ドル円、ウォラー理事のタカ派発言を材料に急伸するも上値余地は限定的か(11/15朝)

ドル円は週明けオセアニア時間に約2ヵ月半ぶり安値138.48まで下げ幅を広げるも、米国勢参入後に高値140.79まで急伸しました

ドル円、ウォラー理事のタカ派発言を材料に急伸するも上値余地は限定的か(11/15朝)

ドル円、ウォラー理事のタカ派発言を材料に急伸するも上値余地は限定的か

〇ドル円、週明け早朝に138.48まで下落の後、米国時間朝方にかけ高値140.79まで急伸
〇ウォラーFRB理事のタカ派発言、米中間選挙の上院の民主勝利がドルの支援材料に
〇買い一巡後はブレイナードFRB副議長のハト派発言等で140円割れまで値を崩す
〇ユーロドル、ECB関係者のハト派発言等に米国時間に1.0272まで下落後、1.0359まで反発
〇ドル円、上方に複数のレジスタンスポイント控え上値余地乏しい
〇ファンダメンタルズも米CPI鈍化に伴う米利上げペースの鈍化観測が重石に
〇引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想、本日米10月PPI要注視
〇本日の予想レンジ:139.25ー140.75

海外時間のレビュー

週明け14日(月)のドル円相場は大幅上昇。先週末金曜日に見られたドル独歩安(逆CPIショックの余波)の流れを引き継ぐ形で、週明けオセアニア時間に日通し安値138.48まで下げ幅を広げましたが、一巡後に下げ渋ると、(1)ウォラーFRB理事による「利上げを停止するまでにはまだ道のりは長い」とのタカ派的な発言や、(2)米中間選挙における民主党の上院過半数確定(激戦州ネバダ州で民主党が勝利→レッドウェーブ阻止に伴うドル売り観測後退)、(3)短期筋のショートカバー(心理的節目139.00及び140.00突破に伴う仕掛け的なドル買い・円売り)、(4)黒田日銀総裁による「現在は金融緩和の継続で経済活動しっかり支えていくべき局面」とのハト派的な発言、

(5)日米金融政策格差に着目したキャリートレードの再開期待が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値140.79まで急伸しました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(6)ブレイナードFRB副議長による「コアインフレ率に焦点を当てている」「利上げペースの減速に移行するのに適切な時期は近い」「急激な引き締めは経済に波及効果を生み出す」とのハト派的な発言や(7)米金利低下に伴うドル売り圧力、(8)米主要株価指数の堅調推移(リスクオンのドル売り圧力)が重石となり、本稿執筆時点(日本時間11/15午前5時00分現在)では、139.96前後まで値を崩す展開となっております。

週明け14日(月)のユーロドル相場は底堅い動き。(1)ウォラーFRB理事によるタカ派的な発言や、(2)米民主党の上院過半数確定報道(レッドウェーブ回避に伴うドルショートの巻き戻し)、(3)パネッタECB専務理事による「過度な引き締めは生産能力を破壊しリセッションを深刻化させる恐れがあるため避ける必要性がある」「決定的な根拠がない前提で積極的な引き締めを行うのは見当違い」とのハト派的な発言、(4)欧州債利回り低下に伴うユーロ売り圧力が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値1.0272まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(5)ブレイナードFRB副議長によるハト派的な発言や(6)米金利低下に伴うドル売り圧力、(7)欧米株の堅調推移(リスクオンのドル売り圧力)が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値1.0359まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間11/15午前5時00分現在)では、1.0349前後で推移しております。

本日の見通し

ドル円は週明けオセアニア時間に約2ヵ月半ぶり安値138.48(8/31以来の安値圏)まで下げ幅を広げるも、その後はドルショートの巻き戻しが活発化する中、米国勢参入後に高値140.79まで急伸しました(日通し安値から2.31円の大幅上昇→ボラタイルな相場環境が継続中)。但し、上方に複数のレジスタンスポイントを控えていることや、強い下落トレンド入りを示唆する弱気のバンドウォークが成立していること(ローソク足がボリンジャーバンド下限に沿って下落し続ける状態)、ダウ理論の上昇トレンドが終焉を迎えたこと(9/22安値140.35を下抜けたことで約8ヵ月に亘り続いてきた日足ベースの上昇トレンドがひとまず終焉)等を踏まえると、テクニカル的に見て、上値余地は乏しい(地合いは弱い)と判断できます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、米CPI鈍化に伴う米利上げペースの鈍化観測(米金利低下→米ドル売り)や、米政府・米当局による円買い介入容認観測(米財務省は先週発表した半期に一度の為替報告書の中で日本の為替操作国認定を見送り)など、ドル円下落を連想させる材料が増えつつあります(キャリートレードの巻き戻しを誘発する恐れ)。

こうした中、本日は米10月生産者物価指数および米当局者発言(ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁、フィラデルフィア連銀ハーカー総裁、クックFRB理事、バーFRB副議長)に注目が集まります。米10月生産者物価指数が市場予想を下回る場合や、米当局者(特に今年のFOMCメンバであるニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁、クックFRB理事、バーFRB副議長)よりハト派的な発言(昨日のブレイナードFRB副議長のように米利上げペース鈍化を示唆する発言や米利上げに伴う景気への悪影響を懸念する発言)が出てくる場合には、米金利低下→米ドル売りの経路で、ドル円には先週末金曜日のような強い下落圧力が再度加わるシナリオが想定されます。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。

本日の予想レンジ:139.25ー140.75

注:ポイント要約は編集部

ドル円、ウォラー理事のタカ派発言を材料に急伸するも上値余地は限定的か

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