トルコリラ円見通し 対ドルでのリラ安一服でトルコリラ円も下げ渋り13円挟んだ持ち合い(21/9/14)

トルコリラ円はドル安リラ高を背景にジリ高基調を続けて13円台前半へ戻した。

トルコリラ円見通し 対ドルでのリラ安一服でトルコリラ円も下げ渋り13円挟んだ持ち合い(21/9/14)

対ドルでのリラ安一服でトルコリラ円も下げ渋り13円挟んだ持ち合い

〇昨日のトルコリラ円、ドル安リラ高を背景にジリ高基調を続け13円台前半へ戻す
〇ドルトルコリラ、9/13午前安値8.47までいったん売られたが、下落一服でその後ジリ高で推移
〇安値8.51〜高値8.36のレンジ内推移、米FOMC・トルコ中銀金融政策決定会合が当面の最大のポイント
〇昨日発表のトルコ7月鉱工業生産・小売売上高は鈍化、感染再拡大の影響もあるか
〇13円以上での推移中は上昇余地ありとみる、13.08超えからは13.15前後への上昇を想定する
〇13円割れからは下向きとして12.94試しとし、12.94割れからは12.90前後への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の9月13日は13.05円から12.94円の取引レンジ、14日早朝の終値は13.03円で週末終値12.95円からは0.08円の円安リラ高だった。
9月3日トルコ物価上昇率と米雇用統計の発表を挟んで13.29円から13.14円までのレンジで揉み合いに入っていたところ、トルコ中銀総裁の利下げ余地に含みを持たせる発言をきっかけにリラ売りとなり、米雇用統計通過後のドル高再開感も重なって8日夜に13円を割り込み、9日夕刻にはドル円の下落もあり夕刻安値で12.89円まで一段安となった。

対ドルでのリラ安が9日午後へ一段安したところで下げ一服となってリラ買い戻しの動きが優勢となったために10日夜には13.08円まで戻したが、10日深夜からはドル高リラ安が再燃したことで13.10円超えには進めずに戻り売りにつかまって11日早朝にかけて再び13円を割り込んで先週を終えた。
週明けはユーロドルが夜へ一段安するなどドル高も続いたが、ドル/トルコリラは午後からドル安リラ高へ向かい、ドル円も夕刻に110.15円まで戻してから失速したものの110円を挟んだ揉み合い程度にとどまったためにトルコリラ円はドル安リラ高を背景にジリ高基調を続けて13円台前半へ戻した。

【米雇用統計後のドル高一服で対ドルでの下落一服】

ドル/トルコリラの9月13日は8.47リラから8.39リラの取引レンジ、14日早朝の終値は8.42リラで週末終値の8.45リラからは0.03リラのドル安リラ高となった。
トルコの物価上昇継続により当面は利下げできないとしてリラの買い戻し優勢の流れで8月11日安値8.67リラから9月3日夜高値8.24リラまで上昇してきたが、米雇用統計通過後に為替市場全般がドル高へ風向きを変えたことでドル高リラ安に流れが変わり、トルコ中銀総裁発言によるリラ売りが重なって9月9日夕刻には8.51リラまで急落したが、8.50リラ台到達で突っ込み警戒となり10日夜にドル高が弛んだところで8.36リラまで持ち直した。週明けの13日は午前安値8.47リラまでいったん売られたもののその後はジリ高で推移している。

9月9日夕安値8.51リラと10日夜高値8.36リラの後はこの高安レンジ内での推移であり、60分足レベルでは三角持ち合いの様相となっている。今晩は米CPI統計発表もあるため為替市場全般も動きやすいところであり、三角持ち合いを上下いずれへ抜けるのかによりドル/トルコリラの方向性も見えてくると思われるが、当面する最大のポイントは9月21-22日の米FOMC、9月23日のトルコ中銀金融政策決定会合となる。

【トルコの7月鉱工業生産、小売は低調】

9月13日16時発表のトルコの7月鉱工業生産は前月比で4.2%減となり6月の2.2%増からマイナスへ悪化した。前年同月比は8.7%増で6月の24.1%増から大幅に鈍化した。6月の統計は昨年のコロナショックを反映したところであり前年同月比が鈍化しても当然だが、前月比で7月がマイナスに転落したことは景気回復への楽観を後退させるものだった。
7月の小売売上高は前月比で0.7%増となり6月の15.0%増から大幅に鈍化した。前年同月比は12.3%増で6月の18.1%増から鈍化した。

対ドルでのリラ安一服でトルコリラ円も下げ渋り13円挟んだ持ち合い

トルコの新型コロナウイルスの感染拡大は4月に過去最大となる第三波のピークを付け、7月序盤までにいったん終息したが7月後半から再び増加に転じて第四波の様相となっている。6月は急速に感染者数が低下する中で小売等が持ち直したが、7月後半からは感染再拡大の影響も出ているようだ。また世界全体の規模では6月末を底として第三波の感染拡大が発生し、特に世界の工場でもあるアジアでの生産・部品供給の支障等が発生したことも影響を及ぼしたと思われる。
9月11日にトルコのイスタンブールで新型コロナワクチン接種やPCR検査及びマスク着用等の規制に反対して2千人規模の抗議デモが発生したと報じられているが、パンデミックの長期化による国民のストレスは世界中で高まっているといえる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月4日早朝安値から7日夕刻まで戻り高値を切り上げてからの急落で4日早朝安値に迫ったために8日午前時点では7日夕高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして8日深夜から13日朝にかけての間への下落を想定していたが、9日夕刻へ一段安したところから戻しに入ったために10日午前時点では9日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして10日夕から14日夕にかけての間への上昇を想定した。
11日早朝への反落では底割れを回避して持ち直しているのでまだ高値切り上げへ進む可能性があるが、すでに反落注意期にあるので13円割れを弱気転換注意とし、11日早朝安値12.94円割れからは弱気サイクル入りとして14日午後から16日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では9月14日早朝へのジリ高により遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、高値切り上げが続かないと遅行スパンは悪化しやすくなると注意し、先行スパン転落からは下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は週末に30ポイント台へ低下したところから60ポイント台へ戻したが、14日午前はやや低下気味となっている。50ポイント以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとするが、45ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント割れを試す流れと考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、13.00円を下値支持線、10日夕高値13.08円を上値抵抗線とする。
(2)13円以上での推移中は上昇余地ありとみる。13.08円手前は反落注意とするが13.08円超えからは13.15円前後への上昇を想定する。13円以上での推移なら15日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)13円割れからは下向きとして11日早朝安値12.94円試しとし、12.94円割れからは12.90円前後への下落を想定する。12.90円以下は反発注意とするが、12.94円以下での推移なら15日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

9月14日
 19:30 8月 自動車生産 前年同月比 (7月 -44.6%)
9月15日
 17:00 8月 財政収支 (7月 -458億リラ)
9月16日 週次外貨準備高・グロス 9/10時点 (9/3時点 780.5億ドル)
9月20日
 23:30 8月 中央政府債務 (7月 203.2億リラ)
9月22日
 16:00 9月 消費者信頼感指数 (8月 78.2)
9月23日
 20:00 トルコ中銀 政策金利・週間レポレート (現行 19.00%)
 20:00 トルコ中銀 政策金利・翌日物貸出金利 (現行 20.50%)
 20:00 トルコ中銀 政策金利・翌日物借入金利 (現行 17.50%)
 20:00 トルコ中銀 政策金利・後期流動性貸出金利 (現行 23.50%)
 20:30 週次外貨準備高・グロス 9/17時点



※ポイント要約は編集部

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