心理的節目137円を一時突破するも200日移動平均線に続伸を阻まれ失速
〇ドル円、米国時間朝方にかけて、高値137.10まで急伸後小幅に反落し136円台後半での推移
〇米4Q単位労働コストの上昇、米新規失業保険申請件数の良好な結果と米長期金利の上昇が背景
〇ユーロドル、安値1.0576まで急落、フィッチの独・伊年内リセッションの見通し等が重石に
〇ドル円、200日移動平均線に続伸を阻まれるも、下方向にサポート並び地合い強い
〇ファンダメンタルズも日銀は当面政策修正に動かないとの見方が大勢となり、ドル円をサポート
〇ドル高・円安トレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:136.00ー137.50
海外時間のレビュー
2日(木)のドル円相場は年初来高値更新後に反落。アジア時間朝方にかけて、安値136.02まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)高田日銀審議委員による「現行の大規模な金融緩和を続ける必要がある」とのハト派的な発言や、(2)ブルームバーグ社による「黒田総裁最後の3/9ー3/10会合でサプライズは的な政策修正は実施されない可能性が高い」との観測報道、(3)米10ー12月期単位労働コスト(結果+3.2%、予想+1.6%、※前期比年率)の市場予想を上回る結果、(4)米新規失業保険申請件数(結果19.0万件、予想19.5万件)の良好な結果、(5)米長期金利の急上昇(米10年物利回りは昨年11/10以来の高水準となる4.08%へ急上昇)、(6)心理的節目137.00突破に伴う仕掛け的なドル買い・円売りが支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値137.10まで急伸しました。
しかし、200日移動平均線をバックに伸び悩むと、米国時間午後にかけて反落し、本稿執筆時点(日本時間3/3午前5時50分時点)では、136.71前後で推移しております。尚、昨日はボストン連銀コリンズ総裁による「追加利上げの回数は今後のデータ次第」との発言や、アトランタ連銀ボスティック総裁による「高インフレを考慮するとFRBはより多くのことを実施する必要がある」との発言が見られましたが、市場の反応は限定的となりました。
2日(木)のユーロドル相場は急反落。アジア時間朝方にかけて、高値1.0673まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)前日海外時間の急ピッチなユーロ買いに対する反動売り(利食い売り)や、(2)フィッチ・レーティングスによる「ドイツとイタリアが年内にリセッションに陥る」との見通し発表、(3)米10ー12月期単位労働コストの市場予想を上回る結果、(4)米新規失業保険申請件数の良好な結果、(5)米金利上昇に伴うドル買い圧力、(6)短期筋のストップSELLが重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.0576まで急落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間3/3午前5時50分現在)では、1.0599前後で推移しております。
尚、昨日はラガルドECB総裁より「3月理事会で50bpの利上げが必要」との発言が見られた他、ECB議事要旨にて「景気は想定されていたものよりも底堅いことが判明」「エネルギーショックは想定以上に早く消える可能性がある」との見解が示されましたが、ユーロ買いでの反応は限定的となりました。また、注目されたユーロ圏2月CPI速報値(結果+8.5%、予想+8.3%)および、ユーロ圏2月コアCPI速報値(結果+5.6%、予想+5.3%)も市場予想を上回りましたが、こちらもユーロ買いには繋がりませんでした。
本日の見通し
ドル円は2/28に記録した直近高値136.93の上抜けに成功すると、一時137.10まで上昇しましたが、その後は、200日移動平均線に続伸を阻まれる形で136円台後半へと反落しました。但し、ダウンサイドに複数のサポートポイント(押し目買いポイント)が並んでいることや、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」が継続していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは強いと判断できます。本日も137.26近辺に位置する200日移動平均線を試す動きとなりそうです(同水準を突破できれば次のターゲットは昨年12/15高値138.18)。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、米FRBによる金融引き締め再加速の思惑(米10年債利回りは節目となる4%を突破し、一時4.08%へ急上昇)や、日銀による金融緩和の早期修正観測後退(日米正副総裁による所信聴取や高田日銀審議員の発言等を見る限り日銀は当面政策修正に動かないとの見方が大勢→円売り安心感)、日米金利差拡大に伴う円キャリートレード加速期待など、ドル円相場の続伸を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル高・円安トレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。
尚、本日は東京都区部2月消費者物価指数や、米2月非製造業PMI確報値、米2月ISM非製造業総合指数、米当局者発言(ダラス連銀ローガン総裁、アトランタ連銀ボスティック総裁、ボウマンFRB理事、リッチモンド連銀バーキン総裁)に注目が集まります。東京都区部2月CPIで前月比鈍化が示される場合や、米経済指標が市場予想を上回る場合、米当局者よりタカ派的な発言が相次ぐ場合には、上昇トレンドに弾みがつく可能性があるため、本日はアジア時間・海外時間共にドル円相場のアップサイドリスクに注意が必要と考えられます(一方、米2月非製造業PMI確報値や米2月ISM非製造業総合指数が市場予想を下回る場合には、力強さを見せていた1月分の米経済指標が単なる季節要因だったとの見方が再燃する恐れあり。この場合は週末のポジション調整も相俟って急反落に転じる可能性あり)。
本日の予想レンジ:136.00ー137.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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