トルコリラ円見通し 14円を割り込んで史上最安値をさらに更新、セリング・クライマックスにも注意(20/9/17)

トルコリラ円は9月17日早朝に13.85円まで大幅下落して史上最安値を更新した。

トルコリラ円見通し 14円を割り込んで史上最安値をさらに更新、セリング・クライマックスにも注意(20/9/17)

14円を割り込んで史上最安値をさらに更新、セリング・クライマックスにも注意

〇トルコリラ円、17日早朝に13.85まで大幅下落し史上最安値を更新
〇ドル円で円高傾向続くとトルコリラ円にも影響が出る可能性
〇対ドルでも同様に7.5156リラの安値を付け史上最安値を更新
〇13.90以上での推移は上昇余地あり、13.95以上なら18日も高値試しへ
〇13.90割れから下げ再開、17日朝安値13.85試しを想定、13.95以下の推移が続けば18日に安値試しへ

【概況】

トルコリラ円(BID)は9月17日早朝に13.85円まで大幅下落して史上最安値を更新した。(ASK)でも13.96円まで最安値を更新している。106円台序盤で持ち合っていたドル円が9月14日夜、15日夜、16日夜と三晩続けて一段安に入り16日夜には104.80円まで大幅続落となったことでトルコリラ円は円高圧力を背景に売られてきた。また9月11日のムーディーズによる格下げをきっかけとして対ドルでのトルコリラの下落も続いてきたが、9月17日未明の米連銀FOMC声明発表・議長会見後にはドル安を助長する内容としては不足だとしてユーロドルや豪ドル等が下落してドル高感が強まり、このドル高を背景にFOMC声明発表後の17日早朝にトルコリラは対ドルで7.5156リラの安値を付けて史上最安値を更新した。

【ドル円での円高強まる】

ドル円は8月28日の安倍首相辞任騒動をきっかけに直前高値106.94円から8月28日夜安値105.17円まで1.77円の円高ドル安となる急落商状に見舞われた。9月3日夜には106.54円まで持ち直していたが、106.50円前後では上値が重くなって9月11日までは106円台序盤を中心とした小動きでの持ち合いで推移していた。しかしFOMCが迫る中で9月14日夜には105.51円まで失速し、9月15日夜には105.25円へ、さらに9月16日夜には104.80円まで続落して8月28日夜安値を割り込んだ。ドル円の104円台は7月31日に104.17円まで急落した時以来の安値水準だ。
9月17日未明のFOMC声明発表後はさらにドル安を助長する内容ではなかったとして発表後はユーロや豪ドル等が下落してドル高再燃の動きが見られ、ドル円も9月16日夜安値の後は新たな安値更新を回避しているが、105円を挟んだ揉み合い程度にとどまっており、9月14日夜からの円高基調がまだ続きかねない流れとなっている。

3月のコロナショック暴落後のドル円は3月24日に111.71円の戻り天井を付けた後、6月5日の109.84円、7月1日の108.16円、8月13日の107.05円と戻り高値を徐々に切り下げてきた。7月31日安値から戻した後は105円台序盤を下値支持線、107円前後を上値抵抗線とするボックス型持ち合いだったが、9月16日の下落によりボックス型持ち合いから転落してきた。FOMC後のドル反発によりやや下げにはブレーキがかかっている印象もあるが、持ち合い下放れによる下落継続感が勝れば7月31日安値を割り込むような円高へ進みかねず、そうなるとトルコリラ円にも大きな売り圧力となるのではないかと懸念される。

【対ドルで史上最安値を更新】

トルコリラは対ドルで9月17日未明に7.5156リラを付けて史上最安値を更新した。8月31日から9月3日まで4日間の続落となり、9月4日の下げ渋りを挟んで9月7日から9日まで3日間の続落、9月10日に下げ一服して11日からは4日連続の下落となっている。7月後半にそれまでの6.85リラを中心とした小レンジの膠着状態から下抜けて急落商状となった時と比較すれば下落速度は減速しているが、下げ一服を挟んでも早々に下げ再開に入り最安値を更新する流れが続いている。大幅下落が発生すれば安値を出し切って売り一巡となり、いったん大きく戻すという展開へ進みやすくなるものだが、じわじわと安値更新が続く場合は下げ切り感になかなか届かず、セリング・クライマックス的な売りの殺到を招く可能性もあるのではないかと懸念される。

トルコリラ安の背景は(1)政策金利を物価上昇率が上回る実質マイナス金利状態の長期化、(2)外貨準備高不足による通貨防衛力の大幅低下、(3)コロナ不況の長期化、特に観光収入の激減による経常赤字の拡大、(4)東地中海のガス田探査を巡るギリシャ等との対立による地政学的リスク、(5)追い打ちをかけたムーディーズの格下げであり、これらの問題を解消してゆく動きが見られないうちは、トルコ中銀への利上げ催促的なリラ売りが収まらない可能性がある。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月10日夜高値をサイクルトップとして弱気サイクル入りしてきた。ボトム形成期は9月14日午後から16日午後にかけての間と想定したが、9月17日朝に一段安してからいったん戻しているため、9月17日朝安値を割り込む場合は新たな弱気サイクル入りとするのを妥当とみて9月17日朝安値を直近のサイクルボトムとする。底割れ回避のうちは9月17日の日中から来週序盤にかけての上昇余地ありとみるが、13.93円割れからは弱気転換注意として17日朝安値試しとし、底割れからは新たな弱気サイクル入りとして22日朝から24日朝にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では9月11日夜の下落から遅行スパンが悪化し、先行スパンからも転落したが、その後も両スパン揃っての悪化が続いている。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とするが、新たな安値更新を回避して推移すれば遅行スパンは好転しやすくなると注意し、遅行スパン好転からはいったん戻しに入るとみて高値試し優先とする。ただしその際は先行スパンが上値抵抗帯となりやすいとみて、その後に遅行スパンが再び悪化するところからは下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は9月16日夜安値から17日朝への一段安に際して指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せているので、再び30ポイント割れへ低下しないうちは上昇余地ありとするが、30ポイント割れからは下げ再開とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、13.90円を下値支持線、14.05円を上値抵抗線とする。
(2)13.90円以上での推移中は上昇余地ありとみる。14.05円前後は戻り売りにつかまりやすいとみるが14円台に到達した後も13.95円以上での推移なら18日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)13.95円割れからは弱気転換注意とし、13.90円割れからは下げ再開とみて17日朝安値13.85円試しを想定する。13.85円前後は買い戻しも入りやすいとみるが、13.90円を割り込んだ後も13.95円以下での推移が続く場合は18日に安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

9月17日
 20:30 週次外貨準備高 9/11時点 (9/4時点 448.8億ドル)
9月21日
 23:30 8月中央政府債務残高 (7月 172.1億ドル)
9月22日
 16:00 9月消費者信頼感指数 (8月 59.6)
9月24日
 16:00 9月製造業景況感 (8月 106.2)
 16:00 9月設備稼働率 (8月 73.3)
 20:00 トルコ中銀 政策金利発表 (現行 8.25%)
 20:30 週次外貨準備高 9/18時点
9月25日
 17:00 8月観光客数 前年比 (7月 -85.9%)   
9月29日
 16:00 9月経済信頼感指数 (8月 85.9)
9月30日
 16:00 8月貿易収支 (7月 -26.9億ドル)
10月1日
 16:00 9月イスタンブール製造業PMI (8月54.3)

注:ポイント要約は編集部

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