トルコリラ週報:『冴えないファンダメンタルズを背景に約4週間ぶり安値圏へ急落』(6/13朝)

トルコリラの対円相場は、6/3に記録した約1ヵ月半ぶり高値16.26円をトップに反落に転じると、週後半にかけて、約4週間ぶり安値となる15.56円まで急落しました。

トルコリラ週報:『冴えないファンダメンタルズを背景に約4週間ぶり安値圏へ急落』(6/13朝)

『冴えないファンダメンタルズを背景に約4週間ぶり安値圏へ急落』

〇トルコ円トルコ経済指標の不冴え、米株の大幅下落に15.56に急落、15.75で越週
〇トルコ円、テクニカル、ファンダメンタルズとも上値の重さが警戒される
〇コロナ第2波リスクの再燃、実質金利のマイナス幅拡大、外貨準備急減による介入余力への不信感が重石
〇来週の予想レンジ15.40ー16.00

今週のレビュー(6/8−6/12)

今週のトルコリラ円相場は、週初16.20円で寄り付いた後、早々に週間高値16.22円まで上昇しました。しかし、直近高値16.26円(先週6/3に記録した約1ヵ月半ぶり高値)をバックに伸び悩むと、@トルコ4月経常収支(結果▲50.6億ドル、予想▲45.0億ドル)の赤字幅拡大(約2年ぶりの赤字幅)や、Aトルコ4月鉱工業生産(結果▲30.4%、予想▲10.5%)の冴えない結果(過去最大の落ち込み幅)、B新型コロナウイルスの第2波懸念、Cリスク回避ムードの再燃を受けた米株・原油先物価格の大幅下落(クロス円売り→新興国通貨売り)が重石となり、週後半にかけて、約4週間ぶり安値となる15.56円まで急落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、結局15.75円前後での越週となっております。尚、トルコ内務省は、新型コロナウイルス対策として実施していた陸路、海路、空路の国境閉鎖措置について、6/12までに解除する旨通達を出しましたが、市場の反応は限定的となりました。

来週の見通し(6/15−6/19)

トルコリラの対円相場は、6/3に記録した約1ヵ月半ぶり高値16.26円をトップに反落に転じると、週後半にかけて、約4週間ぶり安値となる15.56円まで急落しました。この間、一目均衡表転換線やボリンジャーミッドバンドを下抜けするなど、テクニカル的に見て、「上値の重さ」を印象づけるチャート形状となっております。

ファンダメンルズ的に見ても、@トルコ経済の先行き不透明感や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感、Bトルコ中銀による連続利下げ+インフレ高止まりを受けた実質金利のマイナス幅拡大(直近9会合で計1575bpの利下げ幅)、C経済的な結び付きの強いユーロ圏経済の先行き不安、D中東を巡る地政学的リスク、E米国・ロシア・NATO同盟国との関係悪化懸念、F米中対立激化や新型コロナ第2波拡大を受けたリスク回避ムードの再燃リスクなど、トルコリラ売りを想起させる材料は今尚山積みの状態です。

以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的にもファンダメンタルズ的にも、「上値の重さ」が警戒されます。新型コロナ第2波リスクの再燃や、実質金利のマイナス幅拡大(トルコ中銀による連続利下げとインフレ高進が背景)を受けた資本流出圧力の高まり、外貨準備急減を受けた介入余力への不信感が重石になると見られ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします(6/18−6/19に開催されるEU首脳会議でEU復興基金に進展が見られなかった場合、ユーロ圏と経済的な結びつきの強いトルコ経済に更なる下押し圧力が加わる可能性あり。ユーロ売り→トルコリラ売りへの波及経路に要注意)。

来週の予想レンジ(TRYJPY):15.40ー16.00

注:ポイント要約は編集部

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トルコ円日足

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