安値圏から持ち直すも戻りは鈍い。当面は不安定な相場展開が継続か
〇ドル円、アジア時間の安値141.96から米国時間朝方にかけ高値143.80まで急伸
〇日経平均の下げ幅縮小、FOMCでの大幅利下げ観測後退等が背景
〇その後は米長期金利の上げ幅縮小等に反落するも143円台を維持
〇ユーロドル、米長期金利上昇、欧州指標の不冴え等に米国時間午後にかけ1.1033まで下落
〇ドル円、一目均衡表の雲が垂れ下がり、「三役逆転」も成立、テクニカルの地合い弱い
〇ファンダメンタルズも日米金融政策の方向性の違い、株価の不冴え、売り遅れポジションの解消が重石
〇本日、トランプ氏とハリス氏のテレビ討論会、ボラティリティ拡大に要警戒
〇本日の予想レンジ:141.75ー144.25
海外時間のレビュー
週明け9日(月)のドル円相場は持ち直す展開。アジア時間朝方にかけて、安値141.96まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)前週末金曜日に記録した安値141.78を背にした押し目買い圧力や、(2)日経平均株価の下げ幅縮小(前営業日比▲1100円超の状態から▲175.72円まで下げ幅縮小→過度なリスク回避ムード後退)、(3)米FOMCでの大幅利下げ観測後退(前週末金曜日に発表された米8月雇用統計は冴えない結果となったものの、ゴールドマンサックスやバークレイズなどの大手金融機関は50bpの利下げを正当化するほどではないとの見解発表→大幅利下げ観測後退→米金利上昇→米ドル買い)、
(4)欧米株の堅調推移が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値143.80まで急伸しました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(5)前週末金曜日に記録した高値143.95を背にした戻り売り圧力や、(6)米長期金利の上昇幅縮小が重石となり、本稿執筆時点(日本時間9/10午前6時00分現在)では、143.15前後で推移しております。尚、昨日発表された本邦4ー6月期実質GDP速報値(結果+2.9%、予想+3.2%、※前期比年率)は市場予想を下回る結果となりましたが、ドル円相場の反応は限られました。
週明け9日(月)のユーロドル相場は冴えない動き。アジア時間朝方にかけて、高値1.1092まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)米金利上昇に伴うドル買い圧力や、(2)ユーロ圏9月投資家信頼感指数(結果▲15.4、予想▲12.2)の市場予想を下回る結果、(3)テクニカル的な地合いの悪化(日足ローソク足が21日移動平均線を下方ブレイク)、(4)ECB理事会を控えたポジション調整(ドル売りの受け皿として構築されてきたユーロロングのポジション解消)が重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.1033まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間9/10午前6時00分現在)では、1.1037前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は前週末金曜日に一時141.78まで下げ幅を広げるも、8/5に記録した安値141.69をバックに下げ渋ると、昨日は一転して143.80まで持ち直す動きとなりました。しかし、一目均衡表の分厚い雲が上方より急ピッチに垂れ下がってくることや、日足ローソク足が主要テクニカルポイントの下側で推移していること、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、日米金融政策の方向性の違い(追加利上げが織り込まれる日本と、年内複数回の利下げが織り込まれる米国)や、株式市場の冴えない動き(リスク回避の円買い圧力)など、ドル円相場の下落を連想させる材料が揃っています。
加えて、アップサイドには売り遅れた勢力によるオファーが並んでいることも想定されるため(来週の米FOMCまでにポジションを解消したいロング勢による潜在的な売り圧力が上値を抑制するため)、当方では引き続き、ドル円相場の下落(戻り売りスタンスの継続)をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日はトランプ氏とハリス氏のテレビ討論会が予定されています。トランプ氏は法人税引き下げ方針、ハリス氏は法人引き上げ方針という形で両者のスタンスが正反対となっているため、テレビ討論会の結果次第で米長期金利が動き、それに伴ってドル円相場が乱高下する恐れもあるため、本日は海外時間帯のボラティリティ拡大に警戒が必要でしょう。
本日の予想レンジ:141.75ー144.25
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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