トルコリラ円見通し 米FOMC後の円高継続とドル高再燃で一段安(20/6/12)

トルコリラ円はドル円での円高と対ドルでのリラ安が加速したために6月11日深夜に15.51円まで一段安となり、12日朝には15.48円まで安値を切り下げた。

トルコリラ円見通し 米FOMC後の円高継続とドル高再燃で一段安(20/6/12)

トルコリラ円見通し 米FOMC後の円高継続とドル高再燃で一段安

〇トルコ円株価下落による対トルコのドル買いとドル円の円高進行で一段安、15円台半ばへ
〇トルコリラは昨晩対ドルでのトルコ安が進んで6.85台をつける
〇先進国の不況長期化懸念で株高にブレーキがかかると新興国通貨安を再燃させかねない
〇15.48割れ回避のうちは反騰余地あり、15.48割れからは15.30方向への下落を想定

【概況】

トルコリラ円は5月7日に付けた14.61円の史上最安値から6月3日未明高値16.23円まで反騰してきたが、6月5日夜までは円安基調と対ドルでのリラ安が交錯して16円台序盤での持ち合いに止まっていた。しかし6月8日からドル円が急落に転じ、対ドルでのリラ安も続いたために8日夜には16円を割り込んで持ち合い下放れに入り、10日には15.80円割れへ続落した。

6月11日未明のFOMCでは実質ゼロ金利を2022年末まで継続することや3月以降に拡大してきた資産購入プログラムの規模を当面維持することを示したが、2020年の成長率見通しをマイナス6.5%、失業率見通しを9.3%としたことにより景気回復への道のりは厳しいものになるとの印象を与えた。このためFOMC後はアジア及び欧米株が急落となり、為替市場ではそれまでリスク選好で上昇してきたユーロやポンドが下落に転じてドルストレートではドル高となりトルコリラも対ドルで下落した。その一方でリスク回避感の強まりと米10年債利回りの低下継続によりドル円では円高がさらに進み、クロス円全般で円高が加速した。
トルコリラ円はドル円での円高と対ドルでのリラ安が加速したために6月11日深夜に15.51円まで一段安となり、12日朝には15.48円まで安値を切り下げた。(編集部注:15.48はマネーパートナーズ社提示の参照値、同時間帯の他社表示はInvesting.com15.59、Bloomberg15.56、SAXOBANK15.56と提示元により差異あり)

【対ドルでのリラ安再燃への懸念】

対ドルでのトルコリラは6月11日に6.85リラまで下落して5月29日の6.84リラを超える下落となっている。11日の前日比は0.92%安であるが、6月3日から6月9日まで5日連続でドル高リラ安が徐々に進んでいたところから一挙に急落した印象だ。
6月11日は株安原油安を背景にメキシコペソが4%を超える下落となったほか、ロシアルーブル、南アランド等が軒並み急落している。欧米株が楽観的な上昇基調を継続して主要国による資金供給や金融緩和が拡大する中では新興国通貨安も一服できるが、主要先進国の不況が長期化する懸念で株高にブレーキがかかると楽観的なリスク志向が悲観的な手仕舞いへと逆流し、新興国通貨安を再燃させかねない。そうした中にトルコリラもあるということだ。

【日足は4日連続陰線】

トルコリラ円は5月7日の史上最安値14.61円から反騰してきたが、6月2日(3日未明)高値16.23円で行き詰まり、6月8日から11日までは4日連続の日足陰線で下落した。12日朝時点の安値は15.48円だが、6月2日への上昇幅1.62円に対して12日朝への下げ幅は0.75円となり、半値押しの15.42円に迫る状況となっている。
5月7日へのトルコリラ円急落はコロナショックによる新興国通貨売りが背景であり、欧米での感染爆発がひとまず峠を超えて経済活動再開の動きが出始める中で新興国通貨が持ち直しの上昇に入ったためにトルコリラ円も戻してきた。この上昇は概ね4か月周期の底打ちサイクルによる反騰期とも合致したものであるが、このサイクルにおける前回のサイクルトップは1月17日高値であり、既に4か月を超えたところから下落し始めているため、このサイクルの上昇期が一巡して下落期に入った可能性も警戒される。為替市場及び株式市場がリスク回避へ向かえば、対ドルでのリラ安に加えてクロス円全般の円高がトルコリラ円には大きな圧力となりかねない。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月8日夜の急落で16円台の持ち合いから転落したために、6月9日午前時点では持ち合いの中間点にある6月4日夜安値を直近のサイクルボトムとし、持ち合い下放れ前の6月5日深夜高値を同サイクルトップとした弱気サイクル入りとして6月9日夜から11日夜にかけての間への下落を想定した。
6月11日深夜へ大幅続落し、12日朝も安値を更新したが、その後はやや戻しているので、12日朝安値を直近のサイクルボトムと仮定し、底割れ回避の内は12日夜から15日朝にかけての間への上昇を想定する。ただし戻りは短命の可能性があるので、12日朝安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして17日朝から19日朝にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では6月8日夜の急落により遅行スパンが悪化し、先行スパンからも大きく転落したが、その後も両スパン揃っての悪化が続いているため遅行スパン悪化中は安値試し優先と考える。安値更新が続かなければ遅行スパンは好転しやすくなるので遅行スパン好転からはリバウンド入りとみて高値試し優先とするが、戻りは短命の可能性もあるので遅行スパン好転が長続きせずに再び悪化するところからは下げ再開から一段安へ進みやすいと注意する。

60分足の相対力指数は11日深夜に20ポイント割れまで低下してからはやや戻している。下げ過ぎの反動で戻りを試しやすいところとみるが、情勢を好転させるような材料的裏付けがないと戻りは短命にとどまりやすい。40ポイント台を抵抗とし、30ポイント以下での推移が続くようなら12日夜から週明け朝への一段安も懸念される。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6月12日朝安値15.48円を下値支持線、15.70円を上値抵抗線とする。
(2)12日朝安値割れ回避の内は反騰余地ありとし、15.70円前後を試すとみる。15.70円以上は反落警戒とするが、15.60円以上での推移なら週明け午前も高値を試す余地ありとみる。
(3)12日朝安値割れからは15.30円前後への下落を想定する。15.30円以下は反騰注意とするが、12日朝安値を割り込んだ後も15.55円以下での推移なら週明けも一段安へ進みやすいとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

6月12日
 16:00 4月経常収支 (3月 −49億2000万ドル、予想 -44.5億ドル)
 16:00 4月鉱工業生産 前月比 (3月 -7.1%、予想 -10.5%)
 16:00 4月鉱工業生産 前年比 (3月 -2.0%、予想 -18.2%)
 16:00 4月小売売上高 前月比 (3月 -8.1%、予想 -16.9%)
 16;00 4月小売売上高 前年比 (3月 -0.2%、予想 -18.6%)
6月22日
 16:00 6月消費者信頼感指数 (5月 59.5、予想 54.0)
6月24日
 16:00 6月設備稼働率 (5月 62.6%)
6月25日
 20:00 トルコ中銀金融政策会合(TCMB)政策金利 (現行 8.25%、予想 7.25%)

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