ドル円133円台を堅調推移、リスクは依然下方向か
14日午前の東京市場でドル円は底堅く推移。朝方133.20レベルで取引の始まったドル円は、海外市場で大きく下げた反動から買い戻しの動きも入り一時133.94まで上昇。その後はやや戻し、東京時間正午現在は133.70レベルで取引されています。
日経平均株価は、米国での銀行経営破綻からのシステミックリスクへの懸念が払しょくできないまま銀行、保険等の金融関連株が売られたこと、米金利低下からのドル安進行で輸出関連銘柄にも売りが集まったことで下げ幅は一時700円を超えました。その後やや戻したものの、530円の大幅安で午前の取引を終了しています。
昨晩海外市場では米銀が相次いで破綻する異常事態の中、バイデン大統領が演説を行い預金者保護を確約。例外的に預金保険の適用範囲を拡大する等システミックリスク回避に努めた結果、米主要株価指数の下げは限定的なものとなり、NYダウは前日比90ドル安、ナスダック総合指数は前日比50ドル高で取引を終えています。一方で米長期金利は全タームで下げ、先週木曜に4%台に乗せていた10年物米国債利回りは一時3.41%台に低下。それに伴いドル円は、米国序盤に132.29まで下げ、その後は米金利の下げ止まり等から133円台前半に戻してアジア時間につなぐ荒い値動きとなりました。
テクニカルにはドル円は、先週末来の下落で転換線、21日線、90日線等の主要サポートを下抜け。一目均衡表の「雲」の上限付近で133.86レベルの基準線に絡む動きとなっています。
週明けのCME FEDWATCHでは先々のFRBの利上げ予想が一変。現在のメインシナリオは3月と5月に0.25%の政策金利引き上げを実施した後、6月以降は利下げに転じるシナリオとなっています。3月に関しては先週末まで4割を占めていた0.5%の利上げの可能性が消滅、逆に利上げ見送りが3割を占める劇的な変化です。結果として1週間前には5.25-5.50%が最大確率であった年末時点の政策金利は現在4.00-4.25%との予想が約3割で最大となっており、実に1.25%も予想金利が低下したこととなります。
もちろん、これらの数字には寝耳に水ともいえる米銀の連鎖倒産による一時的なショックの影響も含まれており、徐々に元に戻す方向に動く可能性は高いと思われます。一方で、今回の米銀破綻の背景に、FRBによる急激な政策金利の引き上げの副作用があったことは否定できず、金融システムを危機に晒したとの批判が強まることは避けられない状況です。
結果としてFRBがこれまでのような、強力な引き締めスタンスをとることが難しくなったのは事実であり、米金利が1週間前の予想水準に戻すのは困難と思われます。
ここまでの米市場の情勢と米金利見通しの急激な変化に対して、先週後半からのドル円の3-4円の下げは小さ過ぎ、まだ十分に材料消化できていない状況と言えます。そのため当面はドル円の一段の下落リスクに注意が必要です。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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