売買益とは

FX(=外国為替証拠金取引)で利益を上げるには大きく分けて二つの方法があります

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売買益とは

為替の売買による売買益を得る

FX(=外国為替証拠金取引)の基本はこれからA)値段の上がりそうな通貨を安く買って高く売るか、これからB)値段の下がりそうな通貨を高く売って安く買い戻すかすることによって利益を上げることです。

A) の場合
あなたは1米ドルが80円だった2012年の2月にFX(=外国為替証拠金取引)で10,000ドルを買ったとしましょう。
それが2015年の2月にはアベノミクスの進展とアメリカの景気への期待回復から1ドルは120円に上昇、利益が出たのでドルを全部売りました。

2012年に10,000ドルを買ったとき売った円は10,000×80円=800,000円でした。
2015年に10,000ドルを売ったときの買い戻した円は10,000×120円=1,200,000円です。

結果としてこの取引でドルは1,000(買い)-1,000(売り)=0でゼロ、円は-800,000(売り)+1,200,000(買い)=400,000円で利益の40万円だけが手元に残ります。

ところでこの取引にはいくらの証拠金が必要となるでしょうか?最初に10,000ドルを買うための800,000円でしょうか?違います。

FXの証拠金取引は、例えばドルを買ったといっても実際に現金を受け取るわけではなくあくまで先物取引のような形で何かを売って(この場合は円)等価の何かを手に入れる(この場合はドル)取引なので実際のお金は取引開始時点では動きません。
10,000ドルと80万円は等価ですからお金を受け取ることも支払うこともないのです。
もう少し別の言い方をすれば口座を開いた金融機関から80万円を借りてきてそれを使って10,000ドルを買って金融機関に預けた状態といえばよいでしょうか。

それでは取引の最初の時点では資金は必要ないのでは?というとこれも違います。今回の例のように首尾よく利益が上がればよいのですが、FXはどちらにも動く可能性があります。

もし逆方向に40円動いて1ドルが40円になっていたとしたら。10,000ドルの価値は400,000円に下がってしまいます。 
最初に800,000円を「借りて」(実際には貸借契約は結びませんので厳密には借りてはいませんが、理屈は借りているのと同じです)10,000ドルを買っていますので今その10,000ドルを売って400,000円を対価として得られても最初に「借りた」800,000円は返せないので残り400,000円は自分のお金で補填しなければなりません。これがFXで損失が出る一番わかりやすいケースです。

しかし、いざ400,000円の損失が出てもそのお客さんは実はお金を持っていないかもしれません。そのため、FXを取扱う会社は損失が出たときの保証金(担保)を取引の前に預かります。これをFX(=外国為替証拠金取引)における「証拠金」と呼びます。
必要な証拠金は業者、通貨の種類、市場の状況により変化しますが、前述の改正外為法により最小の証拠金料率が元本の4%に定められています。すなわち上のケースでその料率が適用されていた場合はスタート時点では10,000ドル×4%×80円=32,000円が証拠金として必要になります。このケースでは32,000円で10,000ドル=800,000円の取引ができますのでこの比率800,000÷32,000=25を「レバレッジが25倍である」と呼びます。

上の利益が出た例ではわずか32,000円の資金で400,000円もの取引を上げられたことになります。これが小額の資金でレバレッジ(てこの原理のてこのこと)をかけて大きく利益が出せるFX(=外国為替証拠金取引)の醍醐味でもあります。

一方で損失が出てしまったケースでは、40万円の損失は差し入れた3万2千円の証拠金だけでは担保として不十分です。
そのため実際にはそこまで損失が膨らむ前に取引停止の決済がなされます。

取引に必要な証拠金は預け入れたお金の中からその時点での損失分を差し引いて残った分から差し入れる必要がありますので、必要最小限の証拠金で取引を始めると最初に取引を始めた時点から少しでも不利にレートが動くと証拠金が不足します。

例えば上のケースで当初80円だった為替レートが一旦79円になったとしましょう。すると10,000ドルの対価は790,000円で最初に「借りた」800,000円には一万円不足です。
このときに必要な証拠金は10,000×79円×4%=31,600円 しかし当初預け入れた32,000から発生している損失を差し引くと22,000円しかなく、必要な証拠金31,600円には31,600-22,000=9,600円が不足します。この不足分は通常取引会社で常に最新の値が計算されて表示され追加の差し入れを求められます。これをマージンコール(追加の証拠金の差し入れ要請)と呼びます。そして定められた時間までに速やかに追加の証拠金を送金しなかったときには、すべての取引が解消されて損失が確定します。これを強制ロスカットと呼びます。

マージンコールや強制ロスカットは恐ろしげな制度のようにも聞こえますが、上のケースで強制ロスカットが行使されても手元には最初に差し入れたお金のうち22,000円は残ります。つまりドルを買ってしばらく放置していて気がついたら400,000円も損をしていたということは通常は起こらない仕組みになっています。マージンコールやロスカットは投資家自身を守るセーフティーネットの役割を果たして果たしているのです。

B)の場合

ではもしこれからドルが下がりそうだと思った場合はどうしたらよいでしょう?
外貨預金であれば打つ手はありません。ドルが下がりそうだと思うのにドルを買うことしかできないからです。せいぜい「外貨預金を作らない」という選択肢があるだけでしょう。
しかし、上で説明したようにFX=外為証拠金取引において証拠金は円で預けてはいるものの別にそのお金で外貨を買っているわけではありません。証拠金はあくまで損失が発生したときの担保であり、取引自体は何か(通貨)を借りてきて売りその対価として何か(別の通貨)を買う取引です。

そのためFX=外為証拠金取引では外貨預金ではできない外貨の下げを見越して外貨を売ることから取引を始めることができます。
  
リーマンショック直後の2008年9月当面の事態の収束は望めずリスク回避の円買いが強まると考えたあなたはドル円での円高を想定105円で10,000ドルを売り、1,050,000円を買いました。この場合の必要証拠金は10,000×4%×105円=42,000円ぎりぎりだとすぐにマージンコールがかかってロスカットされてしまう恐れがあるので50,000円を入金しました。(このお金はあくまで取引のための担保ですのでこの円を売ってドルを買うわけではありません)

これはすなわち、10,000ドルを「借りて」きてそのドルを売却して対価で円を買ったということと意味としては同じです。A)の例では円を借りてきてそれを売ってドルを買いましたが担保さえ預けてあればFX=外為証拠金取引では証拠金の通貨が円であっても取扱いのどの通貨でも「借りて」きて売ることができます。

その年の12月には予想通りドルは90円まで下落。そこであなたは10,000ドルを900,000円で買い戻します。するとドルは-10,000ドル(売り)+10,000ドル(買戻し)=0、円は1,050,000(買い)-900,000円(売却)=150,000円となり、ドルの売り買いは相殺されて消え、手元には150,000円だけが残ります。
このようにFX=外為証拠金取引ではある外貨が下落すると考えた場合にはその外貨を売ることから取引を始め収益を狙えることも大きなポイントです。



※「FX羅針盤」のを運営する株式会社カカクコムのメインサイト「価格.com」にも羅針盤でオセアニア通貨をご担当されている川合美智子先生の執筆された入門ガイド「FXとは?」が掲載されています。あわせてご参照ください!



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