ドル円、パウエル議長の発言を受けて下落
〇ドル円、FOMC0.75%利上げと、パウエル議長のインフレ抑制重視の発言に137.43まで上昇
〇その後パウエル議長の「ある時点で利上げ速度を緩めることが適切であるだろう」との発言で反落
〇136.35まで下げた後、終盤136円台半ばに戻す荒い値動き
〇ユーロドル米国序盤に1.0097まで下落するも、FOMC後の米長期金利低下に1.0221まで反発
〇ドル円、テクニカルには引き続き強い買いシグナル点灯、日米金融政策の方向性の違いも続く
〇株価の反発もドル円を後押し、ドル円のここからの更なる下落容易でない
〇引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:136.00ー137.50
海外時間のレビュー
27日(水)のドル円相場は米FOMC後の乱高下の末、結局下落。@スポ末仲値(スポット月末応当日の公表相場)のドル買い・円売りや、A日経平均株価の底堅い動き(リスク選好の円売り)、B米金利上昇に伴うドル買い圧力、C米FOMCでの75bp利上げ実施(全会一致)、DパウエルFRB議長による「インフレ抑制を強くコミット」「労働市場は非常にタイトでインフレは高すぎる」「インフレを低下させることが不可欠」との強気発言(景気よりインフレ抑制を重視する構え)が支援材料となり、日本時間午前3時30分過ぎに、日通し高値137.43まで急伸しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、DパウエルFRB議長による「ある時点で利上げ速度を緩めることが適切であるだろう」との慎重な発言や、E上記Dを背景とした米長期金利の急低下(米10年債利回りは一時2.73%へ低下)が重石となり、日本時間午前3時45分過ぎに、日通し安値136.35まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間7/28午前5時35分現在)では、136.52前後で推移しております。
27日(水)のユーロドル相場は下落後に持ち直す展開。@欧州経済の先行き不透明感(スタグフレーション懸念が燻る中でのECBによる大幅利上げは景気への逆風)や、Aイタリアの政局不透明感(ドラギ首相辞任→S&Pはイタリアの格付け見通しをポジティブから安定的へ下方修正)、Bロシア産天然ガスの供給削減懸念(国営ガスプロム社は7/27よりノルドストリーム1軽油の天然ガス供給を2割削減すると発表→欧州圏のエネルギー危機発生リスク→オランダTTF天然ガス先物価格が連日で高騰)、C米金利上昇に伴うドル買い圧力が重石となり、米国時間にかけて、安値1.0097まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、DパウエルFRB議長による「ある時点で利上げ速度を緩めることが適切であるだろう」との発言や、E上記Dを背景とした米長期金利の急低下が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値1.0221まで反発しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間7/28午前5時35分現在)では、1.0199前後で推移しております。
本日の見通し
注目された米FOMCでは前回に続き75bpの利上げが実施され、フェデラルファンド金利誘導目標は2.25ー2.50%となりました。パウエルFRB議長がインフレ抑制への強いコミットを示したことで、直後こそ高値137.43まで上昇する場面も見られましたが、一部で期待されていた100bpの利上げサプライズが見られなかったことや、パウエルFRB議長が「利上げペースはデータ次第」と発言したこと(9月利上げの予告が無かったこと)、「ある時点で利上げ速度を緩めることが適切であるだろう」と発言したこと(大幅連続利上げ観測の後退)が重石となり、結局136円台半ばへ反落する動きとなりました。
とは言え、日足・週足・月足の全てで強い買いシグナル(一目均衡表三役好転、強気のパーフェクトオーダー、ダウ理論の上昇トレンド)が点灯していることや、日米金融政策の方向性の違いが明確となっていること、米政府・米当局がドル高容認スタンスを維持していること等を踏まえると、ここからの更なる下落は容易では無いと考えられます。米大幅利上げ観測の後退に加えて、警戒されていた米ハイテク企業決算が良好な結果となったことなども後押しとなり、ここから先は「株高→リスク選好の円売り(クロス円上昇→ドル円連れ高)」の波及経路も期待できます。本日21:30に発表される米4ー6月期GDP速報値が市場予想を上回る場合には、ドル円が前日高値137.43を回復するシナリオも想定されるため、当方では引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします。
本日の予想レンジ:136.00ー137.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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