トルコリラ円見通し 米FOMC後の円高継続で15.70円台へ一段安(20/6/11)

FOMC後はドル全面安となりドル円は107円を割り込む下落へ進み、トルコリラ円も11日早朝には15.74円まで下落した。

トルコリラ円見通し 米FOMC後の円高継続で15.70円台へ一段安(20/6/11)

トルコリラ円見通し 米FOMC後の円高継続で15.70円台へ一段安



〇トルコリラ円はFOMC後のドル円の下落で11日早朝15.74まで下落
〇ドルは対トルコリラでも下落したが相対的に動きは小さい
〇トルコの3月失業率は13.2%、2月の13.6%から改善
〇トルコは感染拡大抑止を維持
〇トルコ円15.86以下での推移中は一段安警戒、15.74れからは5/29安値15.64試しへ向かう
〇15.86超えからはリバウンド入り15.90台前半への上昇を想定

【概況】

トルコリラ円は5月7日に14.61円まで下げて史上最安値を更新してから反騰に転じて6月3日未明には16.23円まで大幅続伸したが、対ドルでのトルコリラ高が一服したことで上値が重くなり、6月5日夜までの間は16.10円を挟んだ持ち合いが続いた。
週明けは米長期債利回り低下とともにドル円が急落に転じたことで8日夜には16.00円を割り込んで持ち合い下放れとなり、9日に15.90円を割り込み、10日は15.80円も割り込んできた。
6月11日未明の米連銀FOMCは実質ゼロ金利の長期継続と3月に拡大した資産購入規模を維持してゆく姿勢を示した。またYCC(イールドカーブコントロール)についても議論していることを示した。FOMC後はドル全面安となりドル円は107円を割り込む下落へ進み、トルコリラ円も11日早朝には15.74円まで下落した。

ドル円は6月5日に米雇用統計が予想外の改善となったことで109.84円の高値をつけたが、週明けからは米10年債利回りが低下に転じたことから下落基調に入り、8日深夜に109円を割り込み、9日には108円を割り込んたが、10日もさらに続落して11日早朝には106.87円まで大幅続落した。米連銀による実質ゼロ金利の長期継続方針が米長期債利回り低下を進め、ドル円も下落している状況だが、6月5日高値からの急落レベルは3月24日からの下落開始時や2月20日からの下落開始時にも近い鋭角的な下げとなっている。連日の下落に対する突っ込み警戒感から買い戻しも入ってくるかもしれないが、当面は下落基調から抜け出せない状況が続きやすくなっていると思われる。

対ドルでのトルコリラは5月7日に7.27リラを付けて史上最安値を更新してからは揺れ返しの上昇を続けてきた。6月3日に6.68リラまで戻した後は6月9日まで5日連続でドル高リラ安となっていたが、6月10日は6日ぶりにドル安リラ高となった。動きは小さいものの、トルコリラにおいても米FOMC後はドル安反応となった。現状は対ドルでのリラ高一服で6.75リラを挟んだ持ち合いの範囲にあるため、まだ中勢レベルの方向性を示す動きには至っていない。

【トルコの3月失業率は改善】

【トルコの3月失業率は改善】

6月10日に発表されたトルコの3月失業率は13.2%となり2月の13.6%から低下した。2018年8月のトルコ通貨危機から失業率は悪化して2019年2月には14.7%まで上昇していたが、その後は改善傾向を続けてきた。統計局によれば、3月の15歳以上の失業者の数は397万1000人となり、2019年3月に比べれば57万3000人減ったという。3月後半からトルコも感染爆発が発生してロックダウンや経済活動停滞が長期化した。6月に入ってから正常化が始まっているが、4月及び5月の失業率は悪化することも予想される。
6月12日には4月の鉱工業生産、小売売上高の発表がある。4月の鉱工業生産前月比については3月のマイナス7.1%からマイナス10.5%への悪化が予想されており、前年同月比では3月のマイナス2.0%からマイナス18.2%への悪化が予想されている。小売売上高も3月のマイナス8.1%からさらに悪化する見込みであり、これらを織り込み済としてトルコ株式市場及びトルコリラが確りできるのかどうか試されると思われる。

【トルコは感染抑止状態を維持】

6月10日時点の世界における新型コロナウイルス感染者数は745万人を超え、死者も41.8万人を超えた。米国の感染者は206.6万人、ブラジルが77.5万人、ロシアは49.3万人へそれぞれ拡大している。南米ではペルーが20.8万人(8位)、チリが14.8万人(13位)、メキシコが12.9万人(14位)と増加傾向にある。
トルコの感染者数は17万3036人だが増加数は922人で5月30日以降は千人を切った状況を維持している。死者は17人増の4746人となった。5月後半からは落ち着いた状況が続いており、感染者増加がピークだった4月11日の5138人増からは感染拡大が抑止されている印象だが、千人弱の増加ペースは継続している。6月1日から経済活動再開が始まっているため、今後は第二波も心配される。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月8日夜の急落で16円台の持ち合いから転落したために、6月9日午前時点では持ち合いの中間点にある6月4日夜安値を直近のサイクルボトムとし、持ち合い下放れ前の6月5日深夜高値を同サイクルトップとした弱気サイクル入りとして6月9日夜から11日夜にかけての間への下落を想定した。11日朝安値の後も反騰しきれずにいるのでまだ一段安余地ありとみるが、既に前回ボトムから4日を経過しているので反騰注意期にあるため、10日昼高値15.86円超えからはいったん強気サイクル入りと仮定する。その場合のトップ形成期は11日の日中から12日深夜にかけての間と想定されるので戻りは短命の可能性もあると注意し、その後の失速で今週の安値を割り込むところからは新たな弱気サイクル入りにより16日から18日にかけての間への下落へ進む可能性があると注意する。

60分足の一目均衡表では6月8日夜の急落により遅行スパンが悪化し、先行スパンからも大きく転落した。11日午前時点も両スパン揃っての悪化が続いているため遅行スパン悪化中は安値試し優先と考える。安値更新が続かなければ遅行スパンは好転しやすくなるので遅行スパン好転からはリバウンド入りとみて高値試し優先とするが、遅行スパン好転が長続きせずに再び悪化するところからは下げ再開から一段安へ進みやすいと注意する。

60分足の相対力指数は8日夜からの安値更新に対して指数のボトムが切り上がる強気逆行が続いているが、リバウンドに入り切れずにいる。反騰入りには50ポイントを超える上昇が必要と思われ、30ポイント割れからは下げ再開を疑う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5月29日夜安値15.64円を下値支持線、6月10日昼高値15.86円を上値抵抗線とする。
(2)15.86円以下での推移中は一段安警戒とし、11日朝安値15.74円割れからは5月29日安値15.64円試しへ向かうとみる。15.65円以下は反騰注意とするが、15.80円以下での推移が続く場合は12日午前にかけても安値試しを続けやすいとみる。
(3)15.86円超えからはリバウンド入りとみて15.90円台前半への上昇を想定する。15.95円以上は反落警戒とするが、10日昼高値を超えた後も15.85円以上での推移なら12日も高値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

6月12日
 16:00 4月経常収支 (3月 −49億2000万ドル、予想 -44.5億ドル)
 16:00 4月鉱工業生産 前月比 (3月 -7.1%、予想 -10.5%)
 16:00 4月鉱工業生産 前年比 (3月 -2.0%、予想 -18.2%)
 16:00 4月小売売上高 前月比 (3月 -8.1%、予想 -16.9%)
 16;00 4月小売売上高 前年比 (3月 -0.2%、予想 -18.6%)
6月22日
 16:00 6月消費者信頼感指数 (5月 59.5、予想 54.0)
6月24日
 16:00 6月設備稼働率 (5月 62.6%)
6月25日
 20:00 トルコ中銀金融政策会合(TCMB)政策金利 (現行 8.25%、予想 7.25%)

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