トルコリラ円見通し 新興国通貨上昇背景に16円を超え、対ドルでも5日ぶりに高値を更新(20/5/27)

26日夜高値からは反落して27日早朝には15.89円まで下げたが、その後はしっかりしている。

トルコリラ円見通し 新興国通貨上昇背景に16円を超え、対ドルでも5日ぶりに高値を更新(20/5/27)

新興国通貨上昇背景に16円を超え、対ドルでも5日ぶりに高値を更新

〇トルコリラ円ドル全面安と新興国通貨高を背景に一時16.05円まで上昇
〇その後ドル円での円高に15円台に反落するもしっかり
〇暴落商状に見舞われていた新興国通貨に持ち直しの動きが強まる。
〇トルコ国内の感染状況は引き続き落ち着く
〇トルコ円は16円以下での推移中は一段安の余地あり、15.89以下の推移で安値試しへ
〇16.05を超えた場合は16.20へ向かう動きを予想

【概況】

5月26日のトルコリラ円はドル全面安と新興国通貨高を背景に16.05円まで上昇、5月19日夜高値15.92円以降のややジリ安の持ち合いから上放れとなり、4月13日以来の16円台に到達した。ドル安リラ高の一方でドル円では円高となったために16円台を維持しきれずに26日夜高値からは反落して27日早朝には15.89円まで下げたが、その後はしっかりしている。

対ドルでのトルコリラは5月7日に7.27リラの史上最安値まで大幅下落となり2018年8月のトルコ通貨危機時の安値7.23リラを超える下落となったが、その後は暴落一巡で反騰入りとなり、5月7日から5月19日まで9営業日連騰となった。5月20日から22日までは上昇一服だったが、5月26日は6.73リラまで上昇して5月19日高値を超える一段高となった。これにより暴落一巡後の反騰=リラ高ドル安の継続感が強まっている。

【新興国通貨上昇続く】

5月26日は株高ドル安、新興国通貨高となった。日本での緊急事態宣言解除、欧州での観光客入国規制解除の動きや全米50州での経済活動一部再開等からアフターコロナの復興期待が強まり、連休明けのNYダウは前週末比529.95ドル高と上昇した。アジア株も日経平均始め全面高、欧州株も軒並み上昇となった。トルコのイスタンブール100株価指数も5月15日から5連騰となった。世界的な感染爆発は継続しているものの欧米では峠を越えたとの期待が強まっており、主要国の大規模な金融緩和や景気対策及びワクチン開発報道を背景にリスク選好感が強まっている。

コロナショックで暴落商状に見舞われていた新興国通貨も持ち直しの動きが強まっている。5月26日はメキシコペソが10週ぶりの高値を付けたが7営業日連続の上昇となった。第1四半期のGDP確報値が前期比1.2%減となり速報値の1.6%減から上方修正されたことも押し上げ要因となったようだが、同国の経済封鎖は3月下旬からのため、第2四半期でのGDP悪化は深刻となる可能性はあるものの、目先の材料としてはペソを押し上げる要因となった。またブラジルレアルも凡そ2%の急伸となったが、トルコリラ同様に5月8日までは暴落的な下落となって対ドルの史上最安値を更新したが、その後は急角度での反騰となっている。ブラジルの感染爆発は深刻だが、欧米やアジアのようにいずれは峠を越すだろうとの楽観や世界的な金融緩和と資金供給が新興国通貨売りに歯止めをかけて揺れ返しの上昇を発生させている。トルコリラの対ドルでの上昇もこれらの流れと同調している。

【トルコ国内の感染状況は引き続き落ち着く】

5月26日終了時点での世界全体の感染者数は567万人を超えて死者も35.1万人台へ拡大した。米国の感染者は172万人を超えて死者も10万人台に到達した。爆発的な感染拡大が発生しているブラジルは感染者39万人を超え、ロシアも36万人を超えている。南米ではペルー(感染者12.9万人)やチリ(同7.7万人)、メキシコ(同7.1万人)等での感染拡大が顕著だが、株式市場及び為替市場では深刻な受け止めが収まっている。
トルコの感染者数は5月26日時点で前日比948人増の15万8762人、死者は28人増の4397人となった。感染者増加数は4月11日の5138人増をピークに減少に入り5月20日以降は概ね千人を切った状況まで改善している。
5月23日からラマザン・バイラム(5月24〜26日、断食明け大祭)までの間はトルコ全土で外出禁止となったが、今後は規制を維持しつつも徐々に経済社会活動再開への動きが始まるようだ。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、5月19日夜高値をサイクルトップとしてややジリ安の持ち合いだったが、5月23日早朝安値で5月21日朝安値をわずかに割り込んだものの持ち直したために、26日午前時点では23日早朝安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。またトップ形成期は19日夜高値を基準とすれば26日夜までの間としたが27日以降へ延長される可能性もあるとした。
5月26日夜へ一段高してからいったん反落しているので26日夜高値で直近のサイクルトップを付けたと仮定する。26日夜高値を上抜けないうちは28日早朝から6月1日朝にかけての間への下落を想定するが、高値更新からは新たな強気サイクル入りとして29日夜から6月2日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では26日夜の上昇で遅行スパンが好転し、先行スパンからも大きく上放れした。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、26日夜からの反落で遅行スパンは悪化しやすいと注意し、遅行スパン悪化からは安値試し優先とする。その際は先行スパンが下値支持帯となりやすいとみるが、先行スパンから転落の場合は下げが加速しやすいと注意する。

60分足の相対力指数は26日夜の上昇で80ポイントを大幅に超えたがその後の反落で50ポイントまでいったん下降した。その後はしっかりしているので65ポイント超えからは上昇再開とみるが、50ポイントを割り込む場合はもう一段安へ進みやすいとみて30ポイント前後への下降を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5月27日朝安値15.89円を下値支持線、26日夜高値16.05円を上値抵抗線とする。
(2)16円以下での推移中は一段安余地ありとし、27日朝安値割れからは23日早朝安値15.74円前後への下落を想定する。15.75円以下は反騰注意とするが、27日朝安値を割り込んだ水準での推移なら28日も安値試しへ進みやすいとみる。
(3)16円前後では戻り売りも出やすいとみるが、26日夜高値超えからは16.20円前後への上昇を想定する。16.20円以上は反落警戒とするが、26日夜高値を超えた後も15.95円以上での推移なら28日も高値試しへ進みやすいとみる。


注:ポイント要約は編集部

【当面の主な経済指標等の予定】

5月28日
 16:00 5月経済信頼感指数 (4月 51.3)
5月29日
 16:00 1−3月期GDP 前年比 (前期 6.0%、予想 5.0%)
 16:00 1−3月期GDP 前期期 (前期 1.9%)
 16:00 4月貿易収支 (3月 -53.9億ドル、予想 −39.8億ドル)
6月01日
 16:00 5月イスタンブール製造業PMI (4月 33.4、予想 40.6)
 20:00 トルコ中銀 MPC(金融政策会合)議事録主旨公開
6月03日
 16:00 5月消費者物価 前年比 (4月 10.94%)
 16:00 5月消費者物価 前月比 (4月 0.85%)
 16:00 5月生産者物価 前年比 (4月 6.71%)
 16:00 5月生産者物価 前月比 (4月 1.28%)

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