円買い介入懸念も、豪ドルは101円台を目指した強い地合いに
【今週の豪ドル】
今週の豪ドルは、目立った経済指標発表が無かったなか、4日につけた高値100円43銭を上回り一時100円83銭まで買われる場面が見られた。
目立った売買材料は観測されなかったが、テクニカルの強さや、引き続き経済的なつながりが強い中国経済の底入れ期待などを背景に豪ドル買い優勢の展開となった。
なお、5日に発表された2月貿易収支は、農産物や鉄鉱石の輸出が減ったほか、輸入額が増えたことを背景に72.8億豪ドルの黒字と1月の100億豪ドル超えの黒字から減少したが、2018年に貿易収支が黒字に転換して以降、黒字額は概ね拡大傾向をたどっていることから、前月比減少の影響は限定的となった。
豪ドル・円(東京時間:4月8日―4月12日(終値は9時台終値を参照))※Investing.comの日足を参照
始値: 99円75銭
高値: 100円83銭
安値: 99円37銭
終値: 100円03銭
【今週と来週の重要指標】
※時間は東京時間
4月9日
9時30分、4月消費者信頼感指数、前回:−1.8%、結果:−2.4%
10時30分、3月NAB企業景況感、前回:10.0、結果:9.0
4月18日
10時30分、3月雇用者数、前回:11.65万人
10時30分、3月失業率、前回:3.7%
※予定は変更することがございます。
【今週末から来週の見通し】
今週末から来週の豪ドルは、強い動きは継続し100円台での値固めをこなしつつ、101円台乗せを試す展開となりそうだ。
懸念材料としては、日本当局の円買い介入警戒感と中東情勢の緊迫化などが挙げられるが、この二つの懸念はどの主要通貨も共通している。また、中東情勢の緊迫化によって原油価格が上昇すれば、資源大国のオーストラリア経済にとってはプラスの作用もあるので、目先の懸念は日本当局の円買い介入警戒感と考える。
市場で言われている「前日比1.2%の円安ドル高加速」となった場合、政府・日銀が円買い介入を実施する可能性は高い。対ドルのみの介入実施を想定するが、さすがに介入のタイミングで豪ドルも乱高下する公算が大きいので、ドル円の動向には気を付けておきたい。
ただ、ファンダメンタルズは良好と考える。オーストラリア経済に大きな影響を与える中国経済の底入れ期待は、引き続き強い追い風となろう。また、18日に予定されている雇用統計が前月比で堅調な増加傾向が確認できれば、豪ドルは一段高の地合いとなる。
テクニカルもしっかりだ。短期的には3月高値100円22銭をしっかり上回ったほか、50日移動平均線、100日移動平均線が引き続きサポートラインとして機能している。月足チャートでは、20年3月の59.87円を起点とした下値支持線が機能しており、長期的なトレンドも強いままだ。3月21日や4月4日の長い上ヒゲ(上影)を吸収したことで、豪ドルは対円で上へのバイアスを強めやすいと考える。
なお、日本銀行は、3月の金融政策決定会合以降、「追加の利上げは急がず当面は緩和的な環境を続ける方針」を掲げているが、金融政策の見通しを強く反映する2年債利回りは4月11日、一時0.265%まで上昇し、09年11月以来の高水準をつけた。5年など他の中期債利回りも上昇が続いているが、10年債利回りは一時0.860%と5カ月ぶりの高水準まで上昇したものの、23年11月の0.97%より低い水準で推移するなど、短期、中期利回りは上昇するも、長期利回りの上昇ピッチは遅いといった難しい状況にある。
日本とオーストラリアの金利差を考慮すると、徐々に縮小する、という状況だが、大幅に縮小する地合いではないため、足元の豪ドルの足かせにはならないと考える。
豪ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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