2018年のNZドル対米ドルの見通し

2018年のNZドル・米ドルの年初は週足・月足の上昇トレンドラインに沿って、当面0.75米ドルの抵抗線を試せる中にいます。

2018年のNZドル対米ドルの見通し

(1) ファンダメンタルズ分析

「FX羅針盤」の年間相場見通しシリーズ第四弾は橋本さんのニュージーランドドル年間予想です。
ニュージーランド経済を日々追われている橋本さんは昨年の年間予想もほぼ的中。比較的好調とされっる同国経済ですが、今年はどのような為替相場の展開を予想されるのでしょうか。(編集部)

米・NZのGDP

米・NZのGDP

図@とAはNZと米国のGDP比較ですが、2016年には大きく開いていた成長格差が2017年にはかなり狭まっています。NZ経済の横這い状態に米国経済が追い付いた構図になっています。これはNZ経済の住宅バブルになる前のソフトランディングを狙った政策(ローン制限など)や農産物価格の低迷による貿易収支の悪化などが要因していました。しかしながら、NZは新政権樹立で、4つの新政策(下記注ご参照)により、中銀はGDPの上昇予想をしており、年央からGDPが若干ながら上向きになっています。IMFの見通しでもNZ経済>米国経済ですので、この格差の縮小傾向はここまでになりそうで、少なくとも成長格差逆転までは見通し難くなっています。但し、1月22日に出たPMI指数が4年振りの悪い数値になり、企業が先行きに懸念をもった状況となっているので、今後数ヶ月のPMI数値をウォッチする必要あります。

(注)新政権の政策は、新たな財政支出、KiwiBuild programme(10万戸の高品質住宅の建設)、入国ビザの厳格化、財政刺激策の増加。

(1)	ファンダメンタルズ分析

図BはIMFの見通しですが、2018年以降のNZは2016年と2017年の高成長からは減速見通しになっていますが、少なくともNZ経済>米国経済予想となっています。

但し、ここで少し触れておきますが、豪州との成長率格差は2019年には逆転する予想になっており、将来的な金利への影響度合いは豪州>NZになりそうです。

(1)	ファンダメンタルズ分析 2枚目の画像

図CはNZ統計局作成の2017年直近までの消費者物価指数を示したものです。中央にある灰色の実線が消費者物価指数、点線が貿易除くインフレ、薄い灰色が貿易関連インフレで、1〜3%にある薄いピンクの帯が中銀のインフレ目標です。2016年末に中銀目標内に入ってきた消費者物価指数は目先はレンジ内の下限方向に下がっています。このため中銀は依然として先行き政策金利は緩和状態を維持したままにいます。まだ利上げ気運が高まらない状態が続きます。
(図C、D、Eの出所はNZ中銀)

(1)	ファンダメンタルズ分析 3枚目の画像

また、図Dは中銀のCPI予想です。今後2〜3年間で2%程度(灰色の棒グラフ)で横這っています。中銀目標値内ですが、インフレ高進の見通しにはなっていません。

(1)	ファンダメンタルズ分析 4枚目の画像

そして、図Eでは政策金利の上げは2019年央から緩やかとの中銀見立てになっています。

米・NZ政策金利推移

米・NZ政策金利推移

NZと米国の金利差ですが、2015年央まで圧倒的な金利差を有していた両国ですが、2016年以降は接近しています。米国中銀とNZ中銀の先行き政策金利予想をベースに考えると、今年は金利差が逆転する可能性高いことになります。従いまして、金利差の観点からはNZドルは弱いことになります。

NZの主要輸出品目は農産物で、その農産物価格は底打ちしているものの、豪州の様な鉱山関連品価格ほどの回復が見られない状況になっています。
比較的幅広い商品を採用しているCRB指数を見ると2016年には底打ちしていますが、ここ2年間は170〜200の間を横這っています。因みに2014年の高値が313付近、2016年1月の底値が160付近で、現在は195付近で推移しています。
比較的経済は良好で、かつ低金利を維持できるNZは将来的に一層良くなる可能性を秘めていますが、2018年に限ると金利差面で米ドルが選好され易い環境になっています。その意味で米国の利上げの先送り観測(利上げ回数減少)が出れば、米ドル買いには悪影響となりそうです。

(2) テクニカル分析

NZドル/米ドルの月足チャート(2018年1月22日現在)

NZドル/米ドルの月足チャート(2018年1月22日現在)

大きなトレンドはNZドル高を継続しており、ラインA(青)とラインB(緑)内で揉み合っています。現在はラインCとその平行線であるラインDでNZドル高トレンド内にいますが、NZドル買いに勢いが少ないので、値幅狭いラインE内での上昇になっています。

現在、ラインAは0.60、ラインBは0.8840、ラインCは0.6750、ラインEは0.7780にそれぞれいます。ラインDははるか上にあり、これはラインBの抵抗線を越えてからの話になります。従い、現在は0.6750〜0.7780米ドルの上昇トレンド、下限を切ればAの0.60米ドル方向、越えればBの0.8840米ドルとなります。

NZドル/米ドルの週足チャート(2018年1月22日現在)

NZドル/米ドルの週足チャート(2018年1月22日現在)

上図は週足チャートです。週足と月足では形状違いで目盛も変わってきますが、概ね月足のラインCとEが同じ様な位置にいますので、そのままCとEを使用しています。このNZドル高トレンド内にラインFの0.75米ドルの抵抗線が控えています。ここは2012年以降のサポートラインであり、下限を切ったあとの戻り高の水準になっています。トレンド内でも、ここを越えないとEの0.7780米ドル付近までの上値余地が広がりません。その際はラインCまでの調整に入ります。もしラインCを切ったりすると、フォーメーション開始時点の0.6250米ドルが視野に入ります。

NZドル/米ドル週足チャートと38週線(2018年1月22日現在)

NZドル/米ドル週足チャートと38週線(2018年1月22日現在)

上図はNZドル/米ドル週足に38週線を加味したものです。2016年までは移動平均線の上下である程度のトレンドを形成していましたが、2017年は38週線が相場の中間点に位置した形になっています。現状では38週線上にあるので、NZドル高となり、当面0.75米ドルを狙う形になっています。そしてその抵抗線を越えられればNZドル高継続になりますが、反落した場合には38週線(0.7140米ドル)方向に向かうことが予想されます。

以上より、当面は中期のNZドル高トレンドラインに沿った動きが予想され、レンジの上限を越える勢いが見られず、暫くは何度か上下を繰り返しながら、1つずつ抵抗線をクリアしていく可能性が高いと思われます。

2018年見通し

2018年のNZドル・米ドルの年初は週足・月足の上昇トレンドラインに沿って、当面0.75米ドルの抵抗線を試せる中にいます。もしここで止められるとファンダメンタルズで金利差逆転の思惑から0.6750米ドルのトレンドライン下限方向までの調整が考えられます。
しかしながら経済成長格差ではNZ>米ですので、中期は時間経過でNZドル選好の動きになりそうです。年間のレンジとしては0.69米ドル〜0.78米ドルを予想します。
(以上)

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る