」「インフレが目標に向かって収束すれば金融政策もそれに応じて対応するだろう」とのハト派的な発言、(6)ユーロ圏9月鉱工業生産(結果▲2.8%、予想▲2.0%)の市場予想を下回る結果が重石となり、欧州勢参入後に、安値1.0497(昨年10/13以来の安値圏)まで急落しました。
しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(7)米長期金利の上昇幅縮小や、(8)ECB理事会議事要旨での「長期的なインフレ見通しに対するリスクは再び上振れ傾向にある」「全体的には抑制された利下げサイクルになると予想」との慎重な見解発表、(9)短期筋のショートカバー誘発が支えとなり、米国時間午後にかけて、高値1.0583まで反発しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間11/15午前2時30分現在)では、1.0558前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は一時156.25(7/23以来、約3カ月半ぶり高値圏)まで急伸するなど、連日で高値更新の力強い動きとなりました。日足ベースで強い買いシグナルを示唆する「21日線と90日線のゴールデンクロス」「21日線と200日線のゴールデンクロス」「指数平滑移動平均線ベースでの強気のパーフェクトオーダー」「一目均衡表三役好転」「強気のバンドウォーク」「ダウ理論の上昇トレンド」が継続点灯していることや、4時間足などの下位足、週足などの上位足でも強い買いシグナルが点灯していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「極めて強い」と判断できます(短期的にも中長期的にも上昇トレンドの継続を示唆)。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、トリプルレッド実現に伴うトランプ・トレードの本格スタート(米金利上昇・米ドル買い要因)や、日米金利差に着目した円キャリートレード再開期待(円売り要因)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。直近2日間で発表された米国のインフレ指標(米CPI、米PPI)はいずれも伸び率が加速しており、米FRBによる利下げペース鈍化が米金利の高止まりを通じてドル買いに拍車をかけるとの見方が市場参加者の間で広がっています。政府・日銀による為替介入観測や、12月会合での追加利上げ観測がドル円の上値を抑える要因として意識されているものの、いずれのケースも日本株のクラッシュに繋がるリスクを孕んでいるため、余程強いドル買い・円売り(本年7/3に記録した高値161.99を超えるようなドル買い・円売り)が出てこない限り、為替介入も年内追加利上げも見送られる公算が大きいと推察されます。
以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は複数の米経済指標(米11月ニューヨーク連銀製造業景況指数や、米10月小売売上高、米10月鉱工業生産、米10月設備稼働率)が予定されているため、海外時間帯のボラティリティ拡大に警戒が必要でしょう。
本日の予想レンジ:154.75ー156.75
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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