約1カ月ぶり高値圏へと急上昇。日米金利差に着目した円キャリートレード再開が支えに
〇ドル円、米国時間午後にかけて高値157.79(5/1以来の高値圏)まで上昇
〇米5月リッチモンド連銀製造業指数の市場予想を上回る結果や米金利上昇が背景
〇ユーロドル、米金利上昇に一時1.0800まで下落上値重い
〇ドル円、転換線が基準線上抜け三役好転が成立、地合い強い
〇米利下げ開始時期後づれ観測、円キャリー長期化期待、介入警戒感の後退等がドル円をサポート
〇ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:157.00ー158.50
海外時間のレビュー
29日(水)のドル円相場は堅調な値動き。(1)本邦10年債利回りの急上昇(2011年11月以来となる1.075%へ急上昇→円金利上昇に伴う円買い圧力)や、(2)日経平均株価の冴えない動き(リスク回避の円買い圧力)、(3)安達日銀審議委員による「過度な円安の状況が長期化し物価安定の目標の実現に影響を与えると予想される場合には、金融政策による対応も選択肢の一つになる」との発言が重石となり、日本時間15時過ぎに、安値156.94まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)日米金利差に着目したドル買い・円売り(円キャリートレード)や、(5)米5月リッチモンド連銀製造業指数(結果±0、予想▲6)の市場予想を上回る結果、(6)米7年債入札の低調な結果、(7)米金利上昇に伴うドル買い圧力が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値157.79(5/1以来の高値圏)まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間5/30午前6時15分現在)では、157.58前後で推移しております。
29日(水)のユーロドル相場は上値の重い展開。(1)ドイツ5月HICP速報値(結果+2.8%、予想+2.7%)の市場予想を上回る結果や、(2)ドイツ債利回り上昇に伴うユーロ買い圧力(ドイツ10年債利回りは昨年11/14以来の高水準へと急上昇)が支援材料となり、欧州時間午後にかけて、高値1.0859まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(3)米5月リッチモンド連銀製造業指数(結果±0、予想▲6)の市場予想を上回る結果や、(4)米7年債入札の低調な結果、(5)米金利上昇に伴うドル買い圧力が重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.0800まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間5/30午前6時15分現在)では、1.0802前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は一時157.79(5/1以来の高値圏)まで続伸するなど、力強い動きが続いています。一目均衡表転換線が基準線を上抜けしたことで、強い買いシグナルを示唆する「三役好転」も成立しました。日足のみならず、1時間足・4時間足・週足でも買いシグナルが点灯しており、短期的にも、中長期的にも、地合いは強いと判断できます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる利下げ開始時期の後ずれ観測(9月FOMCでの利下げ見送りの織り込み度合は1週間前の41.9%から52.5%へ急上昇)や、(2)上記1を背景とした円キャリートレードの長期化期待(日米金利差は当面縮まらないとの見方からドル円ロングに安心感)、(3)日本政府・日銀による介入警戒感の後退(前回介入に踏み切った157円台に突入しているものの、イエレン米財務長官が繰り返し「為替介入は稀であるべきで事前の伝達が必要」と牽制しているため、実弾介入に踏み切る可能性は乏しい)など、ドル円相場の続伸を連想させる材料が揃っています。
本日予定されている米経済指標(米1ー3月期GDP改定値、米新規失業保険申請件数、米4月中古住宅販売成約指数)が市場予想を上回る場合や、米当局者(ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁、ダラス連銀ローガン総裁)よりタカ派的な発言が見られる場合には、米FRBによる利下げ開始時期の更なる後ずれ観測→米長期金利上昇→米ドル上昇の経路で、ドル円に強い上昇圧力が加わるシナリオが想定されるため、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします(まずは心理的節目158.00を上方ブレイクできるか否かに注目→158円台に突入できれば、日本政府・日銀による為替介入警戒感が一段と後退する可能性あり)。
本日の予想レンジ:157.00ー158.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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