ドル円見通し 108円割れから戻したが頭重い(1/11)

1月10日、パウエル議長はワシントンの討論会で「インフレを踏まえるとFRBは利上げに忍耐強くなれる」と利上げへの慎重姿勢を繰り返したが、

ドル円見通し 108円割れから戻したが頭重い(1/11)

ドル円見通し 108円割れから戻したが頭重い

【概況】

1月3日午前のパニック的な暴落が一服して4日から8日まではリバウンドが続き、8日には109.08円をつけたものの109円台を維持できず、9日夜から10日午後にかけてのドル安局面で107.74円まで下げた。10日夜は米長期債利回りが反発、ドル指数が反発したためにドル円も戻し、11日未明には108円台を回復している。
1月3日の瞬間暴落的に下げたところの安値104.82円から8日への戻り幅は4.26円だが、瞬間急落分を差し引けば戻り幅は2.40円程度であり、10日への下げ幅は半値強の下げだった。8日の109円到達後は株高が続いたにもかかわらず頭の重さが目立ち109円前後では抵抗感が感じられたが、1月3日の暴落前は2日の安値が108.70円、3日早朝高値が109.46円であり、数時間の暴落を4日かけてほぼ解消したもののそれ以上へは進めなかったという状況にある。

1月4日からの反騰では4日深夜のパウエル議長の討論会発言で利上げ姿勢が後退した印象となってドル安を助長したことが背景となり、7日から始まった米中通商協議での前向き進展期待がドル円にとってはややリスクオンとして上昇に寄与していた。

1月10日、パウエル議長はワシントンの討論会で「インフレを踏まえるとFRBは利上げに忍耐強くなれる」と利上げへの慎重姿勢を繰り返したが、「米景気が近く後退する兆しは見られない」「トランプ大統領が利上げを繰り返し批判していることには気にしていない」「ホワイトハウスからは面会の案内はない」 等と発言した。内容自体は4日深夜発言を踏襲したものだが、4日深夜と異なって市場は利上げ継続姿勢がさほど変わらないのではないかと受け止めてドル高反応を見せた。このためドル円も108円台を回復している。

米中通商問題での次官級協議が7日から北京で開催されて9日まで延長され、10日には米中双方からの前向きな発言が期待されたものの市場が楽観を取り戻す程のステートメントは出ていない。次官級協議の次は閣僚級協議、さらに首脳会談へステップアップする必要がある。トランプ大統領は米中協議が上手く進んでいると発言したもののメキシコ国境の壁建設予算を巡る議会との対立により非常事態を宣言する可能性とともに米中首脳会談が期待されているダボス会議を欠席する意向を示した。3か月の関税強化留保期間内に米中協議が決着すれば株式市場も楽観的な強気相場を回復し、ドル円もリスクオン心理を主として株高円安のセットでの推移へ進む可能性があるものの、これまで何度も次官級及び閣僚級協議が最終合意に達しなかったことを踏まえると、当面は疑心暗鬼な展開が続き、やや楽観的に株高が継続したとしてもドル円は慎重姿勢を継続しやすいのではないかと思われる。

【米連銀当局者発言】 

パウエル米FRB議長:利上げ「忍耐強く」を強調、ワシントンでの討論会発言
1.利上げに「忍耐強く」なれる
2.世界経済の減速が米景気に影響を及ぼせば、「柔軟かつ迅速に政策対応ができる」
3.あらかじめ決まった政策の方向性はない
4.米経済は昨年からの勢いが今年も継続する
5.インフレ率は2%近くで推移するだろう
6.中国経済は懸念の材料の一つで注視しているが、今年も引き続き底堅い成長になるだろう
7.トランプ大統領による利上げ批判については「気にしていない」「ホワイトハウスからは面会の案内はない」

米セントルイス連銀ブラトー総裁(FOMC投票権あり) 記者団への発言
1.利上げ局面は「行き止まり」
2.成長の鈍化が今年予想される中での追加利上げ想定をやめるべきだ
3.昨年12月の利上げには反対した
4.一段の利上げに踏み切ればFRBには政策ミスの危険性がある

米リッチモンド連銀バーキン総裁(FOMC投票権なし)、記者会見
1.長引く米政府機関の一部閉鎖により経済状況や金利の方向性をめぐり不透明感が増す恐れがある
2.連邦機関が発表する経済指標にも影響が及びかねない。これら経済指標はFRB一段の利上げに踏み切るかどうかの判断材料。
3.現行の金利は景気を刺激も抑制もしない「中立」にはまだ至っていないがその水準に近づいている
4.「忍耐は美徳だ」=利上げ見送り姿勢?

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月3日暴落時の安値を直近のサイクルボトムとして上昇期に入っていたが、リバウンドも丸4日目に入ったため9日朝時点では1月8日午後高値を直近のサイクルトップと仮定して弱気サイクル入りとした。9日深夜からの下落が続いていたために10日朝時点ではまだ一段安余地ありとし、10日午後へ続落の場合は7日安値を基準として10日午後から14日の日中にかけての間への下落を想定するとした。
10日午後への続落により、直近のサイクルボトムを7日午前安値と改める。ボトム形成期は10日午前から14日にかけての間と想定されるので、10日午後安値でサイクルトップをつけた可能性がある。108.75円超えを強気転換注意として8日午後高値試しとし、高値更新からは強気サイクル入りとして次の高値形成期となる11日の日中から15日にかけての間への上昇を想定する。
108.75円を超えない内はボトム形成の継続とするが、10日午後安値を割り込む場合は10日午後安値を直近のサイクルボトムとして底割れによる新たな弱気サイクル入りとして15日から17日にかけての間への下落継続となる可能性を検討する。

ドル円見通し 108円割れから戻したが頭重い

60分足の一目均衡表では11日朝への上昇で遅行スパンが好転、先行スパン突破を試している。遅行スパン好転中は高値試し優先とし、先行スパン突破からは8日午後高値試しとみる。先行スパンを突破しきれないか一時的に突破しても再び転落する場合は下げ再開として10日安値割れからの一段安を警戒し、遅行スパン悪化中の安値試し優先としてゆく。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、10日午後安値107.74円を支持線、108.75円を抵抗とみておく。
(2)107.74円割れ回避の内は108.75円試しとし、108.75円超えから8日高値109.08円試しへ向かうとみるが、109円前後では再び売られ易いものと見ている。
(3)107.74円割れからは下げ再開か、ないしは新たな弱気サイクル入りの可能性を考えて107円前後試しを想定する。108円以下での推移が続く内は下向きとし、株安や米長期債利回り低下とドル安再開の場合は週明けの下値目処を106円前後まで引き下げる。(了)<9:45執筆>

【当面の主な予定】

1/11(金)
06:45 (NZ) 11月 住宅建設許可件数 前月比 (10月 1.5%)
07:30 (米) クラリダFRB副議長講演
08:50 (日) 11月 経常収支・季調前 (10月 1兆3099億円、予想 5602億円)
08:50 (日) 11月 経常収支・季調済 (10月 1兆2113億円、予想 1兆1017億円)
08:50 (日) 11月 貿易収支(国際収支ベース) (10月 -3217億円、予想 -6143億円)
09:30 (豪) 11月 小売売上高 前月比 (10月 0.3%、予想 0.3%)
18:30 (英) 11月 貿易収支(物) (10月 -118.73億ポンド、予想 -114.00億ポンド)
18:30 (英) 11月 貿易収支(;物、サービス) (10月 -33.00億ポンド、予想 -28.00億ポンド)
18:30 (英) 11月 鉱工業生産指数 前月比 (10月 -0.6%、予想 0.2%)
18:30 (英) 11月 鉱工業生産指数 前年同月比 (10月 -0.8%、予想 -0.7%)
18:30 (英) 11月 製造業生産指数 前月比 (10月 -0.9%、予想 0.4%)

22:30 (米) 12月 消費者物価指数 前月比 (11月 0.0%、予想 -0.1%)
22:30 (米) 12月 消費者物価指数 前年同月比 (11月 2.2%、予想 1.9%)
22:30 (米) 12月 消費者物価コア指数 前月比 (11月 0.2%、予想 0.2%)
22:30 (米) 12月 消費者物価コア指数 前年同月比 (11月 2.2%、予想 2.2%)
28:00 (米) 12月 財政収支 (11月 -2050億ドル)

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