トルコリラ円レポート月曜版
〇先週は16円の大台乗せを見て予想よりもやや強い地合いの一週間
〇新興国通貨はアルゼンチンデフォルト、香港をめぐる米中対立等悪材料多い
〇市場全般に楽観ムードが漂うも、実体経済は悪く、ちょっとしたきっかけでリスクオフに動く可能性も
〇3月下旬の戻り高値17.46と5月安値14.64の半値戻しが16.05、先週高値とほぼ一致
〇年初来安値からの上昇はいったん調整局面入りか
〇今週は15.50レベルをサポート16.00レベルをレジスタンスとする流れか
今週はトルコリラ円となります。
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが「ここ半月の上げに対する調整が入りやすいと見て、15.50レベルをサポートに、15.90レベルをレジスタンスとする週」を見ていました。実際のレンジは、安値が15.66レベル、高値が16.03レベルと、一度は16円の大台乗せを見て予想よりもやや強い地合いの一週間となりました。
先週のトルコリラは、週初は前週からもみあいの中心となっていた以前のトルコリラ防衛ラインを中心としたもみあいとなっていましたが、火曜にユーロドルを中心としてドルが全般に弱い動きとなった際に、ドル円の動きが鈍い中でドルトルコリラは他の対ドル通貨と同様にドル売りの動きとなったことから、こちらも他のクロス円同様にトルコリラ円に買いが入り、前週高値を上抜けたあたりで思惑的な買いが入ったという印象です。
直近のトルコの状況は新型コロナウイルス感染者も落ち着いていますし、目立った材料も無かったのですが、週半ば以降は16円台に乗せた後にすぐに切り返す動きとなったことと、ドルトルコリラが再び防衛ラインよりもトルコリラ安に水準に戻すいっぽうで、ドル円での円高と値幅は大きくは無いものの逆方向へ動いたことから週初の安値を下抜けて売りが強まる流れとなりました。
トルコリラは最近落ち着いているのですが、新興国通貨としての悪材料は意外と多く、アルゼンチンが5月22日にデフォルトしたことから、投資先として新興国への資金流入が弱まる可能性、また先週の中国全人代で香港への国家安全法採択から米中対立懸念が今まで以上に意識されることも好材料ではありえません。
世界的な景気低迷はどの国でも同じ事ですし、為替市場の場合は2国の通貨の対比という点では、一方的にどちらかに動くということも難しいところです。ただ、現在の金融市場は全般に楽観ムードが漂っているのですが実体経済は決して良い状況ではなく、今週発表される米国失業率も20%程度の予想が出るなど、ちょっとしたきっかけでリスクオフに動く可能性があると見られます。
リスクオフの動きの時には、新興国通貨(高金利通貨)が弱く低金利通貨である円に買いが入りやすいのですが、いまの米国では5人に一人が失業状態となっていて、これは政治のせいでは無いものの不満が溜まりやすい状況です。そこにミネアポリスの警察による黒人致死事件が起きたことで暴動が発生、全米50都市にデモが広がるなど短期的には警戒感が高まりやすい状況となっています。
今週はトルコ国内で製造業・サービス業PMI、CPI・PPIといった経済指標の発表はありますが、世界的な景気低迷から主要国の経済指標よりも反応が鈍くなりがちです。よほど予想から外れた数字が出てくれば別ですが、あまり気にしなくてよさそうです。CPI・PPIについては次回以降のトルコ中銀の金融政策の参考材料にはなります。
なかなか材料面では難しいので、テクニカルな観点から見ていきますが、今週は日足チャートからご覧ください。
年初からほぼ下げ続けているトルコリラ円ですが、戻しらしい戻しというと3月下旬の戻り高値17.46です。この戻り高値と5月安値14.64の半値戻しが16.05と16円の大台を若干上回る水準となっていて、先週の高値と一致しました。長期的なトルコリラ安の流れ自体には大きな変化は無いことを考えると、5月の年初来安値からの上昇はいったん調整局面入りと見たいところです。
いつもの4時間足チャート(上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)もご覧ください。
ここでは5月安値と先週高値とのフィボナッチ・リトレースメントを表示してあります。すると38.2%押しが15.49と先々週の安値と一致していて、同水準までの押しが入ったほうが、その後上げるにしても下げるにしても動きが出やすいという感じがします。
今週は16円の大台が重たかったことから、上記ターゲットと重なる15.50レベルをサポートに、大台16.00レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
注:ポイント要約は編集部
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