Brexit レポート(阪谷さん第2回「影響」)

前回の最後に予告した通りBrexit による影響の話を、掘り下げてみたいと思います。

Brexit レポート(阪谷さん第2回「影響」)

Brexit レポート(阪谷さん第2回「影響」)

前回の最後に予告した通り、今回は英国が何故、Brexitに関する国民投票をする事になったのか
その辺りのお話をしたいと思います。

付けても、英国というのは非常に興味深い国で、やはりかつての大英帝国の宗主国としての意地とプライドがそうさせるのか、EU への参加に関しても、参加はするものの、通貨ユーロの導入はしませんでした。
このあたりの動きからするに、今回のBrexitに関する国民投票をする事になったのと、無関係とは言い難く
そう成るべくして成った、と思えて仕方ありません。

さて、話を戻して、何故、Brexitに関する国民投票をする事になったのか、
一体、どこから、そういう話になったのかという面を、ご説明致します。

そもそもの発端は2008年のリーマン・ショックなのです。
2008年のこの危機、そしてそれに伴う金融危機、世界的な経済不況。
当時、先進各国は、先ず金融危機を乗り越える為に、各国金融機関への公的資金の大幅な注入を断行しました。
日米のみならず、世界屈指の金融都市ロンドンを有する英国も同様でした。
当時の英国政権与党であった労働党の74代英首相ゴードン・ブラウン氏は、その結果、支持率を大きく失う事になり、政権交代となりました。

そこで誕生したのは、保守党の75代英首相デービット・キャメロン氏率いる新政権でした。
そんな英国は、上記で述べた様に、EUへの参加を元々100%受け入れてはいなく、実は1975年にも、EUの前身である欧州経済共同体(EEC)からの離脱に関した国民投票を行ったという前例を持っています。
この時は、残留に賛成が過半数を占めたため、結果に沿って、英国はEECに残留しました。
キャメロン首相の率いる保守党内にもEU離脱を唱える議員は多く、再選をかけた2015年の総選挙の際に、保守党内のユーロ反対派の動きを抑える為に、保守党の選挙公約として、2017年にEU離脱の是非を問う国民投票を行うとしました。

これが、今年Brexitに関する国民投票をする事になったいきさつです。
キャメロン首相は、EU残留派で、2015年のその当時に、1つには、事前に行った世論調査ではEU残留派が多数派であった事、加えて、キャメロン首相自身への支持率の高さから、仮にEU 離脱に関する国民投票を行っても、先ず負ける事は無いだろうという強い自信と予想が、キャメロン首相自身にあったはずです。
しかも2015年当時からすれば、2017年は2年も先の事で、当時のキャメロン首相は足元の選挙の結果が大きな問題なので、世論も反対しているEUからの離脱に関する国民投票を約束しても失う物は無く、逆にEU離脱派を一気に抑え込めると判断したのでしょう。

ですが、今回、なんとタイミングの悪い事に、欧州ではというよりも、戦乱と混乱の続く東欧諸国からの移民・難民が大量に発生していて、その彼らが景気のいい旧西側の先進国、特にドイツと英国への移動が問題となっています。現在の難民・移民の流入問題、に関して、EUは受け入れる決議をしています。
とすれば、EU参加国として、英国も、そのEUの決議に従い、今後も流入の増大する移民・難民を受け入れ続けなければならない訳です。

丁度、その事への不平・不満が英国内で高まりつつある状況で、2年前には、ほぼ間違いないとの予想をしていた、EU残留という国民投票の結果予想が、ここに来て全く不透明になって来てしましまいました。
そういう意味で、今回の英国国民投票は、全く先の読めない、リスク・オフの材料になってしまいました。

補足ですが、何故、英国は100%EU 参加を受け入れないのか、この点に関してはこう考えています。
英国民としても、単一市場で、関税もなく、人の行き来も自由な環境の素晴らしさは、重々承知の上でしょう。
とは言っても、その利点を得る為に、自国の事を自分たちで決められない、決めて行えない、そういう事は受け入れ難いという拒否反応だと思います。かつては大英帝国の宗主国として、世界の覇権国家として君臨していた英国ですから、自国の運命を他国に託すような方法は無理でしょう。
英国だけでなく、例えば中華思想の中国であっても無理でしょう。

本邦日本であっても、やはり違和感があるはずで、参加国が皆、幸福度が右上がりの状態であればよいのですが、
都合の良い国と、都合の悪い国がでてくれば、絶対と言っていい程、このルールへの批判・反対は強くなると想定します。

英国は既に、たくさんの移民・難民を受け入れていて、その受け入れた移民は、母国での仕事の技術を使って  
既存の英国の職人たちの仕事を圧迫しているとのことで、社会問題にもなっています。
その意味でも、今回の英国国民投票は、全く先の読めない、リスク・オフの材料になってしまいました。

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