トルコリラ円見通し 週末夜に反騰したが15.80円前後での持ち合いに留まる(20/6/2)

15.80円を超えるところは売られ、15.70円台後半を中心とした横ばいの持ち合いという様相となっている。

トルコリラ円見通し 週末夜に反騰したが15.80円前後での持ち合いに留まる(20/6/2)

トルコリラ円見通し 週末夜に反騰したが15.80円前後での持ち合いに留まる

〇トルコ円15.80超えは売られ15.70円台後半中心の持ち合いの様相
〇5月イスタンブール製造業PMIは40.9、4月の33.4から改善するも50を下回った状況
〇トルコは全土での移動制限を5/31をもって解除、感染爆発の峠を越え、徐々に経済活動再開されている
〇足元経済は悪く、復興期待による楽観でどこまで持ち直せるかが課題か
〇15.70以上の推移中は上昇余地あり、15.81超えからは15.90への上昇を想定
〇15.70割れからは下げ再開を警戒15.64割れからは下落サイクルへ

【概況】

トルコリラ円は5月7日に14.61円まで下げて史上最安値を更新したが、当面の安値を出し切って5月8日から5月19日まで9連騰で戻し、5月26日夜には16.05円まで一段高した。その後はドル円が持ち合いで膠着する中で対ドルでのリラ安がぶり返したことで再び下落に転じ、5月29日夜には円高も作用して15.64円まで続落した。しかし29日深夜にはドル円が反騰したために15.81円まで戻した。
週明けの6月1日は反騰一服で一段高へ進めず、ドル円が再び円高気配となり対ドルでのトルコリラも反騰が鈍ったことで1日夕刻に15.81円をつけたものの上値が重く、15.73円まで下げた後は底固い動きとなっている。15.80円を超えるところは売られ、15.70円台後半を中心とした横ばいの持ち合いという様相となっている。

ドル円は米中関係の悪化を警戒して5月29日夕刻に107.05円まで急落したが、29日夜のトランプ大統領による対中制裁関連の会見内容が市場予想程には厳しくなかったとしてダウが反騰した流れに乗じて30日未明には107.89円まで戻した。しかし108円には届かずに6月1日は中国側からの対抗措置や全米で広がるデモ等を意識して107.37円まで失速する等、上値の重い展開となっている。

対ドルでのトルコリラは5月7日に7.27リラを付けて2018年8月のトルコ通貨危機時の安値7.23リラを超えて史上最安値を更新したが、その後は新興国通貨全般が揺れ返しの上昇となったために5月7日から5月19日まで9連騰で戻し、5月26日は6.73リラの戻り高値をつけた。反騰一巡感で5月27日から28日へ反落したが、29日夜に6.84リラまで下落した後は下げ一服となり、6月2日が、深夜以降はダウ反騰等を背景に下げ一服となり、1日夕刻には6.79リラまで戻す場面もあったが、6月2日午前は6.81リラを挟んだ小動きとなっている。

トルコリラ円見通し 週末夜に反騰したが15.80円前後での持ち合いに留まる

6月1日夕刻に発表された5月のイスタンブール製造業PMIは40.9となり、4月の33.4から改善したが50を下回った状況にある。

【トルコは経済活動再開へ】

6月1日終了時点での世界全体の感染者数は636万人を超え、死者も37.7万人台へ拡大した。米国の感染者は185.9万人を超え、死者も10.6万人となった。爆発的な感染拡大が発生しているブラジルは感染者が52.9万人(世界二位)となり、ロシアも41.4万人(三位)に達した。南米ではペルー(感染者17万人、世界10位)やチリ(同10.5万人、同13位)、メキシコ(同9万人、同14位)等での感染拡大が引き続き顕著だ。
トルコの感染者数は6月1日時点で前日比827人増の16万4769人、死者は23人増の4563人となった。感染者増加数は4月11日の5138人増をピークに減少に入り5月20日以降は概ね千人前後となってきたが、6月1日の827人増は、同国で完全爆発に入る直前の3月25日における561人増以来の低水準となっている。

5月23日からラマザン・バイラム(5月24〜26日、断食明け大祭)までの間はトルコ全土で外出禁止となっていたが、トルコ内務省は全土での移動制限を5月31日をもって解除した。同国の大手航空会社ターキッシュ・エアラインズはトルコ国内線の運航を6月1日から再開する。国際線は6月10日より再開予定とし、当初はヨーロッパへの一部路線となるが、日本路線は7月1日から再開予定とされた。トルコのサッカーリーグは6月12日から再開する。
欧米とともにトルコも感染爆発の峠を越えて安定期に入り、徐々に経済活動再開が始まっている。しかし足元の景気は欧米及びトルコにおいても深刻な状況にある事には違いない。アフターコロナの復興期待による楽観でどこまで持ち直せるのか、というのが今後の課題となる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、5月26日夜高値を直近のサイクルトップとして下落期に入ったが、29日夜安値で直近のサイクルボトムをつけて反騰入りした。今回のトップ形成期は5月29日夜から6月2日夜にかけての間と想定されるので既に反落注意期にあるが、週末の反発以降は横ばいのため、まだ高値を試しにかかる余地が残るところだ。
15.70円以上での推移中は上昇余地ありとし、材料を伴っての上昇なら6月2日夜を超えてサイクルトップ形成期の延長入りもあり得ると注意するが、15.70円割れからは弱気転換警戒とし、29日夜安値15.64円割れからは新たな弱気サイクル入りとして6月3日夜から5日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では週末反騰後の横這いにより遅行スパンが実線と交錯して方向感に乏しいが、現状からジリ高で推移してゆけば先行スパンを上抜てくるため、両スパン揃って好転するところからはもう一段高を試すとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。15.70円割れからは下げ再開の可能性を警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は50ポイントを挟んだ揉み合いとなっている。60ポイント超えからは高値試しへ進みやすいとみるが、40ポイント割れからは下げ再開とみて20ポイント台への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、15.70円を下値支持線、15.81円を上値抵抗線とする。
(2)15.70円以上での推移中は上昇余地ありとし、15.81円超えからは15.90円台への上昇を想定する。15.95円以上は反落警戒とするが15.81円を超えた後も15.80円以上での推移なら3日午前にかけても高値を試す余地ありとみる。
(3)15.70円割れからは下げ再開を警戒して5月29日夜安値15.64円試しとする。底割れからは新たな弱気サイクル入りとなるので週後半へ続落しやすくなるとみて下値目処を15.50円前後へ引き下げる。また29日夜安値を割り込んだ後も15.70円以下での推移なら3日午前も安値試しへ進みやすいとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

6月03日
 16:00 5月消費者物価 前年比 (4月 10.94%、予想 10.88%)
 16:00 5月消費者物価 前月比 (4月 0.85%、予想 0.90%)
 16:00 5月生産者物価 前年比 (4月 6.71%、予想 4.97%)
 16:00 5月生産者物価 前月比 (4月 1.28%、予想 1.00%)
6月10日
 16:00 3月失業率 (2月 13.6%、予想 15.1%)
6月12日
 16:00 4月経常収支 (3月 −49億2000万ドル)
 16:00 4月鉱工業生産 前年比 (3月 -2.0%、予想 -18.2%)
 16:00 4月小売売上高 前月比 (3月 -8.1%、予想 -16.9%)
 16;00 4月小売売上高 前年比 (3月 -0.2%、予想 -18.6%)

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