新規材料乏しいなか、米中対立の行方に注目
〇ドル円はレンジ内の動きながら終盤ドルの弱さが目立ち107.35-40で欧州時間迎える
〇注目された日銀金融政策は新味なく、市場への影響は限定的
〇香港「国家安全法」をめぐる米中の対立は激化必至
〇コロナ感染第二波は引き続き要警戒
〇ドル円は106.74-108.09レンジが2週間近くに達しており、どちらに抜けるか注視
〇今晩は材料乏しく手掛かりに欠ける
〇欧米時間のドル円予想レンジ106.90-107.80
<< 東京市場の動き >>
22日の東京市場は、ドルが冴えない。レンジ内の動きではあったが、日中の安値引けとなるなど、終盤にかけてドル売りが目についた。
ドル/円は、107.55-60円で寄り付いたのち、当初はややドル買い優勢。仲値にかけて上値を試す展開になると、107.75-80円まで値を上げた。しかし、注目されていた日銀臨時会合の終了あたりのタイミングでピークをつけると、一転してドルは軟落。日中安値である107.35-40円まで下落し、16時現在でもほぼ同レベルで推移、欧米時間を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「日銀金融政策」と「米中対立をめぐる幾つかの動き」について。
前者は、本日9時から実施された緊急会合で、日銀は「企業金融支援策強化を決定」したほか、「中小企業等の資金繰り支援のための新資金供給手段導入を決定」、「必要なら躊躇なく追加緩和する」とも発表している。ただ、内容的にはさほど新味がなく、為替を中心とした金融市場全般への影響も限定的だった。
対して後者は、これまで主に新型コロナをめぐり米中間の新たな対立が取り沙汰されるなか、今度は「香港」をめぐる小競り合いが観測されていた。トランプ米大統領は「中国が香港に対し国家安全法を導入すれば、強硬に対応する」などと述べたほか、米超党派、共和・民主両党の上院議員から「香港の独立性を侵害したとして、中国当局者に制裁を課す法案を提出する」との発表がなされている。反面、中国は、最近の米政府の行動は中国の内政に対するあからさまな干渉だと非難しただけでなく、本日からはじまった全人代で「国家安全規則制定を香港に義務付ける草案を示した」という。今後の対立激化は必至の情勢だ。
<< 欧米市場の見通し >>
米ジョンズ・ホプキンス大学によると、新型コロナウイルスの感染者は世界で500万人を突破し504万7377人に。そして死者数も32万9816人になったという。依然として世界全体で見ると感染拡大が止まっていないだけでなく、経済活動を再開しつつある欧米諸国における「第2波」への警戒感も根強いものがありそうだ。コロナに端を発した米中の対立激化懸念などとあわせ、引き続き注意を払いたい。
材料的に見た場合、「貿易を中心とした米中の対立」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」、「コロナ治療薬をめぐる動き」など、注目要因は依然として山積みだ。そうしたなか、もっとも注意を要するのは、依然として「新型コロナウイルス」関連のニュース。ただ、ワクチン開発をめぐる動きなどにおいては、競争激化とともに、足の引っ張り合いともいえそうな誤報に近い一部報道も観測されている。金融取引をする際には、真偽を含めてしっかりと状況を見極めたいところだ。
テクニカルに見た場合、ドルは19日に一時108.09円まで上昇し、レンジ上限越えをトライするも失敗。再びレンジ内に押し戻された格好で、足もとも当然レンジ内での一進一退となっている。気が付くと、106.74-108.09円という1.3円ほどのレンジ取引は、早くも2週間近くに達しており、まずはそんなレンジ放れのタイミングと方向性が注視されている。
本日は目立った米経済指標の発表は予定されていない。また、昨日まで活発だった米地区連銀総裁による講演などもとくには見当たらず、そうした意味では手掛かり材料難と言えよう。
ただ、米中対立関する発言などには要注意。とくに、先でも取り上げたように、米国は香港情勢に関して事前に強く中国を牽制していたものの、それが無駄に終わったことから、中国に対して何らかの制裁に動く可能性も否定できないだろう。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、106.90-107.80円。本日東京高値を含めた107.80円前後をめぐる攻防に注視。上抜ければ、直近高値の108.09円や200日線が位置する108.25-30円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、前回安値107.34円が最初の下値メド。割り込んでも底堅いイメージだが次のサポートである107円レベルを下回れば、さらなる続落も否定できない。
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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