トルコリラ円見通し 史上最安値更新の5月7日からは9連騰でストップだが高値圏を維持(20/5/21)

トルコリラ円は5月7日午後に14.61円へ続落して史上最安値を更新したが、暴落商状一巡で7日当日から5月19日まで9日連続の日足陽線で反騰してきた。

トルコリラ円見通し 史上最安値更新の5月7日からは9連騰でストップだが高値圏を維持(20/5/21)

トルコリラ円見通し 史上最安値更新の5月7日からは9連騰でストップだが高値圏を維持

〇トルコリラ円連騰一服するも15.75円前後を下値支持線として高値圏を維持
〇対ドルでも10日ぶりにドル高リラ安
〇トルコ5月消費者信頼感指数前月54.9から59.5へ上昇、トルコ経済の持ち直しへの期待感も出ている印象
〇コロナ感染拡大時のリスク回避のドル買い一服で新興国通貨高傾向
〇感染拡大一服でシリア情勢での小競り合いも再開
〇15.74円を当面の下値支持線、15.92円を上値抵抗線とする。

【概況】

トルコリラ円は5月7日午後に14.61円へ続落して史上最安値を更新したが、暴落商状一巡で7日当日から5月19日まで9日連続の日足陽線で反騰してきた。
5月19日夜には円安も重なって15.92円まで一段高したが、その後は新たな高値更新へ進めず、20日朝には15.75円まで下げて日足は10日ぶりに小陰線で前日比もマイナスで終わった。21日朝も15.74円まで下げて開始しているが、その後は持ち直しており、19日高値で連騰が一服したものの15.75円前後を下値支持線として高値圏を維持している印象だ。

対ドルでのトルコリラは5月7日に7.27リラの史上最安値まで大幅下落となり2018年8月のトルコ通貨危機時の安値7.23リラを超える下落となったが、その後は売り一巡から反騰に入り、5月7日当日から19日まで9日連続でドル安リラ高へ戻してきた。19日に6.75リラまで戻した後は上げ渋りとなり、20日は10日ぶりにドル高リラ安の日となった。
対円及び対ドルでの暴落的な下げ一巡による反騰がやや減速しているものの上昇一服で落ち着いているところを見ると、まだ戻りを試しても不思議ないところだ。

5月20日にはトルコの5月消費者信頼感指数の発表があったが、前月の54.9から59.5へ上昇した。市場予想は47への悪化だったが案外にしっかりした数字となったことでとトルコ経済の持ち直しへの期待感も出ている印象だ。ただ、4月までの自動車生産統計は前年比マイナス91.3%となり3月のマイナス21.8%から一段と落ち込んでいる。経済活動の自粛・規制が大幅に解除されていかないと当面する4月と5月の経済指標の悪化は避けられないが、現況よりも先行きへの期待感が勝る状況に進めるかどうかが大事になってくる。

【ドル高一服によるユーロ、豪ドル、新興国通貨の反発】

3月はコロナショックが欧米に波及し、ややパニック的な金融市場の動揺から株式市場が急落し、手元流動性確保のためのドル買い需要によりドル全面高が発生し、特に脆弱な新興国通貨が売られた。しかし主要国による協調的なドル資金供給と米連銀のゼロ金利政策及び量的金融緩和拡大からドル需給ひっ迫は落ち着いている。
ドイツとフランスが5000億ユーロ規模のコロナ対策基金設立で合意し、さらにEUとしても中期予算において支援融資を拡大する姿勢が示されたことでユーロドルは18日夜から20日夜へと大きく反騰している。
NYダウも4月29日から5月14日にかけていったん調整安に入っていたものの19日には911.95ドル高と上昇して3月23日以降の反騰基調を維持する姿勢を示したことで金融市場全般がコロナショックからアフターコロナの復興期待相場へと楽観度を強めている。

新興国通貨安もブラジルレアルが5月8日に対ドルでの史上最安値を更新した後は反騰しており、南アランドも4月6日に対ドルでの史上最安値を更新した後は持ち合いにとどまっていたが、5月20日には18.00ランドを割り込むドル安ランド高へと切り返し始めている。こうした新興国通貨の反発と豪ドル等資源通貨の上昇、ユーロ高等がトルコリラにとっても暴落一巡による反騰を助長する要因となっている。
ただし、コロナショック問題が再び深刻さを増すようなら、新興国通貨売りも早々に再燃しかねないことは押さえておく必要があるだろう。特に感染爆発が目立つロシア、ブラジルは引き続き要警戒状態にある。またトルコも21日には中銀の金融政策発表もあるので、利下げ継続の場合に市場がどう反応するのか注意したい。

【トルコ国内の感染者増加は1日千人を切る】

5月20日時点での世界の感染者数は508万人を超え、死者は32.9万人を超えた。米国は159万人を超え、死者も9万4994人に増えた。ロシアは30.8万人に達して世界第二位、ブラジルは29.3万人を超えて第三位に浮上したが前日比で2万1472人の増加でありロシアを超える勢いだ。
トルコの感染者数は5月20日時点で前日比972人増の15万2587人、死者は23人増の4222人となった。20日の検査数は2万838人に行われている。退院は1092人で回復者の累計は11万3997人となった。感染者増加数は4月11日の5138人増をピークに減少傾向にあり、5月7日以降は2000人を切った状況が続いていたが、5月20日は千人を切った。死者も4月19日の127人をピークに減少が続いている。

5月23日からラマザン・バイラム(5月24〜26日、断食明け祭)までの間はトルコ全土で外出禁止となり、学校再開は9月に延期されている、5月はラマダンの断食月でモスクでの集団礼拝は禁止されているが、5月29日から制限付きで再開される。
5月17日にはトルコ共和国文化観光省のメフメト・ヌーリ・エルソイ大臣が5月28日頃に国内観光を開始し、6月中旬以降に一部の国からの観光客の受け入れを開始すると表明したが、徐々に感染拡大は終息に向かっている印象だ。

感染爆発の最中は報道がかなり控え目だったが、シリア情勢での小競り合いも報じられ始めた。
シリア国営通信等によるとシリア北東のハサカ県では5月20日にシリア軍がタッル・タムル町近郊に検問所を設置し、ウンム・ハイル村方面に向かおうとしていた米軍の装甲車複数輌からなる車列の進行を阻止して退却させたと報じられた。一報でイドリブ県では5月20日にロシア軍とトルコ軍の合同部隊がアレッポ市とラタキア市を結ぶM4高速道路でパトロールを実施したという。
感染爆発時期には地域紛争どころではなかったが、感染情勢が落ち着けばシリア情勢の緊張感も再び浮上してくる可能性もあるところだ。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、5月18日夕刻に高値を付けた後にやや下げてから19日夜に一段高していたため、20日午前時点では18日夕高値を直近のサイクルトップ、19日朝安値を同サイクルボトムとした強気サイクル入りとして21日夕から25日夕にかけての間への上昇を想定したが、19日夜高値の後は新たな高値更新へ進めずに1日以上を経過しているので、19日夜高値を上抜き返すところからは新たな強気サイクル入りとするのを妥当とみて19日夜高値を直近のサイクルトップとする。ボトム形成期は21日朝にかけての間と想定されるので既に20日朝安値でサイクルボトムを付けた可能性があるが、19日夜高値を超えないうちはボトム形成の延長入りによる下落余地が残る。19日夜高値超えからは強気サイクル入りとして22日夜から26日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では19日夜高値からのジリ安で遅行スパンが悪化したが、先行スパンからの転落は回避している。21日朝安値を割り込むところからは先行スパンからの転落へ進みやすくなるので遅行スパン悪化中の安値試し優先とするが、19日夜高値超えからは遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は50ポイント前後でしっかりしている。65ポイント超えからは上昇再開とみて高値更新へ進みやすくなるとみるが、45ポイント割れへ低下するところからは一段安警戒とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5月21日朝安値15.74円を下値支持線、19日夜高値15.92円を上値抵抗線とする。
(2)15.74円以上での推移中は上昇余地ありとし、15.92円超えからは16.10円前後への上昇を想定する。16.10円以上は反落注意とするが、15.75円以上での推移なら22日も高値試しを続けやすいとみる。
(3)15.74円割れからは19日朝安値15.56円を目指す下落を想定する。15.60円以下は反発注意とするが、中銀金融政策発表等から売られる場合は15.50円割れを試す可能性に注意する。

【当面の主な経済指標等の予定】

5月21日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合(TCMB) (現行 8.75%、予想 7.75%)
5月22日
 16:00 5月景況感 (4月 66.8、予想 55)
 16:00 5月設備稼働率 (4月 61.6、予想 57.0%)
 16:00 4月観光客数前年比 (3月 -67.8%、予想 -97.0% 
5月28日
 16:00 5月経済信頼感指数 (4月 51.3)
5月29日
 16:00 1−3月期GDP 前年比 (前期 6.0%)

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