ユーロドル ドル安地合いの中1.20の大台乗せを目指す(週報11月第5週)

先週のユーロは、月曜の一時的な下落を除くと週を通して強い地合いを継続しました。

ユーロドル ドル安地合いの中1.20の大台乗せを目指す(週報11月第5週)

ドル安地合いの中1.20の大台乗せを目指す

〇ロックダウン解除後の経済活動再開に対する期待で欧州株が強い地合いになりユーロ買い材料に
〇ポンド安の一方でユーロはユーロポンドでも買い目立ち、下げに追随する動きにならず
〇EUと英国との通商協議、年内で部分合意さえなければユーロにも売りが波及する可能性
〇ECBの追加緩和は織り込み済み、新たなユーロ売りはないと見られる
〇今週は1.1900レベルをサポートに1.2020レベルをレジスタンスとする週

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、月曜の一時的な下落を除くと週を通して強い地合いを継続しました。ドル円でもドル安地合いとなっていたように全般的なドル売りの動きはどちらかというと中長期的なドル売り懸念によるところが大きいのですが、それ以外にもロックダウンが功を奏して欧州の主要国の感染者数が急速に減少してきていることから、ロックダウン解除後の経済活動再開に対する期待で欧州株も強い地合いになっていることはユーロ買い材料とされました。

ただ、再開したEUと英国との通商協議では溝が埋まらず楽観的な見通しが縮小してきています。既にそうした動きを嫌気してポンドが主要通貨に対して売られていますが、残すところ年内1か月で部分合意さえできないということになると、ユーロにも売りが波及してくる可能性があります。また来週のECB理事会では追加緩和が確実視されていますが、今週はラガルドECB総裁の講演もありますので、主要国の経済指標とともに注意しておきたいところです。

ただ、ECBの追加緩和は既に織り込んでいるため、ECB理事会に向けて新たなユーロ売りが出るということはないものと考えています。米国では既に景気回復後のインフレ懸念やドル安懸念まで出始めていますが、欧州に関してはまだそこまでは織り込んでいませんし、緩和にしてもその後にしても今後のテーマで今はまだ考える段階ではないでしょう。

個人的に気になるのはロックダウンで感染者数が主要国で減少しているにも関わらず、春の第一波で優等生だったドイツの感染者数が高止まりしている点です。一例として英国では今回の急増が始まる頃の水準に戻していますが、ドイツは統計の取り方もありそうですが、日々のブレが大きいと同時に均しても最悪水準から全く改善が見られない状態です。日本のように記録更新中よりはよいですが、ドイツの感染拡大動向は見ておくべきでしょう。

そうした材料よりも気になるのはテクニカルな観点です。日足チャートをご覧ください。

ドル安地合いの中1.20の大台乗せを目指す

テクニカルには11月高値を上抜けてきたことで、大台1.20、そして9月につけた年初来高値1.2012レベルを視野に入れる動きになってきたと言えます、ユーロが下げる材料はあるものの、テクニカルにはまず上値トライを見て、それから調整が入るという展開を考えたい動きです。

短期的には11月安値を起点に9日の1.1920までの上げ、その後の押しを各点とした上昇N波動を想定することができますが、78.6%(61.8%の平方根)エクスパンションが1.1995とほぼ1.20の大台と重なり、100%エクスパンションは1.2063です。後者の水準にはやや距離はあるものの、年初来高値を更新してくれば一気にトライしに行っても不思議ではありません。

ただこれまでも1.19台後半では実需も含めてユーロ売りもかなり見られましたので、今週のところは年初来高値をつけに行く程度で、そこからの更なる上昇は翌週以降に持ち越すのではないかというのが個人的な見通しです。今週は1.1900レベルをサポートに1.2020レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週のコラム

今週はユーロポンドの日足チャートを見てみましょう。

ユーロポンドはEUと英国との間の通商協議が難航しているうちに12月を迎えることとなり、改めて合意無き離脱の懸念がポンド安を招いています。ユーロポンドも0.90の大台を見ていますが、テクニカルにはかなり微妙な水準にいることがわかります。

今週のコラム

9月高値と10月下旬高値を結んだレジスタンスライン、9月下旬安値と11月安値を結んだラインとで平行の下降チャンネルを形成していますが、このレジスタンスラインが先週金曜時点でちょうど0.9000に位置していました。

つまり、ここで留まるか上抜けるかで今後のユーロポンドは方向が全く変わってくることとなりそうで、その方向を決めるのが通商協議の行方ということになっている感じです。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

11月30日(月)
19:00 ラガルドECB総裁講演
22:00 ドイツ11月CPI速報値
**:** ユーロ圏財務相会合

12月1日(火)
16:00 英国11月住宅価格
17:50 フランス11月製造業PMI
17:55 ドイツ11月製造業PMI
18:00 ユーロ圏11月製造業PMI
18:30 英国11月製造業PMI
19:00 ユーロ圏11月CPI速報値
24:00 パウエルFRB議長・ムニューシン財務長官議会証言(上院)
26:00 ラガルドECB総裁講演
**:** EU財務相会合

12月2日(水)
16:00 ドイツ10月小売売上高
19:00 ユーロ圏10月PPI
19:00 ユーロ圏10月失業率
28:00 ベージュブック

12月3日(木)
17:50 フランス11月サービス業PMI
17:55 ドイツ11月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏11月サービス業PMI
18:30 英国11月サービス業PMI
19:00 ユーロ圏10月小売売上高

12月4日(金)
16:00 ドイツ10月製造業新規受注
18:30 英国11月建設業PMI
22:30 米国11月雇用統計

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

今週は一週間の動きをまとめた形での執筆となります。

先週のユーロは週初ユーロ買いが先行してのスタートとなりましたが、NY市場に入り発表された経済指標が予想よりも強かったことからドル買いの動きとなり、一時1.1800レベルの安値をつけました。しかし1.18の大台は割り込まず買い戻しが入ると、その後は週末までユーロがじり高の流れを続け、対他通貨でもユーロ高の流れが継続しました。

火曜以降の動きを見ると、火曜は前日の下げに対する買い戻しとなり、ほぼ前日の下げを回復した水曜には月曜高値を超えてきたことによるテクニカルな買いも加わり上下しながらも木曜東京市場まで改めてユーロ買いが続きました。先週は一時中断していたEUと英国との通商協議が継続しましたが、協議は依然として双方の溝が埋まっていないものの、売りが入ったのはポンドのみで、ポンドが全通貨に対して下げる一方で、ユーロはユーロポンドでも買いが目立ったことから下げに追随する動きにはなりませんでした。

そして金曜にはユーロドルは週間高値を超え、ユーロ買いに弾みがつき1.1964レベルまで上昇、1.20の大台を視野に入れつつも翌週以降に持ち越しという流れで高値引けとなりました。

ディスクレーマー

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