トルコリラ円見通し 円安とリラ高での急伸一服、高値圏を維持しての持ち合い中(20/6/4)

3日夜には16.02円まで下げたが16円台を維持し、6月4日早朝も16.02円まで再び下げたがこれも16円台を維持して持ち直している。

トルコリラ円見通し 円安とリラ高での急伸一服、高値圏を維持しての持ち合い中(20/6/4)

トルコリラ円見通し 円安とリラ高での急伸一服、高値圏を維持しての持ち合い中

〇トルコ円は対ドルの上昇一服で反落するも16円台を維持
〇昨日発表のトルコの5月CPIは前年同月比で11.39%、4月の10.94%及び市場予想の11.0%を上回った。
〇PPIも前年同月比は5.53%と4月の6.71%から低下したが予想の4.97%は上回った
〇トルコのイスタンブール100株価指数も11連騰し、トルコリラの対ドルでの上昇を後押し
〇トルコ円16.10以上での推移中は上向き16.23超えからは16.30台への上昇を想定
〇16.10以下では下向き、16.02割れからは15.90前後への下落を想定

【概況】

トルコリラ円は5月7日に14.61円まで下げて史上最安値を更新してからは反騰に転じてきたが、5月26日夜高値16.05円からは対ドルでのリラ安がぶり返したことやドル円がいったん円高へ振れたことで5月29日夜には15.64円まで続落した。しかし5月29日深夜にドル円が反騰に転じたために15.81円まで戻して先週を終えた。
6月1日は反騰一服で一段高へ進めずに15.70円台後半を中心とした横ばいに止まっていたが、6月2日夜にドル円が急伸し、対ドルでもリラ高となったことが重なったために6月3日未明には16.23円まで大幅続伸した。
6月3日夜まではドル円の急伸が一服、対ドルでのトルコリラが3日夜にかけていったん下落したために3日夜には16.02円まで下げたが16円台を維持し、6月4日早朝も16.02円まで再び下げたがこれも16円台を維持して持ち直している。

ドル円は5月28日の中国全人代による香港への国家安全法適用等での米中関係悪化懸念で5月29日夕刻に107.05円まで急落したが、29日夜のトランプ大統領による対中制裁に関する会見内容が市場予想程に厳しくなかったために反騰に転じ、6月2日夜にはアフターコロナの復興相場期待でNYダウが連騰したことで5月19日深夜高値を超えて108円台後半へ一段高となった。6月3日もNYダウが3連騰となり、米ADP民間雇用報告や米ISMサービス業景況指数等が予想程には悪くなかったことでリスク選好感が強まって高値を切り上げ、4日午前には109円に到達した。109円台到達では高値警戒感も出やすい水準だが、5月6日安値からの反騰基調を続けており、トルコリラ円を押し上げている印象だ。

6月3日もドルストレートではユーロ高、ポンド高等が進み、ブラジルレアル等の新興国通貨の反騰も続いてドル安感が強まっている。その一方でクロス円では円安が進でおり、株高によるリスク選好感での円安がドルストレートでのドル安に勝ってドル円が上昇するという構図のようだ。今週末の米雇用統計を通過してこうした基調が継続できるのかどうか、週末が重要になってくると思われる。

対ドルでのトルコリラは5月7日に7.27リラを付けて史上最安値を更新したが、その後は新興国通貨全般が揺れ返しの上昇となる中で反騰に転じている。5月26日に6.69リラの戻り高値をつけた後は反騰一服だったが、6月2日に6.68リラをつけて5月26日高値を超えた。6月3日も深夜にかけてややドル高がぶり返す場面があったが深夜以降はドル安リラ高へ切り返している。

【トルコの5月物価上昇率、安定的】

【トルコの5月物価上昇率、安定的】

6月3日夕刻にはトルコの5月物価上昇率の発表があった。5月の消費者物価指数は前月比1.36%上昇で4月の0.85%及び市場予想の0.95%を上回った。前年同月比では11.39%となり4月の10.94%及び市場予想の11.0%を上回った。5月7日にかけてのトルコリラの下落が消費者物価を押し上げた印象だ。
5月の生産者物価は前月比で1.54%となり4月の1.28%及び予想の1.0%を上回った。前年同月比は5.53%となり4月の6.71%から低下したが予想の4.97%は上回った。2018年8月のトルコ通貨危機により同年10月の消費者物価は前年同月比で25.24%まで上昇していたが、通貨危機の収束により2019年10月には8.55%まで低下して落ち着き、その後は10%を挟んだ推移となっている。トルコリラ急落がひとまず落ち着いていること、コロナショックによる経済活動停滞により物価も安定的と言えるが、トルコ中銀による9会合連続での利下げにより現行の政策金利(1週間レポレート)は8.25%であり、実質的なマイナス金利状態にある。

【トルコ株は11連騰、感染拡大落ち着きを維持】

6月3日終了時点での世界全体の感染者数は656万人を超え、死者も38.7万人台へ拡大した。米国の感染者は190万人を超え、死者も10.9万人となった。爆発的な感染拡大が発生しているブラジルは感染者が58.4万人(世界二位)となり、ロシアも43.2万人(三位)に達した。南米ではペルー(感染者17.8万人、世界9位)やチリ(同11.3万人、同13位)、メキシコ(同10.1万人、同14位)等での感染拡大が引き続き顕著だ。
トルコの感染者数は6月3日時点で前日比867人増の16万6422人、死者は24人増の4609人となった。感染者増加数は4月11日の5138人増をピークに減少に入り5月30日からは千人を切った状況を維持している。

トルコ内務省は全土での移動制限を5月31日をもって解除し経済活動再開に入った。
アフターコロナの復興期待を背景にトルコのイスタンブール100株価指数も連騰しており、5月15日から6月3日まで11営業日連続上昇となった。週間ベースでは6月3日時点で前週比3.4%の上昇だが、その前の3週は1.97%高、3.26%高、2.42%高で推移してきた。世界的な株高に支えられ、トルコの経済活動再開も寄与しているが、株高がトルコリラの対ドルでの上昇を後押ししている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、5月26日夜高値を直近のサイクルトップとして下落期に入っていたが、5月29日夜安値で直近のサイクルボトムをつけて強気サイクル入りした。今回のトップ形成期は5月29日夜から6月2日夜にかけての間と想定されたが、6月3日未明高値から一旦反落しているので、6月3日未明高値を直近のサイクルトップとする。ボトム形成期は6月3日夜から5日夜にかけての間と想定されるので、既に3日夜安値でボトムをつけた可能性がある。6月3日未明高値を超えない内は一段安余地ありとするが、3日未明高値超えからは新たな強気サイクル入りとして6月6日未明から10日朝にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では3日未明高値から一旦反落したことにより遅行スパンは悪化し、その後は実線と交錯している。4日早朝には先行スパン上限まで下げたが切り返している。6月3日未明高値を上抜くところからは新たな上昇期に入るとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、6月3日夜安値を割り込む場合は遅行スパン悪化中の安値試し継続とし、先行スパンから転落する場合は下げが加速しやすいと注意する。

60分足の相対力指数は2日夜の急騰により3日未明には90ポイントに到達したが、その後の反落により3日夜には40ポイント台前半へ低下した。その後は50ポイント台で小動きとなっている。急騰一服による調整のため、65ポイント超えからは上昇再開とし、40ポイント割れからは下落続行として30ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6月3日夜安値16.02円を下値支持線、3日未明高値16.23円を上値抵抗線とする。
(2)16.10円以上での推移中は上向きとし、16.23円超えからは16.30円台への上昇を想定する。16.35円以上は反落警戒とするが16.10円以上での推移なら5日午前も高値試しへ進みやすいとみる。
(3)16.10円以下での推移中は下向きとし、16.02円割れからは15.90円前後への下落を想定する。15.90円以下は反発注意とするが、16円を下回っての推移なら5日午前にかけても安値試しが続きやすいと注意する。

【当面の主な経済指標等の予定】

6月10日
 16:00 3月失業率 (2月 13.6%、予想 15.1%)
6月12日
 16:00 4月経常収支 (3月 −49億2000万ドル)
 16:00 4月鉱工業生産 前年比 (3月 -2.0%、予想 -18.2%)
 16:00 4月小売売上高 前月比 (3月 -8.1%、予想 -16.9%)
 16;00 4月小売売上高 前年比 (3月 -0.2%、予想 -18.6%)

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