戻りを試しそうな形状のなか、低成長予想の第2四半期GDPに警戒
【今週の豪ドル】
今週は、7月消費者物価指数(CPI)が前年同月比3.5%増と市場予想(同3.4%増)を上回ったが、6月の同3.8%増から鈍化し、4カ月ぶりの低い伸びとなった。CPI発表後も豪ドルは目立った動きは観測されず、98円前後の横ばい推移となった。
オーストラリア統計局が28日に発表した7月CPIは、電気とガソリンの価格が下落した一方で家賃と食品価格が上昇した。クイーンズランドと西オーストラリア両州で始まった電気料金補助によって電気料金は6.4%下落。8月以降、他の州でも実施されることで電力価格の低下は続く可能性がある。
7月CPI発表後、金融市場ではオーストラリア準備銀行(RBA)が11月に利下げする確率が58%から48%に低下。週末にかけて、豪ドルは一時99円台に迫る動きも見られたが、上値は重く週を通して狭いレンジでの推移となった。
豪ドル・円(東京時間:8月26日―8月30日(終値は9時台終値を参照))※Investing.comの日足を参照
始値: 97円99銭
高値: 98円99銭
安値: 97円25銭
終値: 98円40銭
【今週と来週の重要指標】※時間は東京時間
8月28日
10時30分、7月消費者物価指数、前回:3.8%、市場予想:3.4%、結果:3.5%
8月30日
10時30分、7月小売売上高、前回:0.5%、市場予想:0.4%、結果:0.0%
9月2日
10時30分、7月住宅建設許可(前月比)、前回:−6.5%
9月3日
10時30分、第2四半期経常収支、前回:−49億豪ドル
9月4日
10時30分、第2四半期実質GDP(前年比)、前回:1.1%、市場予想:0.9%
10時30分、第2四半期実質GDP(前期比)、前回:0.1%、市場予想:0.2%
9月5日
10時30分、7月貿易収支、前回:55.89億豪ドル
※予定は変更することがございます。
【今週末から来週の見通し】
今週末から来週の豪ドルは、9月3日に第2四半期経常収支、4日に第2四半期実質GDPと重要な経済指標発表を多く控えているほか、8月31日には経済的なつながりの深い中国の8月製造業PMI及びサービス業PMIも発表されるため、手掛かり材料は豊富だ。強い経済指標が確認できた際、8月の上値抵抗となっている99円水準を上回る可能性はあるが、足元の実質GDPは弱いことから豪ドルの重しとなりそうだ。
6月に発表された第1四半期実質GDPは前期比0.1%。前年同期比では1.1%となり、2021年第1四半期以降で最も低い成長率となった。第2四半期の市場予想は前期比0.2%、前年同期比0.9%と微妙なところだ。市場予想を下回る弱い経済成長となった場合、早期の利下げ観測が高まることから豪ドルの重しとなろう。
また、中国国家統計局より発表される8月の製造業PMI及びサービス業PMIも要警戒と考える。7月の製造業PMIは3ヵ月連続好不況の境目となる50を下回った。7月のサービス業PMIは好不況の境となる50を上回ったが、低下傾向にある。足元、建築業の新規受注指数も悪化。不動産市況の悪化による影響が主因とみられるが、不動産以外の業界や政府部門による投資が落ち込んでいる可能性もありPMI一段の低下を警戒したいところだ。
日足の一目均衡表では、8月5日に長い下影(下ヒゲ)を残した後は転換線水準を推移している。下向きの基準線より上を推移しているほか、20日移動平均線もようやく上向きに転じるなどチャート形状は悪くない。今週から来週にかけての豪中経済指標次第では、99円水準の上値抵抗を上回りそうな形状だ。
豪ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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