トルコリラ円見通し 上昇一服で16円台序盤の持ち合い(20/6/5)

6月4日朝安値16.02円、4日夜安値16.03円等で底固く、16.10円台を中心として一段高状態を維持した持ち合いとなっている。

トルコリラ円見通し 上昇一服で16円台序盤の持ち合い(20/6/5)

トルコリラ円見通し 上昇一服で16円台序盤の持ち合い


〇トルコ円16円台を維持し高値圏での取引継続
〇トルコが対ドルでやや値を下げるもドル円の上昇に支えられた形
〇トルコの感染者数は5月30日からは1000人を切った状況を維持
〇復興期待を背景にトルコのイスタンブール100株価指数は昨日まで12連騰、トルコリラをサポート
〇トルコ円16.15以上に上伸する場合は上向き、16.23超えからは16.30台への上昇を想定
〇16.15以下で推移中は下向きとし、16.02円割れからは15.90円台への下落を想定

【概況】

トルコリラ円は5月7日に14.61円まで下げて史上最安値を更新してから反騰に転じ、5月26日夜高値16.05円から5月29日夜安値15.64円まで調整安を入れたが、5月29日深夜からのドル円の上昇や対ドルでのトルコリラ反騰により6月3日未明には16.23円まで大幅続伸した。
ドル円の上昇一服や対ドルでのトルコリラ上昇一服により6月3日夜には16.02円まで下げ、その後は新たな高値更新へは進めずにいるものの、6月4日朝安値16.02円、4日夜安値16.03円等で底固く、16.10円台を中心として一段高状態を維持した持ち合いとなっている。

ドル円は米中関係悪化懸念で5月29日夕刻に107.05円まで急落したものの、その後はアフターコロナの復興相場期待による株高の継続や欧州の復興期待によるユーロ高等のリスクオン心理優勢の展開のなかで6月2日深夜に5月19日深夜高値108.07絵を超えて一段高に入り、3日は108.84円、4日夕刻には109.16円、さらに5日午前には109.20円台へと高値を切り上げている。5月末までは株高に対する反応が鈍かったものの、為替市場全般もリスクオン優勢での展開に入ったために上昇に勢いがついている。6月5日の米雇用統計を上昇基調で通過できるかどうかが関門となるが、今のところは上昇基調継続によりトルコリラ円には押し上げ要因となっている。

対ドルでのトルコリラは5月7日に7.27リラを付けて史上最安値を更新してからは揺れ返しの上昇に転じてきた。6月3日に6.68リラまで戻したあとは上げ渋りとなり、終値ベースでは6月3日が前日比0.44%安、4日が0.15%安とやや下落している。コロナショック当初の新興国通貨全面安によりトルコリラも対ドル等で大幅下落してきたが、アフターコロナの復興期待によるリスクオン心理が回復してきたことでトルコリラも反騰基調を維持しているところだ。

【トルコ株は12連騰、感染拡大落ち着きを維持】

6月4日終了時点での世界全体の感染者数は668.8万人を超え、死者も39.2万人台へ拡大した。米国の感染者は192.3万人を超え、死者も11万人を超えた。爆発的な感染拡大が発生しているブラジルは感染者が前日比2万8882人増の61.2万人(世界二位)となり、ロシアも44.1万人(三位)に達した。南米ではペルー(感染者18.3万人、世界9位)やチリ(同11.8万人、同13位)、メキシコ(同10.1万人、同14位)等での感染拡大が引き続き顕著だ。欧米でやや収まってきていることで世界全体の死者増加数はやや低下している。
トルコの感染者数は6月4日時点で前日比988人増の16万7410人、死者は21人増の4630人となった。感染者増加数は4月11日の5138人増をピークに減少に入り5月30日からは1000人を切った状況を維持している。

トルコ内務省は全土での移動制限を5月31日をもって解除し経済活動再開に入った。
トルコ運輸インフラ省は6月4日、国際線の運航について6月10日から順次再開していくとした。日本便については6月15日をめどに再開する方向で調整しているという。国内線については6月1日から段階的に再開している。

アフターコロナの復興期待を背景にトルコのイスタンブール100株価指数も連騰しており、5月15日から6月4日まで12連騰となった。5月14日安値からは11.5%の上昇率であり、3月序盤からの暴落でつけた3月17日安値からは34%の上昇となっている。世界的な復興期待の株高に同調した動きであるが、トルコ国内の感染拡大が収まっていることも背景にあり、トルコリラ持ち直しの動きを助長している。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、5月29日夜安値をサイクルボトムとして強気サイクルに入ったが、6月3日未明高値で直近のサイクルトップをつけてその後は高値圏持ち合いとなっている。6月3日夜安値ないしは4日夜安値で既にサイクルボトムをつけた可能性があるが、3日未明高値を上抜けない内は5日夜にかけての間への下落余地も残る。また6月3日安値を割り込んで続落して行く場合は連続的な弱気サイクル入りとなる可能性も多少残るところだ。ただし、6月3日未明高値を超えるところからは新たな強気サイクル入りとなり6月6日未明から10日朝にかけての間への上昇期に入ると考える。

60分足の一目均衡表では3日未明高値から一旦反落したことにより遅行スパンは悪化し、その後は持ち合い相場のために実線と交錯している。4日夜には先行スパンへ潜り込んだがその後に上抜き返している。6月3日未明高値を上抜くところからは新たな上昇期に入るとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、6月3日夜安値を割り込む場合は持ち合い下放れとなるので遅行スパン悪化中の安値試し継続とし、先行スパンから転落する場合は下げが加速しやすいと注意する。

60分足の相対力指数は6月3日未明高値以降の持ち合いにより50ポイントを挟んだ小動きに止まっている。持ち合い放れ待ちだが、65ポイント超えからは上昇感が強まるので75ポイント以上を目指す上昇を想定し、40ポイント割れからは下げ再開を疑い20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)6月3日夜安値16.02円を下値支持線、3日未明高値16.23円を上値抵抗線とする。
(2)16.15円以上での推移中は上向きとし、16.23円超えからは16.30円台への上昇を想定する。16.35円以上は反落警戒とするが16.15円以上での推移なら週明けも高値試しへ進みやすいとみる。
(3)16.15円以下での推移中は下向きとし、16.02円割れからは15.90円台への下落を想定する。15.95円以下は反発注意とするが、3日夜安値を下回る水準での推移なら週明けも安値試しが続きやすいと注意する。

【当面の主な経済指標等の予定】

6月10日
 16:00 3月失業率 (2月 13.6%、予想 15.1%)
6月12日
 16:00 4月経常収支 (3月 −49億2000万ドル)
 16:00 4月鉱工業生産 前年比 (3月 -2.0%、予想 -18.2%)
 16:00 4月小売売上高 前月比 (3月 -8.1%、予想 -16.9%)
 16;00 4月小売売上高 前年比 (3月 -0.2%、予想 -18.6%)

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