ドル/円はレンジ抜けられず、小動き継続も
〇本日のドル円、動意らしい動意なく15ポイント程度のレンジ取引
〇今週は「今年一番の週間小変動」状態、レンジブレークの方向性注視される
〇材料面を鑑みレンジ放れは来週以降との見方も、目先は109円台での変動が続く可能性
〇本日発表の6月ミシガン大学消費者信頼感指数速報への関心高い、11-13日のG7サミットにも注目
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは108.90-109.80
<< 東京市場の動き >>
11日の東京市場はほぼ横ばい推移。わずか15ポイント程度のレンジ取引で、動意らしい動意はほぼうかがえなかった。
ドル/円は寄り付いた109.30円レベルが日中安値になったものの、上値も限られる展開。実際ドルの高値は109.45円レベルで、値幅はわずか15ポイント程度にとどまっている。日米株価の動きなどに着目しつつも、新規材料に乏しく、値動きも限られた。16時現在では、109.35-40円で推移し欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「中国情勢」と「暗号資産(仮想通貨)に関する悪材料」について。
前者は、中国英字紙が社説で、「米国の対中法案は冷戦に向けた本格的な配備」との見解を示す反面、米国サイドは米軍制服組トップが議会証言で「中国の軍備増強は深刻、世界の平和や安定に対する脅威が増している」などと警告を発していた。双方のやり取りは依然として続く。なお、そうしたなか中国で「反外国制裁法」が成立、米国のみならず日本や欧州などに対しても、今後対抗措置を講じることが容易になった。
対して後者は、ブルームバーグが「中国は暗号資産を使ったマネーロンダリング(資金洗浄)の一斉摘発に踏み切り、1100人以上を逮捕」と報じ思惑を呼ぶ。ビットコインなどにとっては悪材料か。さらに、IMF報道官は中米エルサルバドルによる「ビットコインの法定通貨採用に、経済・法律面で多くの懸念がある」とコメント。またバーゼル銀行監督委員会は「銀行がビットコインを保有する場合、損失が出た際に全額を埋め合わせるだけの資本を蓄えなければならない」とした暗号資産の規制案を公表するなど、相場環境としては厳しい内容が相次いだが、実際の価格変動は逆に底堅く推移していた。
<< 欧米市場の見通し >>
昨日筆者は、「今週だけに限定すれば、ドル/円は50銭の変動にとどまっている」と指摘したうえで、「仮にこのまま今週が終わるとなると、『今年一番動かなかった1週間』になる」とレポートした。そののち欧米時間に、ドル/円はそんな50銭レンジを一時上抜けしたものの、結局回帰しており、「明確なレンジブレーク」とは言えない状況だ。週間レンジ60数ポイントと、引き続き「今年一番の週間小変動」状態にあるなか、いまだレンジブレークの方向性などが注視されている。
市場では、引き続き広義の米ファンダメンタルズと金融政策に注目。ただ、昨日は注目の米消費者物価指数が発表され、ある程度の市場動意に繋がったがレンジブレークするまでには至らず。そうした意味では、本日も発表される米経済指標が注目されているものの、諦めムードとも言える失望を口にする向きもある。それよりも、目先を変える意味もあり、G7サミットなど一連の政治ファクターを警戒する声が聞かれていた。
テクニカルに見た場合、前述したように今週のドル/円相場は60数ポイントの変動にとどまっているうえ、109.20-110.30円といった1.1円レンジも気が付いたら2週間以上経過している。まずは前者、さらには後者についてもレンジ放れを期待しているが、材料面などを鑑みたうえで「来週以降に持ち越される」といった見方も取り沙汰されていた。目先的には109円台における変動が続く可能性もある。
材料的に見た場合、中長期的には領有権をめぐる周辺国との対立や人権問題など話題に事欠かない「中国情勢」や「北朝鮮情勢」、「イラン情勢」、「露・ウクライナ情勢」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種」、「米金融政策の行方」−−などが注視されている。
一方、本日の新規材料として、関心の高い6月のミシガン大学消費者信頼感指数速報が発表される予定だ。数字如何で相場が荒れる可能性も否定できない。それを除くと11-13日の日程で実施されるG7サミットに注目。ちなみに、議長国である英政府の発表によると、全体として議題ごとに6つのセッションに分類され、初日11日には「パンデミックからの復興」が集中的に議論されるという。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは108.90-109.80円。昨日高値の109.79円が最初の抵抗。上抜ければ110円前後がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、直近安値109.18円をめぐる攻防にまずは注目。底堅いイメージもあるが、109円を割り込むと様相が変化しそうだ。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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