ドル円 11月安値をトライする可能性大(週報11月第5週)

先週のドル円は週初月曜NY市場に久しぶりに米国経済指標をきっかけとしたドル買いの動きが見られましたが、じり安の展開を辿ることとなりました。

ドル円 11月安値をトライする可能性大(週報11月第5週)

11月安値をトライする可能性大

〇先週のドル円、週初月曜に米国指標をきっかけとしたドル買いの動きが見られるもその後じり安の展開に
〇日経平均株価が高値更新後も上昇を続け、リスクオンの円売りに
〇バイデン政権ではイエレン前FRB議長が財務長官として就任を要請
〇パウエルFRB議長とムニューシン財務長官の証言、ベージュブックが注目材料に
〇今週は103.10レベルをサポートに、104.30レベルをレジスタンスとする週と見る

今週の週間見通し

先週のドル円は週初月曜NY市場に久しぶりに米国経済指標をきっかけとしたドル買いの動きが見られましたが、中長期的なドル安の流れ自体には変化が無いこと、またNYダウが3万ドルの大台を示現して達成感が出たこと、さらには月末に向けて実需のドル売りが並んでいたことからじり安の展開を辿ることとなりました。

それでも週初の安値には到達しなかったのは日経平均株価がダウ高値更新後も上昇を続けたことによるリスクオンの円売りが支えていた印象でした。他にもバイデン政権ではイエレン前FRB議長が財務長官として就任を要請されたことや、新型コロナワクチンの世界的な接種がいよいよ視野に入ってきたことによる安心感はリスクオンの材料とはなりましたが、前者はまだ確定していないこと、後者は既に織り込み済みというところだと思います。

月末要因には関係なく引き続き104円台後半から105円台前半にかけてはドル売りオーダーが並んでいますし、トレーダーも上がったところではドル売りを先行させたいと考える向きは多いはずです。そして中長期的には米国の超緩和政策が景気回復とともにインフレとドル安を招くという懸念も根強くドル売りの要因となっています。実際にドルインデックスを見ると、本日30日の朝方には91.66と年初来安値を更新しています。

参考までにドルインデックスの週足チャートをご覧ください。

11月安値をトライする可能性大

2018年安値の88.15と今年高値の103.96の78.6%(61.8%の平方根)押しとなる91.53を今週にもつけに行く流れにあると見てよいでしょう。チャートのパターン的にも9月安値を下抜けてきていることから、大台90を試しに行く展開ではないでしょうか。

今週は月末月初で経済指標等も多く発表されます。先週月曜は米国経済指標に反応したドル買いとなりましたが、本来的にはいまの金融市場は経済指標に対してそれほど大きな反応はしにくい状況で、どちらかというとパウエルFRB議長とムニューシン財務長官の議会証言、そして直近のベージュブックが注目材料になりそうです。週半ばまではこの2つの材料に注目しながら週末の米国雇用統計も数字次第では材料視されるというところかと思います。

次にドル円のテクニカルな観点です。日足チャートをご覧ください。

大きな流れがドル安であることは変わっていません。今のところ11月安値と高値との78.6%(61.8%の平方根)押しがサポートとなっていますが、既に同水準は視野に入れていますし、直近の動きで11月高値を起点とする逆N波動(ピンク)を想定することが妥当になっています。

すると、フィボナッチエクスパンションの78.6%(61.8%の平方根)エクスパンションが103.17レベルとほぼ11月安値と一致しています。現在は11月安値を改めてトライしに行く流れにあると考えられ、早ければ今週にもその動きが出てくるのではないかと考えています。

今週は11月安値をトライする流れを考え103.10レベルをサポートに、先週後半の上値の重さを考え104.30レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

11月安値をトライする可能性大 2枚目の画像

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2020年FOMCメンバー(ニューヨーク、フィラデルフィア、クリーブランド、ミネアポリス、ダラス)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

11月30日(月)
10:00 中国11月製造業PMI
16:00 トルコ7〜9月期GDP
16:00 トルコ10月貿易収支
19:00 ラガルドECB総裁講演
21:00 南ア10月貿易収支
22:00 ドイツ11月CPI速報値
23:45 米国11月シカゴ購買部協会景況指数
24:00 米国10月住宅販売保留件数
**:** ユーロ圏財務相会合
**:** OPEC会合

12月1日(火)
08:30 本邦10月失業率・有効求人倍率
09:30 豪州10月住宅建設許可件数
10:45 中国11月MarkIt製造業PMI
12:30 豪中銀政策金利発表
16:00 英国11月住宅価格
16:00 トルコ11月製造業PMI
17:50 フランス11月製造業PMI
17:55 ドイツ11月製造業PMI
18:00 ユーロ圏11月製造業PMI
18:30 英国11月製造業PMI
19:00 ユーロ圏11月CPI速報値
22:30 カナダ7〜9月期GDP
23:45 米国11月製造業PMI
24:00 米国11月ISM製造業景況指数
24:00 パウエルFRB議長・ムニューシン財務長官議会証言(上院)
26:00 ラガルドECB総裁講演
26:00 ブレイナードFRB理事講演
27:15 (サンフランシスコ連銀総裁講演)
29:00 (シカゴ連銀総裁講演)
**:** EU財務相会合
**:** OPEC+会合

12月2日(水)
09:00 豪中銀総裁議会証言
09:30 豪州7〜9月期GDP
16:00 ドイツ10月小売売上高
19:00 ユーロ圏10月PPI
19:00 ユーロ圏10月失業率
22:15 米国11月ADP全国雇用者数
24:00 パウエルFRB議長・ムニューシン財務長官議会証言(下院)
24:30 週間原油在庫統計
27:00 NY連銀総裁講演
28:00 ベージュブック
30:45 NZ10月住宅建設許可件数

12月3日(木)
09:30 豪州10月貿易収支
10:45 中国11月MarkItサービス業PMI
16:00 トルコ11月CPI
17:50 フランス11月サービス業PMI
17:55 ドイツ11月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏11月サービス業PMI
18:30 英国11月サービス業PMI
19:00 ユーロ圏10月小売売上高
21:30 米国11月チャレンジャー人員削減予定数
22:30 米国新規失業保険申請数
23:45 米国11月サービス業PMI
24:00 米国11月ISM非製造業景況指数

12月4日(金)
09:30 豪州10月小売売上高
16:00 ドイツ10月製造業新規受注
18:30 英国11月建設業PMI
22:30 米国11月雇用統計
22:30 米国10月貿易収支
24:00 米国10月製造業新規受注
24:00 ボウマンFRB理事講演

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

今週は一週間の動きをまとめた形での執筆となります。

先週のドル円は、週明け月曜のNY市場までは前週金曜からの膠着状態を続けていましたが、NY市場に入り発表されたサービス業PMI速報値が予想よりも良く、数字としては約6年ぶりの強い数字であったことを好感してドルが全般に大きく買われる動きとなりました。特にドル円はそれまで動きがなかったことから仕掛けのストップ買いも出て103円台半ばから急騰、NYの昼頃には東京前場の安値から1円以上も上昇し高値圏での引けとなりました。

翌火曜は前日の上げに対する調整から売りが先行し104円台前半へと押したものの、104円割れには買いも見られ反転上昇、NY市場ではダウが史上最高値を更新し現物でも3万ドルの大台に乗せたことからリスクオンの円売りとなり前日高値を超え、104.76レベルの週間高値を更新しての引けとなりました。

水曜以降はNYダウに達成感が出たことや104円台後半では月末に向けて実需のドル売りオーダーも並んでいることからじり安の動きが金曜東京市場まで続きました。金曜のドル円は前日に全く動きが無かったこと、また火曜安値を下抜けたことからテクニカルなドル売りが先行、東京後場以降は買い戻しも見られましたが、ユーロドルが強かったことから朝方の高値は超えられず、上値が重たい週末クローズとなりました。

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