米国大統領選挙について(2020年5月11日)

コロナウィルスで大騒ぎだが、6カ月で米国大統領選挙である。

米国大統領選挙について(2020年5月11日)

米国大統領選挙について

不毛の選択

コロナウィルスで大騒ぎだが、6カ月で米国大統領選挙である。

トランプ対バイデン、芸能人対最も退屈な男という図式で、最も退屈な選挙となりそうだ。
このどちらが勝っても、しょせんどちらが三流でどちらが四流に落とされるかという程度の選挙である。
この不毛の選択を強いられる米国民は気の毒だが、それも自らまいた種である。2016年に間違いなく史上最低の大統領になるとわかっているトランプに6,300万票も入れて、ヒラリーの6,600万票を選挙人の数で上回る勝利を与えたところからくるっている。
前評判通りというか前評判よりさらにひどい大統領であることが、今年のウィルス騒ぎではっきりした。

どういう風にひどいかというと、物事の本質がわかっていないことである。
例えばいやいや始めたウィルスの検査について、検査をすると“It looks bad”だからやりたくないといっている。要は検査をすると感染者の数が多いことが分かり、それが自分の人気に影響し再選の障害になるということを言っている。全くひどい男である。毎日2,000人以上亡くなっている事実をほっておいて、その病気に全力で対処するのではなく、検査も熱心でないという再選だけが大事な人間である。
再選されて何もするわけでもなく只再選されることが彼のエゴのために大事なのである。

さてそのとんでもない大統領の再選を阻もうとするのがバイデン元副大統領である。
この民主党の大統領候補を決める予備選挙は一時20人以上の候補が乱立し、ディベートも2度に分けてやるほどの混乱状態であった。
その中でバイデンは元副大統領であるということで、最初から有力視されていた。
彼のランニングメートであったオバマ大統領は、歴代の大統領でも指折りのOratorical Genius(演説の天才)で、聴衆を興奮させる名手であった。一方のバイデンは聴衆を退屈させる名手である。なぜ立候補するのかと聞かれて、トランプの再選を阻むためという。
大統領になったら何をするのかと聞かれてオバマの時代に戻るという。
あなたの得意技は何ですかと聞かれて、私は外交の専門家であり、今の各国の首脳とも仲が良いと言っている。確かに彼は性格がよく人に好かれるところはある。だが首脳と肩をたたき合ってやーやーをやるだけの人である。特に何かを成し遂げたこともない。
聴衆とくに若い人たちは彼の演説の退屈さ加減に耐えかねて、途中で退場する人が多い。

予備選挙の最中も、民主党リベラルの旗手であるバーニー・サンダースやエリザベス・ウォレンが、革新的な政策を提示して、聴衆を沸かせるのに比べて全く魅力の感じられないプレゼンテーションでぱっとせず、序盤戦は大苦戦であった。
しかしサウスカロライナで黒人票を集めて快勝したところから急に勢いがついて、リベラルの伸び悩みもあって3月3日のスーパー・テュースデイでカリフォルニア以外を総なめにして勝利に結びつけた。このサウスカロライナ以降の流れは今回選挙の七不思議のひとつである。民主党の支持者が余りにもリベラルな候補者の人気が高く、本選挙では国民の支持が得にくいとみて、毒にも薬にもならないバイデンに傾斜したということだろう。
しかしこの予想外のスウィープは、彼の運命がもともとそうであったということを示唆するような勢いであった。他のモデレートな候補者が、選挙戦から脱退して、バイデンをエンドースしたことも大きく、4月に入って完全にバイデンが民主党大統領候補に確定した。
この決まり方は相場の世界などでもよくあるいわゆる予定調和の世界を思い起こさせる。なるべくしてなったと運命はいっているのである。

ゲームチェンジャー

バイデンがどうしたらトランプを破ることで予定調和を実現させることができるのか。
彼のキャンペインに熱気を吹き込むことがどうしたらできるのか。
その前にバイデンは今年の11月に78歳になる。選挙に勝てば78歳での大統領就任となる。
再選されて、二期やると86歳まで大統領をやることになる。彼もそれを意識していて、“Transition Candidate”中継ぎの候補といっているらしい。すなわち大統領は一期だけやって、82歳でやめると示唆している。(はっきり公言はできない)

彼が公言していることは一つ。彼のランニングメートは女性である。
つまり副大統領候補は女性から選ぶということである。
之の意味するところは大きい。彼が一期だけやって引退すると、当然その副大統領である女性が2024年の民主党大統領候補の最有力になるということである。

いまワシントンでは、バイデンの指名するランニングメートがだれになるかでかまびすしい。
“People of Color ”(黒人、ヒスパニック)の説もある。しかしバイデンはもともと黒人オバマ大統領のランニングメートだったので、黒人の人気は高い。今黒人をランニングメートにしなくても十分黒人票はとれそうだ。白人だとすると、予備選挙で最後まで争った、ミネソタの上院議員アミー・クロバチヨウ(AK)あるいはリベラルの旗手マサチューセッツ州選出の上院議員 エリザベス・ウォレン(EW) あたりがうわさされている。

EWはテレビで副大統領候補のオファーがあれば受けますかとの質問に対してYESとはっきり口にしている。
AKはバイデンと同じく民主党中道路線の候補なので、やはり中道のバイデンと重なり、彼女を選ぶメリットはあまりない。ただ中西部出身なのそのあたりのミシガン、ミネソタといった大事なスウィングステート(民主党、共和党の支持が毎回わかれる州)で民主党勝利が計算できる。

しかし民主党全体の結束を重視し、若者の票を取り込むためには、リベラルの旗手(プログレッシブともいう)の女性であるEWが選ばれることになるのではないかと思われる。
若者に圧倒的に人気のあるプログレッシブで、かつインテリ女性に圧倒的な支持を集めるEWが、退屈なバイデンキャンペインに熱気を呼び起こすことは確実である。

EWはハーバード大学法律大学院の教授であったことから知れるように猛烈に頭が切れる。高校生の時に州のディベート・チャンピオンとなったディベート力、リーマンショックの後は金融規制改革法で設置が決まった消費者金融保護局の設立を大学教授を続けながら請負い、見事に一つの役所をゼロから作り上げ、人材のリクルートもやるという離れ業をやって見せた。
この保護局はリーマンショックで被害にあった一般国民に1兆数千億円を銀行から取り上げてリファンドさせた実績を残した。

この猛烈な実行力と頭脳は際立っている。
今回の予備選挙では、国民皆保険(メディケア―・フォー・オールMFA)で政府管掌の国民皆保険を提唱し、あまりにも過激だといわれたが、今まで企業が支払う民間保険に満足していた1億6千万人の被保険者が、ウィルス禍による企業倒産で突如保険を失うケースが出始めたため、MFAの支持率は47%から53%まで上昇してきている。

又EWは予備選挙で大量の失業者を動員して作るグリーン・ニュー・ディールを提唱、地球温暖化を抑えるためのグリーン産業に大量に労働者を動員して、グリーン・インフラを作り出すことを呼び掛けている。
更に金持ち増税も彼女の政策の大きな部分であり、プログレッシブ・リベラルで聴衆の大きな興奮を呼び起こすことは確かである。

気の抜けたようなバイデンキャンペインに異例ではあるがランニングメートが気合を入れて、興奮と感動を巻き起こし一気に11月にも連れ込んでトランプを駆逐する。
それが筆者の現在のイマジネーションである。
8月中旬の民主党大会の直前に公表される民主党のランニングメートは要注目である。
それがEWなら民主党勝利は固いだろう。リベラル革命の旗手として、24年以降もEWの天下となるだろう。

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