弱材料抱えるものの、リスクはドル高方向か
〇ドル円高値圏を維持し、東京終盤に109.15まで上伸
〇昨晩の米指標の好調に円売りが継続
〇トランプ大統領は経済の回復に自信示す
〇米中対立、米国内暴動、米経済指標に注目
〇欧米時間のドル円予想レンジ108.50-109.50
<< 東京市場の動き >>
4日の東京市場は、ドル堅調裡。レンジは狭いが終盤にかけて買い進まれ、3日連続のドル戻り高値更新となった。
ドル/円は108.85-90円で寄り付いたのち、しばらくは揉み合い。前日超えられなかった109円を一時的に突破したものの、しっかりとは抜け切れず108.80-109.05円といったレンジ取引に。しかし、終盤にかけてドルは再度上値を試すと、109.15円レベルへ。結局、16時現在でもドルは日中の最高値圏を維持し欧米時間を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「米国情勢」と「中国情勢」について。
前者は、「米中対立」や「全米に広がる抗議デモ」といった米国における悪材料が取り沙汰されるなか、昨日発表された米経済指標はおおむね良好。なかでも、ADP雇用統計は予想値であるマイナス900万人を大きく上回るマイナス276万人を記録し、市場の期待感アップに貢献していた。そうしたなか、トランプ米大統領からは「経済が回復の初期段階にあるとの自信を強めている」との発言も聞かれていた。
対して後者は、香港情勢を中心とした米国との対立が厳しさを増すなか、ほかの国との軋轢も徐々に拡大しつつあるようだ。たとえば、フィリピンが「南シナ海での対中警戒を強める」方針を示したほか、中国外務省は英外相が発した香港に関するコメントに厳重に抗議すると表明している。また、AP通信が報じた「WHO内部にも中国に対する不満が挙がる」との内容も、早々に全面否定していたことが明らかに。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円が本日東京時間に109円台を回復するなど、ドル高・円安となっているだけでなく、ユーロ/円が今年1月以来のユーロ高値(円安値)、年初来高値をうかがうなど、円は全面安の様相にある。さすがに、やや買われ過ぎ、短期的には行き過ぎている感も否めないが、それでもリスクは上向きか。振り落としの動きを警戒しつつも、さらなる円安が進行する展開には注意を払いたい。
材料的に見た場合、「貿易問題のほか香港情勢などを含めた米中の対立」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」、「全米に広がるデモ活動」など、注目要因は依然として目白押し。そうしたなか、もっとも注意を要するのは、引き続き「米中対立」と、「全米に広がるデモ活動」の動きになる。また、前述したように昨日は発表された米経済指標がおおむね良好で、ドルの支援要因に。コロナ禍からの経済活動再開への期待も根強く、本日も良好な米指標の発表が続くようなら、ドルがさらに買い進められる可能性も否定できない。
テクニカルに見た場合、ドル/円は本日東京時間も続伸し、4月9日以来の109円台を示現している。ポジションの偏りなどを警戒する声も聞かれるが、リスクそのものはドル高・円安方向にバイアスか。ドルの続伸には要注意。
ちなみに、そんなドルの次の上値メドは4月6日高値の109.38円。そして、3月高値111.71円を起点とした下げ幅のフィボナッチ61.8%戻しとなる109円半ばなどとなりそうだ。
本日は、4月の貿易収支や、週間ベースの新規失業保険申請件数といった米経済指標が発表される予定となっている。明日に注目の5月雇用統計発表が見込まれるなか、昨日発表されたADP雇用統計がかなりの好数字、雇用の回復を期待させる数字になったことで、本日のデータにも期待を抱く声が少なくないようだ。
また、それとは別にECBによる政策金利発表とECB総裁による記者会見も一応要注意。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、108.50-109.50円。本日東京高値の109.15円レベルをめぐる攻防にまずは注目。上抜ければ109.38円や109円半ばなどがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、108.80円前後が短期のサポートとして意識され始めている。ビッドも並び始めているようだ。仮に割り込んでも、移動平均の200日線が位置する108.40円レベルまでの押しが精々かもしれない。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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