ドル円見通し 株安と円高のスパイラル(11/21)

19日深夜、20日夜と安値を切り下げて112円台序盤まで下げたが、深夜は突っ込み警戒感から112円台後半まで戻している。

ドル円見通し 株安と円高のスパイラル(11/21)

【概況】

11月12日高値114.20円からの下落基調が続いている。10月26日からの上昇は10月序盤の世界連鎖株安一服による日米株の反騰を背景としていたが、日米株が戻り一巡から下げ再開に入り、特にNYダウが大幅続落してきたことでドル円には大きなプレッシャーがかかっている。
先週末の急落で113円を割り込んだが、今週も19日深夜、20日夜と安値を切り下げて112円台序盤まで下げたが、深夜は突っ込み警戒感から112円台後半まで戻している。

11月12日からの下落が加速している背景には株安と株安からの債券への逃避、それによる長期債利回り低下も寄与している。ダウ続落により米長期債が買われ、米10年債利回りは一時3.036%まで低下して9月28日以来の低水準となった。感謝祭により米債券市場は22日が休場、23日も短縮取引となるために債券買いが急がれたようだ。また英国のEU離脱問題やイタリア財政赤字をめぐる問題もイタリア債利回り上昇の一方で独債への逃避買いにより独10年債利回り低下を招いている。このため欧米の長期債利回り低下が長期金利面での円高要因として無視できなくなっている。

【株安不安継続による円高】

NYダウは10月29日安値から11月8日まで反騰したが、12日の602ドル安を含めて9日から3日間続落、さらに週明け19日に395.78ドル安、20日も551.80ドル安と大幅続落して安値では24368.98ドルを付けて10月29日安値24122.23ドルに迫っている。10月暴落は2月暴落にも似ているが、その時は2月9日から2月27日まで戻したもののその後は4月1日まで下落基調が続き5月序盤まで安値圏で低迷した。その間の日経平均も2月14日から2月27日まで戻した後に3月26日へもう一段安となっている。3月26日はドル円の大底とも一致しており、今回も株安が落ち着くことがドル円にとっても重要だが、日米株ともに10月末底を割り込みかねないところまで下げている。
ダウの下落は業績悪化懸念によるアップル株暴落、原油相場の大幅下落による資源関連株安、米中通商摩擦問題での懸念継続が背景となっている。トランプラリーが丸2年も続いてきたことでのバブル的で楽観的な強気心理が枯渇してきている可能性もある。

【ユーロ失速】

11月13日から上昇してきたユーロドルが20日夕刻高値から急落して1.140ドルを割り込んでいる。英国のEU離脱問題で英国内が混乱する中、スペインやフランス等も欧州委員会の離脱協定案への不満を示して先行き不透明感が拡大しているためだ。
英国のメイ首相は21日にEUのユンケル欧州委員長と急遽会談する。25日には臨時EU首脳会議があるが英国内の混乱により少しでもEUから妥協を引き出そうという思惑と思われるが、EU加盟国が11月14日に示された離脱協定案に対して全面賛成するような一枚岩でもないため、英国内での反対に加えてEU加盟国内の対立も呼び起こしかねないと懸念されている。

欧州委員会はイタリアの2019年予算に対して11月21日から「過剰財政赤字是正手続き(EDP)」に入る。既に先週から宣言されていることだが、イタリアに改善が見られなければ年明けのEU首脳会議からイタリアへの制裁が発動される可能性もある。
EU内の各種懸念はユーロ安やポンド安を招いてドル高要因となるが、ドルストレートでのドル高の一方でそれ以上にクロス円での円高が進み、ドル円にとってはドル安円高へ帰結するケースも最近は多い。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは11月13日午前安値で前回のサイクルボトムを付けたが、15日未明への下落で底割れしたために新たな弱気サイクル入りとなっていた。今回の安値形成期は16日から20日午前にかけての間と想定されたが、20日夜安値から0.50円以上戻しているために20日夜安値で直近のサイクルボトムを付けた可能性がある。このため高値形成期を現状を含めて23日朝までの間として戻りを試す可能性ありとするが、12日からの円高基調の範囲にあるため戻りは短命に終わる可能性があると注意する。112.50円割れからは弱気転換注意とし、20日夜安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして23日から27日にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では21日未明への上昇で遅行スパンが好転したため、好転中は高値試し優先とするが、先行スパン上限が抵抗となりやすいとみて先行スパンから再び転落するところからは下げ再開警戒とし、遅行スパンも悪化するところからは弱気サイクル入りと仮定して安値試し優先と考える。

60分足の相対力指数は週末夜安値時と週明けの一段安の間では指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せてきた。20日夜へ連続逆行となったが50ポイント超えへ上昇している。50ポイントを上回るうちは高値試しを継続する可能性ありだが、50ポイント割れからは下げ再開を疑う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、20日夜安値112.29円を支持線、21日未明高値112.83円から113円を抵抗線とみておく。
(2)112.50円を上回るうちは112.83円超えから113円前後試しへ進む可能性ありとするが、113円前後は戻り売りにつかまりやすいとみる。
(3)112.50円割れからは下げ再開の可能性を優先して20日夜安値試しとし、底割れからは111円を目指す下落期入りと考える。

【当面の主な予定】

11/21(水)
ECB理事会 金融政策発表無し
OECD(経済協力開発機構)経済見通し発表
13:30 (日) 9月 全産業活動指数 前月比 (8月 0.5%、予想 -0.9%)
22:30 (米) 10月 耐久財受注 前月比 (9月 0.8%、予想 -2.5%)
22:30 (米) 10月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (9月 0.1%、予想 0.4%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.6万件、予想 21.5万件)
24:00 (米) 10月 景気先行指数 前月比 (9月 0.5%、予想 0.1%)
24:00 (米) 11月 ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値 (速報 98.3、予想 98.3)
24:00 (米) 10月 中古住宅販売件数・年率換算件数 (9月 515万件、予想 520万件)

11/22(木)
休場 米国 感謝祭(外為、債券、株式、商品休場)
未 定 (南) 南アフリカ準備銀行 政策金利 (現行 6.50%、予想 6.75%)
08:30 (日) 10月 全国消費者物価指数 前年同月比 (9月 1.2%、予想 1.4%)
08:30 (日) 10月 全国消費者物価コア指数 前年同月比 (9月 1.0%、予想 1.0%)
21:30 (欧) 欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨
24:00 (欧) 11月 消費者信頼感・速報値 (10月 -2.7、予想 -3.0)
26:00 (欧) メルシュECB理事、講演

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