来週の為替相場見通し:『日米金融政策イベント通過でドル買い・円売りトレンド再開か』(9/23朝)

ドル円は週後半にかけて年初来高値を更新するなど、力強い動きが続いています。

来週の為替相場見通し:『日米金融政策イベント通過でドル買い・円売りトレンド再開か』(9/23朝)

『日米金融政策イベント通過でドル買い・円売りトレンド再開か』

〇今週のドル円、米FOMCのタカ派的な結果に週後半にかけて、年初来高値148.46まで急伸
〇その後は当局からの牽制と介入警戒感、日銀会合前ポジション調整に週間安値147.32まで急落
〇日銀結果公表後は緩和政策維持、植田総裁ハト派姿勢に円売り安心感広がり148円台前半を回復
〇ユーロドル、FOMC受け週末にかけ約半年ぶり安値圏の1.0615まで下落後、小幅反発
〇ドル円、主要テクニカルポイントの上で推移、強い買いシグナルも継続、地合い極めて強い
〇ファンダメンタルズも日米金融政策の方向性の違いが改めて確認され、ドル円をサポート
〇昨年10/21高値151.95を抜けるまでは本邦当局が実弾介入に踏み切る可能性は乏しいか
〇ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(USDJPY):147.00ー150.00、(EURUSD):1.0475−1.0725

今週のレビュー(9/18−9/22)

<ドル円相場>
今週のドル円相場は、週初147.74で寄り付いた後、(1)本邦輸入企業による連休明けのドル買い・円売りや、(2)米FOMCのタカ派的な結果(米FRBは政策金利を2会合ぶりに据え置いたものの、同時に公表したSEPの中で19人中12人が年内あと1回の追加利上げを予想。また、2024年末時点の中央値も前回集計時点の4.6%から5.1%へ大幅上方修正するなど、来年の利下げ幅の縮小観測が浮上)、(3)パウエルFRB議長による「年内2回の会合であと1回の利上げの見込む」「経済活動の力強さが金利引き上げを必要とする主な理由」「米国経済が予想より強ければさらに行動する必要がある」とのタカ派的な発言、(4)上記2、3を背景とした米長期金利の急上昇(米10年債利回りは2007年11月以来の高水準となる4.51%へ急上昇)、(5)直近高値突破に伴う仕掛け的なドル買い・円売りが支援材料となり、週後半にかけて、年初来高値148.46(昨年11/3以来の高値圏)まで急伸しました。

しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(6)松野官房長官による「為替の過度な変動にはあらゆる選択肢を排除しない」との円安牽制発言や、(7)日本政府・当局による介入警戒感(今週はイエレン米財務長官より「円安を抑えるための為替介入は過度な変動をならす場合であれば理解できる」との考えが示された他、神田財務官からも「為替相場について米当局と日ごろから極めて緊密に意思疎通している」「行き過ぎた変動に対して適切な対応をあらゆる手段を排除せずに取る」と介入に向けた地均しとも受け止められる発言あり)、(8)株式市場の冴えない動き(タカ派的な米FOMCに端を発した伝統的金融市場のリスクオフ再開→リスク回避の円買い圧力)、(9)日銀金融政策決定会合を控えたポジション調整(短期筋の利食い売り誘発)が重石となり、9/21海外時間にかけて、週間安値147.32まで急落しました。

もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(10)注目された日銀金融政策決定会合での金融政策の現状維持決定(景気判断、見通し、ガイダンス共に変更なし)や、(11)植田日銀総裁による「必要があれば躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる」「2%の物価目標の安定的持続に必要な時点まで現行緩和を維持する」「(読売新聞が報じたインタビュー記事に関して)マイナス金利解除への距離感がすごく動いたから、あのように申し上げたということではない」とのハト派的な発言、(12)上記10、11を背景とした円売り安心感(円キャリートレードの継続期待)が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間9/23午前4時20分現在)では、148.40前後まで持ち直す動きとなっております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は、週初1.0663で寄り付いた後、(1)米FOMCを控えたポジション調整や、(2)米9月NAHB住宅市場指数(結果45、予想49)の市場予想を下回る結果、(3)米金利低下に伴うドル売り圧力、(4)原油価格上昇に伴うインフレリスクの再燃懸念、(5)ドイツ債利回り上昇に伴うユーロ買い圧力、(6)欧州株の堅調推移が支援材料となり、週央にかけて、週間高値1.0738まで上昇しました。

しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(7)米FOMCのタカ派的な結果(年内追加利上げ観測の高まり+来年の利下げ期待後退)や、(8)パウエルFRB議長によるタカ派的な発言、(9)上記7、8を背景とした米長期金利の急上昇、(10)ユーロ圏9月消費者信頼感指数(結果▲17.8、予想▲15.0)の冴えない結果、(11)デギンドスECB副総裁による「基調的なインフレの要素は抑制されている」とのハト派的な発言、(12)フランス中銀ビルロワドガロー総裁による「4%の金利は適切な水準」「金利がどの程度の期間4%に留まるかは断言できない」とのハト派的な発言、(13)オランダ中銀クノット総裁による「次回理事会での利上げを予想せず」「現在の金利に満足している」とのハト派的な発言、(14)フランス9月製造業PMI(結果43.6、予想46.1)および、同9月サービス業PMI(結果43.9、予想46.0)の市場予想を下回る結果が重石となり、週末にかけて、週間安値1.0615(3/17以来、約半年ぶり安値圏)まで下落しました。

もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(15)ドイツ9月製造業PMI(結果39.8、予想39.5)および、同9月サービス業PMI(結果49.8、予想47.1)の市場予想を上回る結果や、(16)米金利低下に伴うドル売り圧力(米10年債利回りが2007年11月以来の高水準である4.51%から4.42%へ急低下)が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間9/23午前4時20分現在)では、1.0650前後まで持ち直す動きとなっております。

来週の見通し(9/25−9/29)

<ドル円相場>
ドル円は週後半にかけて年初来高値を更新するなど、力強い動きが続いています。日足ローソク足が全ての主要テクニカルポイント(21日移動平均線、50日移動平均線、90日移動平均線、200日移動平均線、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表転換線、基準線、雲上限)の上側で推移していることや、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「強気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の上昇トレンド」が継続していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは極めて強いと判断できます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる金融引き締め長期化観測(今週開催された米FOMCおよびパウエルFRB議長記者会見は予想以上にタカ派的な結果)や、(2)日銀による金融緩和の長期化観測(今週開催された日銀金融政策決定会合および植田日銀総裁記者会見は予想以上にハト派的な結果)、(3)上記1、2を背景とした日米金融政策の方向性の違い(日米金利差拡大とそれに伴う円キャリートレードの継続期待)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。

政府・日銀による介入警戒感が都度上値を抑制する可能性はあるものの(今週はイエレン米財務長官および神田財務官より為替介入実施の地均しとも受け止められる発言あり)、昨年10/21に記録した高値151.95を抜けてくるまでは実弾介入に踏み切る可能性は乏しいと見られることから、当方では引き続き、ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします(日米金融政策イベントを無難に通過できたことで来週はドル買い・円売りトレンドが一段と強まる公算大→状況次第では昨年10/31に記録した高値148.86を突破する可能性あり。同水準を突破できれば心理的節目150.00や、昨年の年間高値151.95が射程圏内に)。尚、来週は米経済指標(米9月CB消費者信頼感指数、米第2四半期GDP確定値、米PCEデフレータなど)や、米当局者発言(ミネアポリス連銀カシュカリ総裁、ボウマンFRB理事、シカゴ連銀グールズビー総裁、クックFRB理事、パウエルFRB議長、リッチモンド連銀バーキン総裁、ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁など)が目白押しとなるため、週を通してボラティリティの拡大に注意が必要でしょう。

来週の予想レンジ(USDJPY):147.00ー150.00

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は7/18に記録した約1年5カ月ぶり高値1.1277(昨年2/24以来の高値圏)をトップに反落に転じると、今週末にかけて、約6カ月ぶり安値となる1.0615(3/17以来の安値圏)まで急落しました。この間、日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日移動平均線、50日移動平均線、90日移動平均線、200日移動平均線、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表転換線、基準線、雲上下限)を軒並み下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」「ダウ理論の短期下落トレンド」も成立するなど、テクニカル的に見て、地合いの弱さを強く印象付けるチャート形状となっております。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)欧州経済の先行き不透明感(欧州委員会、OECD共にユーロ圏経済成長率見通しを下方修正)や、(2)ECBによる金融引き締め休止(利上げサイクル終了)の思惑、(3)米FRBよる金融引き締め長期化観測(今週発表された米FOMCは予想以上にタカ派的な内容)、(4)上記2、3を背景とした欧米金融政策の方向性の違いなど、ユーロドル相場の下落を連想させる材料が揃っています。

こうした中、来週は上記1を確認する目的で9/25に予定されているドイツ9月IFO景況感指数、上記2を確認する目的で9/29に予定されているユーロ圏9月消費者物価指数や、欧州当局者発言(フランス中銀ビルロワドガロー総裁、シュナーベルECB専務理事、レーンECB専務理事、オーストリア中銀ホルツマン総裁、ラガルドECB総裁)に注目が集まります。ドイツ9月IFO景況感指数が市場予想を下回る場合や、ユーロ圏9月消費者物価指数、同コア指数が市場予想を下回る場合、欧州当局者よりハト派的なスタンスが示される場合には、欧米金融政策格差(金融引き締め休止のECBと、金融引き締め継続のFRB)に着目したユーロ売り・ドル買いが一段と強まる恐れがあるため、当方では引き続き、ユーロドル相場の続落をメインシナリオとして予想いたします(状況次第では3/15安値1.0516や心理的節目1.0500を試すシナリオも想定)。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.0475−1.0725

注:ポイント要約は編集部

『日米金融政策イベント通過でドル買い・円売りトレンド再開か』

ドル円日足

オーダー/ポジション状況

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