ドル円急伸と対ドルでのリラ高で急伸、急伸後の反動にも注意
〇トルコ円昨晩ドル円が急伸したことでて6/3未明には16.23まで大幅続伸、3日午前高値更新を伺う展開
〇ドルトルコも主要通貨に対するドル全面安で6/2には6.68リラをつけ、5/26高値を超えてきている
〇トルコの5月貿易統計速報で輸出がわずかに持ち直し、最悪期を脱したとの見方も
〇トルコの感染拡大は落ち着き、復興期待を背景にトルコのイスタンブール100株価指数は10連騰
〇トルコ円16.10以上での推移中は上昇余地あり16.23越えで買い加速
〇16.10割れからは下げ再開、16.00割れから続落の場合下落期入りとなる可能性
【概況】
トルコリラ円は5月7日に14.61円まで下げて史上最安値を更新してからは反騰に転じ、5月8日から5月19日まで9連騰で戻して5月26日夜には16.05円まで一段高したが、その後はドル円が持ち合いで膠着する中で対ドルでのリラ安がぶり返したことや29日ドル円がいったん円高へ振れたことで5月29日夜には15.64円まで続落した。しかし29日深夜にはドル円が反騰したために15.81円まで戻して先週を終えた。
6月1日は反騰一服で一段高へ進めず、1日夕刻に15.81円をつけたものの続伸できずに15.70円台後半を中心とした横ばいに止まっていた。
6月2日午前までは手掛かりに乏しい状況で持ち合いが続いたが、2日夜にドル円が急伸し、対ドルでもリラ高となったことが重なり16円を超えて急伸に入り、5月26日高値も超えて6月3日未明には16.23円まで大幅続伸した。3日午前も16.10円以上での推移を続けて高値更新を伺う展開となっている。
ドル円は香港問題による米中関係の悪化から5月29日夕刻に107.05円まで急落したが、29日夜のトランプ大統領による対中制裁に関する会見内容が市場予想程に厳しくなかったために反騰に転じて30日未明には107.89円まで戻した。6月1日は107.37円までいったん下げたものの持ち直していたが、6月2日夜に急伸した。NYダウが上昇したこと、為替市場ではユーロ高、ポンド高が進み、欧米での経済活動再開の動きによるアフターコロナ復興期待でリスク選好となり、ドルストレートではドル安となった。クロス円でもリスク選好での円安となり、ドル円もドルストレートでのドル安よりもクロス円での円安が勝る形でドル高円安となり、108円を超えたところから買いの連鎖となって急伸となった。
対ドルでのトルコリラは5月7日に7.27リラを付けて2018年8月のトルコ通貨危機時の安値7.23リラを超えて史上最安値を更新したが、その後は新興国通貨全般が揺れ返しの上昇となったために5月7日から5月19日まで9連騰で戻し、5月26日は6.69リラの戻り高値をつけた。反騰一巡感で5月29日夜に6.84リラまで下落したものの6月2日には6.68リラをつけて5月26日高値を超えてきている。メジャー通貨におけるドル安が新興国通貨の上昇感にも寄与し、トルコリラも対ドルでの戻り高値切り上げとなった。
トルコ貿易省が6月2日に発表した5月の貿易統計速報は輸出が前年同月比40.8%減、輸入は28.2%減となった。貿易赤字は33億6000万ドルで前年同月比で78.7%拡大した。
4月の貿易統計確定値は貿易赤字が45.63億ドル、輸出は前年同月比41.4%減少、輸入は25.1%減少だった。5月統計では営業日が少なかったにもかかわらず輸出がわずかに持ち直しに入っているので最悪期を脱したのではないかとの見方も出ている。
【トルコは感染拡大落ち着き、経済活動再開へ】
6月2日終了時点での世界全体の感染者数は647万人を超え、死者も38.2万人台へ拡大した。米国の感染者は188万人を超え、死者も10.8万人となった。爆発的な感染拡大が発生しているブラジルは感染者が55.6万人(世界二位)となり、ロシアも42.3万人(三位)に達した。南米ではペルー(感染者17万人、世界10位)やチリ(同10.8万人、同13位)、メキシコ(同9.7万人、同14位)等での感染拡大が引き続き顕著だ。
トルコの感染者数は6月2日時点で前日比786人増の16万5555人、死者は22人増の4585人となった。感染者増加数は4月11日の5138人増をピークに減少に入り5月20日以降は概ね千人前後となってきたが、5月30日からは千人を切っている。
トルコ内務省は全土での移動制限を5月31日をもって解除し経済活動再開に入っている。
アフターコロナの復興期待を背景にトルコのイスタンブール100株価指数も連騰しており、5月15日から6月2日まで10営業日連続上昇となった。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、5月26日夜高値を直近のサイクルトップとして下落期に入っていたが、5月29日夜安値で直近のサイクルボトムをつけて強気サイクル入りした。今回のトップ形成期は5月29日夜から6月2日夜にかけての間と想定されるので既にトップ形成期を過ぎている。急騰に対する反動安も警戒されるところなので、16.10円以上を維持する内はサイクルトップ形成の延長入りによる上昇余地ありとするが、16.10円割れからは弱気サイクル入りとする。その場合はボトム形成期を6月3日夜から5日夜にかけての間とするが、弱気サイクル入りした後に2日以降の高値を更新するところからは新たな強気サイクル入りとして6月6日未明から10日朝にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では2日夜の急騰により遅行スパンが大きく好転し、先行スパンからも大幅に上方乖離している。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、高値更新が続かないと遅行スパンは悪化しやすくなると注意し、遅行スパン悪化からは下げ再開とみて安値試し優先とする。またその際は先行スパンが下値支持帯となりやすいと考える。
60分足の相対力指数は2日夜の急騰により3日未明には90ポイントに到達したが、その後は反落している。3日午前への上昇では新たな高値更新へ進めずに指数のピークが切り下がっているので弱気逆行が警戒される。70ポイント以上での推移なら上昇余地ありとするが、相場が高値を更新しても指数のピークが切り下がるなら反落警戒とし、65ポイント割れからは下げ再開として50ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、16.10円を下値支持線、3日未明高値16.23円を上値抵抗線とする。
(2)16.10円以上での推移中は上昇余地ありとし、16.23円超えからは16.30円台への上昇を想定する。16.35円以上は反落警戒とするが16.10円以上での推移なら4日午前も高値試しへ進みやすいとみる。
(3)16.10円割れからは下げ再開と仮定して16.00円前後への下落を想定する。16円前後は押し目買いも入りやすいとみるが、リスク回避材料を背景に16円割れからさらに続落入りの場合は5月7日以降の戻り一巡による下落期入りとなる可能性にも注意する。
【当面の主な経済指標等の予定】
6月03日
16:00 5月消費者物価 前年比 (4月 10.94%、予想 10.88%)
16:00 5月消費者物価 前月比 (4月 0.85%、予想 0.90%)
16:00 5月生産者物価 前年比 (4月 6.71%、予想 4.97%)
16:00 5月生産者物価 前月比 (4月 1.28%、予想 1.00%)
6月10日
16:00 3月失業率 (2月 13.6%、予想 15.1%)
6月12日
16:00 4月経常収支 (3月 −49億2000万ドル)
16:00 4月鉱工業生産 前年比 (3月 -2.0%、予想 -18.2%)
16:00 4月小売売上高 前月比 (3月 -8.1%、予想 -16.9%(
16;00 4月小売売上高 前年比 (3月 -0.2%、予想 -18.6%)
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