ドルは143円前半で推移、雇用統計への警戒強くADP雇用者数予想通りでもドル売り継続か
【本日の東京市場】
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、高田日銀審議委員から市場を配慮した発言が見られたものの、株式市場では日本株安が進んだことから、143円台前半に押し戻された。
昨晩の海外時間では、7月JOLTS求人件数が6月から予想以上に減少し21年1月来で最低となったため労働市場の減速懸念に利下げ観測が一段と強まり、長期金利低下に伴いドル売りに拍車がかかった。また、連邦準備制度理事会(FRB)が公表した米地区連銀経済報告(ベージュブック)でも緩やかな景気減速の兆候が示されたことから、8月28日以来となる143円台に突入した。
東京時間では、石川県で開催された金融経済懇談会にて、高田創日本銀行審議委員が、日銀が国債買い入れの減額計画を決めたことに関連し、「日銀のバランスシート規模は大きく、今後もかなりの期間にわたってバランスシートの縮小を続けることが予測される」「現時点で、最終的な国債保有残高やバランスシートをどこまで縮小するのかが望ましいかを議論するのは難しい」と指摘。
そして、「株式、為替の変動を当面は動向を注視する」と市場に一定の配慮を行ったことで、株式市場、為替市場は過度な悲観論が後退したものの、株式市場では日経平均が8月15日以来の36000円台で取引を終えるなど、米雇用統計に対する警戒感が強く、ドルも143円台前半まで押し戻された。
ドル・円(日本時間8時―15時)
始値:143円62銭
高値:143円91銭
安値:143円19銭
終値:143円41銭
ユーロ・円(日本時間8時―15時)
始値:159円20銭
高値:159円46銭
安値:158円70銭
終値:158円90銭
豪ドル・円(日本時間8時―15時)
始値: 96円55銭
高値: 96円84銭
安値: 96円18銭
終値: 96円42銭
ポンド・円(日本時間8時―15時)
始値:188円81銭
高値:189円27銭
安値:188円24銭
終値:188円57銭
日経平均(日本時間9時―15時)
始値:36536円25銭
高値:37099円96銭
安値:36359円23銭
終値:36657円09銭(前日比−390円52銭)
【本日の海外市場の重要指標】日本時間
17時30分、英、8月建設業PMI、前回:55.3、市場予想:54.9
21時15分、米、8月ADP雇用者数、前回:12.2万人、市場予想:14.7万人
21時30分、米、週次新規失業保険申請件数、前回:23.1万件
22時45分、米、8月サービス業PMI、前回:55.2、市場予想:55.2
22時45分、米、8月コンポジットPMI、前回:54.1、市場予想:54.1
23時00分、米、8月ISMサービス業景気指数、前回:51.4、市場予想:50.9
23時00分、欧、ホルツマン・オーストリア中銀総裁が講演
24時00分、米、週次原油在庫、前回:−84.6万バレル
※予定は変更することがございます。
【今晩の海外時間の見通し】
本日の海外時間は、8月ADP雇用者数、ISMサービス業景気指数など重要な経済指標を控えていることで、経済指標を材料視した展開となろう。今週は、ISM製造業景気指数、JOLTS、製造業PMIとネガティブな結果が連続していることで、モメンタムは低下。ドル売りが強まりやすい状況となっている。
JOLTSはADP雇用者数、雇用統計と比べると遅行性があるものの、昨晩の海外時間では、発表後、ドルインデックスは101.6水準から101.1水準まで下落した。先月の7月ADP雇用者数が市場予想を大幅に下振れたことで心の準備はあったように思えたが、市場は悲観論が強まっている様子。仮に今晩のADP雇用者数が市場予想通りだったとしても、週末の雇用統計への警戒感から、ドル売りの地合いは続く可能性はある。
日足の一目均衡表では、転換線、基準線が下向き推移となったほか、20日移動平均線も下向きに転じるなどトレンドは弱い。雲下限が150円水準まで一気に切り下がっていることで雰囲気は大きく変わりそうだが、雇用関連の経済指標への警戒感が高まっているなか、下を試しそうな状況だ。
今晩の海外時間では、ADP雇用者数の発表を控えているが、週末の雇用統計への警戒感が高まっていることからADP雇用者数がよほど強くない限り、下向きの展開を想定する。上値メドは143円80銭、下値メドは
142円20銭とする。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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