8)FXとリスクマネジメント(資金管理とレバレッジのコントロール)
FXを取引する上で最も重要なことのひとつはリスクマネジメント、特に資金管理とレバレッジのコントロールです。
最初に説明したとおりFXを取引するための元手となる証拠金は生活に必要な部分を除く余剰資金で行うのが原則ですが、もちろん無くなってしまってよいわけはありません。
FXは必ずしも自分の思うようにいく状況ばかりではありませんので相場が不利に動いたときにいかに損失を抑えていくかが大切です。
FXを始めたばかりのときは、とかく自分のとったポジションに固執しがちで、いくら不利に動いても「もう少し待てば回復するはずだ」と思い込んだり、「今損切りするとさっきより○○円損失が多くなってしまうのでせめてさっきの水準のところまで戻るのを待とう」と自分の都合に相場の動きを合わせようとしてみたりすることが少なくありません。
しかし大体そういう場合には相場はさらに不利に動くものと考えておいたほうがよいでしょう。このような無計画なFXの取引を行っていると早晩、全資金を失うことになります。
FXを実際に取引する場合には自分がどういう相場観のもとに取引するのかを明確に決めてどの水準で損切りしどの水準で利食いを行うのかを明確に決めることは必ずやりましょう。また、毎回の取引の最大損失は使用できる資金の5%-10%程度に抑えることが基本です。
例えば100万円の資金を持ってドル円の取引をはじめるとしましょう。
ドル円の今のレートは120円です。ドル円は勢いのある上昇過程に入ったので、あなたはこのまま前回高値の123円まではドル高が進むと考え、FXでドル円を買おうと考えます。
仮に一時的に相場が反転しても前回の底値119.50を割り込むことはないだろうとの予想です。
この場合損失を持っている資金の5%に抑えるということは、5万円以上の損失が出たら取引を決済するということです。予想の下限119.50にストップロスオーダーを置くとして、50銭不利になった場合に損失が5万円ということは50,000÷0.5=100,000ドルのポジションを持つことができるということです。
100万円の証拠金に対してU$100,000=1,200万円のポジションはレバレッジ12倍ですのでドル円の最大レバレッジが25倍だとすると許容範囲といえます。
そこであなたはFXでドル円U$100,000を120円で買い、同時に119.50のロスカットと123.00の利食いを組み合わせたOCOオーダーを発注しておきます。
無事利喰えた場合
その後一時相場が乱高下し119.80まで下がる局面もありましたが、無事123円まで上昇、あなたはポジションを決済して30万円の利益を確定します。
これで証拠金の原資は130万円に増加しました。このまま利益分を次の取引に充当すると次に同じようなチャンスが来たときには130万円×5%=6.5万円まで損失許容度が上がりますので、より大きなリスクをとることも可能となります。上と全く同じ状況であれば65,000÷0.5=130,000ドルのポジションを取ることができるようになり、さらにチャンスが増します。
損切りとなった場合
一時は上昇するかに思えた相場も突然の米国利上げ観測の後退でドル売りの流れとなり、残念ながら118.50までドル円は下落してしまいました。
しかしあばたのOCOオーダーが119.50で発動し、119.45でロスカットの決済が実行されえました。相場の動きがあまりにも急だったのでロスカットの性質上119.50では損切りできなかったようですがまあ許容範囲としましょう。
これによりあなたの損失5.5万円が確定し、預け入れた証拠金から引かれてしまいますが、まだ口座には94万5千円が残っています。
少し証拠金を減らしてしまったので次回の取引での損失許容額5%は4.7万円ほどに減ってしまいます。今回のようにストップロスの水準で止まらないケースもありますので次回はもう少し慎重に4.5万円ほどの損失許容額にしておきましょう。
また前回と同じようなチャンスが来た場合、そのときに作れるポジションは45,000÷0.5=U$90,000、少しポジションが小さくなってしまいましたが仕方がありません。でも、まだ十分に利益を狙える金額です。
レバレッジのコントロール
このように、こまめに資金管理をしていけば、FXは長く楽しめる取引です。
上の最初の取引の場合でも特に50銭下に損切りを置く必要はなく、1円下の119円にロスカットをおいてポジションを半分の50,000ドルの買いにしてもよいわけです。
逆にもう少しポジションを大きくすることもできますが、最大レバレッジの制限がありますので取れるポジションは理論上最大100万円×25倍÷120円=U$20.8万ドルほど。
ギリギリでポジションを取ると次の瞬間にはマージンコールということにもなりかねませんので、U$200,000でポジションを取るとして、5万円の損失で留めるためには25銭下の119.75でのロスカットオーダーを入れることになります。しかし、その時点では既に証拠金不足でマージンコールがかかっているはずですので119.80を割ったあたりで強制ロスカットが発動する可能性があり、少しせわしい取引となります。このあたりを相場の状況と自分の取引スタンスに合わせて毎回調整していきましょう。
ロスカットと利食いのバランス
もうひとつ注意したいのは、ロスカットと利食いの水準のバランスです。
初心者の場合、損失が確定するのが怖いあまりにロスカットを深めにおいて利食いポイントを近くする傾向があります。
例えば上の119円でロスカットを置く場合、利益確定の決済注文は現時点の相場からのロスカットまでの幅より遠く、(普通は2-3倍)に置くのが基本です。
119.00のストップロスオーダーに対して120.20のように現水準から近いところに利喰いを置くことももちろん可能ですが、このような取引を続けていると4回利益が出ても5回目ですべての利益がなくなるようなことともなりかねず、あまり効率のよい取引の仕方とはいえません。
※「FX羅針盤」のを運営する株式会社カカクコムのメインサイト「価格.com」にも羅針盤でオセアニア通貨をご担当されている川合美智子先生の執筆された入門ガイド「FXとは?」が掲載されています。あわせてご参照ください!
- キーワード:
関連記事
-
その他
Edited by:山中 康司
2021.12.23
2022年上半期の相場運(3)
パート3では射手座〜魚座の4星座です。今回の結果が良かった人は自信を持って、悪かった人はそれほど精度は高くないはずと割り切ってしまうほうがよいですね。
-
その他
Edited by:山中 康司
2021.12.23
2022年上半期の相場運(2)
今回は2022年の上半期というテーマなので比較的細かく書いています。パート2では獅子座〜蠍座の4星座です。
-
その他
Edited by:山中 康司
2021.12.23
2022年上半期の相場運(1)
12月と言えば雑誌でも翌年の占い特集が組まれますが、こちらでも年末に相場運占いと称して翌年の占いを書いています。
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。