米CPIショックで大暴落。政府・日銀による不意打ち為替介入の思惑も浮上
〇ドル円、欧州時間朝方の高値161.76から米国時間朝方に157.44まで急落
〇米CPIの伸び率鈍化からの米長期金利急低下、日銀による介入観測等が重石に
〇引けにかけて持ち直すも戻り鈍く159円近辺での推移
〇ユーロドル、米金利低下に一時1.0899まで上昇
〇ドル円、テクニカルのトレンド転換生じていない
〇ファンダメンタルズも米国の9月利下げ織り込み済み、日米金利差残り円キャリーは継続か
〇ドル円相場の一巡後の反発をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:158.00ー160.00
海外時間のレビュー
11日(木)のドル円相場は大暴落。(1)日経平均株価の堅調推移(リスク選好の円売り圧力)や、(2)円キャリートレードの継続期待が支援材料となる中、欧州時間朝方にかけて、高値161.76まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと(7/3に記録した約38年ぶり高値161.99をバックに戻り売り圧力が強まると)、(3)米6月消費者物価指数(結果+3.0%、予想+3.1%)の市場予想を下回る結果や、(4)米6月コアCPI(結果+3.3%、予想+3.4%)の市場予想を下回る結果、(5)上記3、4を背景とした米FRBによる早期利下げ観測再燃、(6)米長期金利の急低下、(7)政府・日銀による為替介入観測(米CPI後に円売り圧力が弱まったタイミングで不意打ち的な為替介入を実施したとの思惑浮上→神田財務官は為替介入の有無について「何もコメントする立場ではない」と意味深な発言)、
(8)短期筋の大規模ロスカット(ドル円ロングポジションの大量清算)が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値157.44まで急落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間7/12午前6時30分現在)では、158.91前後で推移しております。尚、昨日発表された米新規失業保険申請件数(結果22.2万件、予想23.5万件)は大幅な改善が見られましたが、市場の反応は限定的となりました。
11日(木)のユーロドル相場は大幅上昇。アジア時間朝方にかけて、安値1.0827まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)欧州株の堅調推移(リスク選好のユーロ買い圧力)や、(2)米CPIおよび米コアCPIの市場予想を下回る結果、(3)上記2を背景とした米FRBによる早期利下げ観測再燃、(4)米金利低下に伴うドル売り圧力が支えとなり、米国時間朝方にかけて、高値1.0899まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間7/12午前6時30分現在)では、1.0868前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は一時157.44まで下げ幅を広げるなど、約3週間ぶり安値圏(6/18以来の安値圏)へと急落しました。但し、日足ローソク足が依然として主要テクニカルポイント(90日線移動平均線、200日移動平均線、一目均衡表基準線、一目均衡表雲上限など)の上側に位置していることや、強い買いシグナルをする「強気のパーフェクトオーダー」「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」が継続点灯していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、上昇→下落へのトレンド転換は生じていないと判断できます(昨日の急落は上昇トレンドの過程で見られる一時的なスクイーズ)。また、ファンダメンタルズ的に見ても、9月FOMCでの利下げはほぼ織り込み済み(CMEが提供するFed Watch Toolによると、9月利下げの織り込み度合は、昨日の米CPI鈍化を受けて、前日の69.7%から84.6%へ急上昇)となっているため、ここから更にドル売りに寄与する余地は乏しいと見られます。
また、例え年内に2回の利下げを実施したとしても、日米金利差が極端に縮まるわけではないため、円キャリートレードの優位性は当面の間続くと考えられます。さらに、米大統領選に向けては、トランプトレードの活発化(財政悪化→インフレ上昇の思惑から、米金利上昇→米ドル買いを誘発するシナリオ)も想定されるため、ドル円相場がこのままずるずる値を下げるシナリオも考えにくいです。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の一巡後の反発をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は米6月生産者物価指数と、米7月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値に注目が集まります。
本日の予想レンジ:158.00ー160.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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