2021年のNZドル対米ドルの見通し

コロナウィルスの関係でGDPの連続性は断ち切られましたので、IMF予想でNZと米国比較、及びIMFとNZ中銀の成長比較を確認してみます。

2021年のNZドル対米ドルの見通し

2021年のNZドル対米ドルの見通し

<<恒例の「FX羅針盤」の年間相場予想。例年動きの激しい年末年始の相場が終了したあたりで、「FX羅針盤」の執筆者の皆様に年間の相場見通しを書いていただいています。第五弾はオセアニア通貨や主要国の経済指標解説等を執筆いただいている橋本光正さんのNZドル年間予想です。(編集部)>>

(1)ファンダメンタルズ分析

米・NZのGDP

米・NZのGDP

(上記下図の出所はNZ中銀HP)

米・NZのGDP 2枚目の画像

コロナウィルスの関係でGDPの連続性は断ち切られましたので、IMF予想でNZと米国比較、及びIMFとNZ中銀の成長比較を確認してみます。尚、NZ中銀は数値化(2019年12月を100)したものを発表しチャートにしています。その公表数値は表内のCになっています。これを前年比ベースの伸びに換算したものがBに相当します。またIMFの数値は昨年10月のものです。1月26日に改定値ではありませんので、ご了承願います。
まずIMFの比較でみると、NZと米国は経済規模は格段に違いますが、割合はほぼ同じペースで伸び率予想になっています。またIMFのNZGDPとNZ中銀の比較では2020年のマイナス度合いが違うだけで、数値化すると2021年は僅かながらNZ中銀>IMFになります。従いまして、予想通りのGDPならフローベースで米とNZの景況感格差は生まれにくいと思います。今年は四半期数値の変化を見ていく必要がありそうです。

NZの消費者物価

NZの消費者物価

(下図出所:NZ中銀HP)

(両中銀のインフレ見通し)

NZの消費者物価 2枚目の画像

(FRBはPCEコアインフレ予想を使用しています)


中銀のインフレ見通しはやや米国>NZになっています。FRBのインフレ目標が2%で、しかも金利を動かすのは目標の2%を越えても十分にインフレ状況が確認できるまでとしています。一方のNZ中銀のインフレ目標は1〜3%になっており、こちらもインフレ過熱を心配するほどの状況にありません。少なくとも2021年中の金利変更は現在のところ全く見当たりません。今年末にかけて、中銀の経済見通し変更などで、2023年頃のインフレ状況を予想する程度になりそうです。従い、下図Bは2021年もこのまま横這い傾向は変わらずとなりそうです。
尚、例年添付しているNZ中銀予想の政策金利(OCR)の見通しは不透明な現状を反映して、予測値を公表していません。

米・NZ政策金利推移

米・NZ政策金利推移

コロナウィルスの再感染は米国で大きく起こり、ワクチンが効果をもたらすまではまだ時間がかかり掛かりそうです。一方で、NZのコロナウィルスは2021年1月下旬迄で感染者1,932人、うち死者25人、回復者数1,843人で、残りが治療中の感染者64人となっています。感染経路不明は0名と伝えられており、ほぼ克服しています。2021年の先行きは圧倒的にNZが先行しているようです。この状況を踏まえると、経済の改善方向はNZ>米国が予想されます。

(2)テクニカル分析

@NZドル/米ドルの月足チャート(2021年1月26日現在)

@NZドル/米ドルの月足チャート(2021年1月26日現在)

上図の赤い抵抗線はA(0.5600)、B(0.6500), C(0.7310)の順、緑の横抵抗線はD(0.7700)、E(0.8840)、青のサポートはF(0.60)、G(0.5550)で示しています。
昨年はAとBのNZドル安トレンドラインを上抜けて、現在はCの抵抗線0.7310〜20付近で高値を付けています。2020年のNZドル上げが急激なので、このCに止められると一度調整入りの可能性があります。最初の下値ポイントは大台代わりの0.70絡みになります。もし大台を割ると、B、F、Gの順になります。
逆にCを越えていけばD、Eの上値をトライできる態勢に入れます。

NZドル/米ドルの週足チャート(2021年1月26日現在)

NZドル/米ドルの週足チャート(2021年1月26日現在)

上図の週足チャートもH(0.63)とI(0.57)のNZドル安トレンドを下抜け、現在はJ(0.7000)に沿って急角度の上げになっています。目先はKの0.7300に止められており、このまま0.70〜0.73で収斂していくのか、あるいはJを切ってNの0.6900、次いでH、O(0.6450)、Iの順になります。因みに、2020年底値0.5470、直近高値が0.7310ですので、上げ幅1840ピップスとなり、38.2%戻しで0.6600、半値戻しで0.6380、61.8%戻しで0.6160になります。半値がO相当になります。
上値はKを越えていくと、横サポートのM(0.7750)が目指す次のポイントになります。

2021年見通し

2021年のNZドル・米ドルはファンダメンタル面では前半は決定打に欠け、昨年1年間のNZドル上げからの調整入りとなりそうで、年央〜後半にかけてコロナウィルスからの脱却早いNZの景気回復先行が続き、一段上げを予想します。年間レンジとしては下押しの38%戻し0.6600、上げは週足のM(0.7750)か、あるいは月足のDを想定して0.7800付近となります。従い、レンジは0.6600〜0.7800を想定します。リスクとしてNZは年央〜9月にかけて冬に突入ですので、コロナウィルス再感染拡大→ロックダウンだけ注意します。
(2021年1月29日15:20、1NZドル=0.7157米ドル)  

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