ドル円、米長期金利の急低下を横目に約3週間ぶり安値圏へ
〇ドル円、米株上昇、10年債利回り急低下に一時108.63まで下落
〇NY連銀製造業指数、フィラデルフィア連銀製造業指数等指標強いがドル買いは限定的
〇ユーロドル1.1995まで上昇するも伸び悩み1.19台半ばまで反落
〇ドル円3週間ぶり安値に沈み、テクニカルにはさらなる下落意識させるチャート形状
〇ファンダメンタルズは米指標の好悪ともにドル売りで反応する傾向に
〇本日午前の中国指標、米住宅着工件数等要注視、日米首脳会談開催予定
〇本日の予想レンジ:108.30ー109.00
海外時間のレビュー
15日(木)の外国為替市場でドル円は続落。@米主要株価指数の上昇を背景としたリスク選好のドル売り圧力(米ダウ平均は史上最高値更新)や、A新型コロナウイルスの感染再拡大懸念、B米中対立激化懸念、C米早期テーパリング観測の後退に伴うドル売り圧力(米早期テーパリング観測後退→米10年債利回りが3/11以来となる1.53%へ急低下→ドル売り)、Dサンフランシスコ連銀デイリー総裁による「インフレが好ましくないほど上昇することはないだろう」とのハト派的な発言が重石となり、米国時間午後にかけて、3/24以来となる安値108.63まで下落しました。
引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間5時40分現在)では、108.72近辺で推移しております。尚、昨日発表された米3月小売売上高(結果8.4%、予想5.0%)、米4月ニューヨーク連銀製造業景気指数(結果26.3、予想19.5)、米4月フィラデルフィア連銀製造業景気指数(結果50.2、予想42.0)、米新規失業保険申請件数(結果57.6万件、予想70.0万件)は軒並み力強い結果となりましたが、ドル高での反応は限定的となりました(米経済指標と米ドルの相関変化が明らかに)。
15日(木)のユーロドル相場は上昇後に伸び悩む展開。@米長期金利の低下に伴うドル売り圧力や、A米主要株価指数の堅調推移を背景としたリスク選好のドル売りが支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、高値1.1995まで上昇しました。しかし、心理的節目1.2000をバックに伸び悩むと(戻り売りが強まると)、B欧州圏における新型コロナウイルスの感染拡大懸念や、Cドイツの主要シンクタンクによる「ドイツの第一四半期のGDPは1.8%減少した」との見解発表が重石となり、米国時間には一時1.1956まで反落する場面も見られました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間5時40分現在)では、1.1968近辺で推移しております。
本日の見通し
ドル円は一時108.63まで下落するなど、約3週間ぶり安値圏へと沈みました。240分足で強い売りシグナル(一目均衡表三役逆転+200MA割れ)が点灯している他、日足ベースでも、これまでドル高・円安トレンドを支えてきた一目均衡表三役好転が終了するなど、テクニカル的に見て、更なる下落を意識させるチャート形状となりつつあります(目先は3/23に記録した安値108.40を試すシナリオを想定。同水準を割り込めば、中長期上昇トレンド終了→投資家心理の更なる悪化→見切り売り誘発の恐れ)。こうした中、本日は日本時間11:00に発表される中国の主要経済指標(第1四半期GDP、3月小売売上高、3月鉱工業生産、3月固定資産投資)や、同21:30の米3月住宅着工件数、同23:00の米4月ミシガン大消費者信頼感指数・速報値に注目が集まります。
最近は冴えないファンダメンタルズが出た際はリスク回避の円買い、良好なファンダメンタルズが出た場合はリスク選好のドル売りで反応する傾向にあるため、ドル円はいずれの場合においても下落で反応する可能性が高いと考えられます(力強い米経済指標が発表されても、以前のように米早期テーパリング観測浮上→米長期金利上昇→ドル高で反応しづらくなった。事実昨日も良好な米経済指標のあとに、米長期金利低下→株高→ドル売りの反応が見られた)。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は菅首相とバイデン米大統領の初の日米首脳会談が予定されております。
本日の予想レンジ:108.30ー109.00
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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