脆弱なファンダメンタルズと追加利下げ観測が南アランドの重石
〇南ア円週明け早々に早々に週間高値6.41まで上昇、その後は方向感を失い6.33で越週
〇南ア円テクニカル的に持ち直しの兆しを見せつつも、ファンダメンタルズ的な脆弱さが続伸を阻むか
〇9/17に予定されている南ア中銀の政策金利発表、見方が割れており要注視
〇脆弱なファンダメンタルズと追加利下げ観測が南アランドの重石
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):6.15ー6.45
今週のレビュー(9/7−9/11)
今週の南アフリカランド円相場は、週初6.38円で寄り付いた後、早々に週間高値6.41円まで上昇しました。しかし、ボリンジャーバンド上限に続伸を阻まると、@南ア第2四半期GDP(結果▲51.0%、予想▲47.2%)の冴えない結果(同国初となる4四半期連続マイナス成長)や、A世界的な株価下落を受けたリスク回避の新興国通貨売り・円買いムード、B米中対立激化懸念(トランプ米大統領は中国との経済関係を制限する姿勢を強調)が重石となり、9/9にかけて、安値6.22円まで下落しました。もっとも、一目均衡表基準線に続落を阻まれると、C南ア第3四半期BER企業信頼感指数(結果24、予想8)の良好な結果が支えとなり、結局6.33円まで持ち直しての越週となっております(方向感を見出しづらい時間帯が継続)。
来週の見通し(9/14−9/18)
南アフリカランド円相場は、8/10に記録した約2ヵ月半ぶり安値5.95円をボトムに反発に転じると、9/4には、約1ヵ月半ぶり高値となる6.42円まで上昇しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドや雲上下限を上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する三役好転も成立するなど、テクニカル的にみて、「地合いの強さ」を印象付けるチャート形状となっております。
但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@南アフリカ経済を巡る先行き不透明感(第2四半期GDPは▲51.0%の驚異的な悪化)や、A国営電力会社エスコムを巡る負債問題(電力負荷制限→景気鈍化の悪循環)、B米中対立激化懸念(米中対立先鋭化は中国と経済的な結びつきの強い南アフリカ経済へマイナスの影響をもたらす恐れ。11/3の米大統領選に向けて米中関係は一段と悪化する恐れ)、C中東を巡る地政学的リスク、D南アフリカ国内における新型コロナウイルスの感染再拡大リスク、E南アフリカ中銀による追加緩和観測など、南アフリカランド売りを想起させる材料が引き続き沢山残っている状況です。
以上の通り、南アフリカランド円相場は、テクニカル的に持ち直しの兆しを見せつつも、ファンダメンタルズ的な脆弱さが続伸を阻むシナリオが想定されます。新型コロナウイルスに関するヘッドラインや米中対立関連報道、欧米株や商品市況の動向、南アフリカの主要経済指標の結果(9/16に発表される南ア7月小売売上高)や、9/17に予定されている南ア中銀の政策金利発表(第2四半期GDPが▲51.0%になったことや、7月消費者物価指数がインフレ目標の下限付近に留まったことを受けて、25bpの追加利下げに踏み切ると予想。市場参加者の中では据え置き予想と利下げ予想が真っ二つに割れている為、どちらの結果になったとしても、南アランドのボラティリティは高まる公算大)を睨みながらも、当方では引き続き、南アフリカランド円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(脆弱なファンダメンタルズと追加利下げ観測が南アランドの重石)。
来週の予想レンジ(ZARJPY):6.15ー6.45
注:ポイント要約は編集部
南アフリカランド円日足
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