日銀期待で108円台に到達
〇ドル円は日銀の臨時金融政策決定会合開催報道で金融緩和期待から海外時間に108.07まで上昇
〇米4月住宅着工件数は市場予想を下回ったが先行指標の住宅着工許可件数は予想より改善
〇NYダウはモデルナ社のワクチン開発について懐疑的な見方が報じられ反落
〇ポンぺオ財務長官、パウエルFRB議長の議会証言は目新しさに欠け市場は反応薄
〇5/6サイクルボトムからの反発継続 当面の下値支持線を107.50上値抵抗線を108.07とおく
注:ポイント要約は編集部
【概況】
ドル円は5月6日(7日未明)安値105.98円まで一段安してきたが、5月8日の米雇用統計が戦後最悪となる中でも楽観的な株高が進んだことで5月11日(12日未明)には107.77円まで戻した。戻り一巡から5月13日夜には106.74円まで下げたもののその後はしっかりし、15日夜の107円割れも買い戻されて18日夜には107.50円を付けて15日の戻り高値107.43円を上抜いた。
19日は夕刻に日銀が臨時の金融政策決定会合を22日に開催すると報じられたことで追加金融緩和期待が膨らんで107.50円を超え続伸し、12日未明高値を超えて19日深夜には108.07円を付けた。108円台は4月23日以来となるが、108円台到達後には107.62円までいったん売られた。
5月11日高値を上抜いたことにより、5月6日からの上昇は小規模な二段上げ型に発展した。3月24日高値から下落基調に入ったが、4月1日安値106.91円までを一段目とし、4月6日の戻り高値から5月6日までを二段目とし、二段目の下げ一巡による戻りを継続している印象だ。
昨年8月底以降、月末月初に安値を付ける1か月周期で底打ちし、それが2セットで2か月サイクルで戻しているが、4月1日安値から1か月目、3月9日安値から2か月目となる5月6日安値でこれらのサイクルボトムを付けての戻りという状況のようだ。
【日銀臨時会合、米経済指標悪化、ワクチン】
5月19日夕刻に、日銀が臨時の金融政策決定会合を5月22日に開催して中小企業の資金繰り支援となる資金供給策を決めると報じられた。米連銀等も企業の資金繰り支援へ動いているが、日本も経済活動の長期停滞による中小企業の経営悪化が深刻化する中で日銀も動いたということだろう。直接的な円売り材料ということではないと思うが、追加の金融緩和、資金供給政策とみて海外勢が円売りに動いたようだ。
米商務省が19日夜に発表した4月の住宅着工件数は季節調整後年換算で89万1000戸となり前月比30.2%減少した。下落率は1959年の統計開始以来で最悪となり、市場予想の92万7000戸も下回った。先行指標となる住宅着工許可件数は107万4000戸となり前月比20.8%の減少で市場予想の-25.9%を下回った。5月8日の米雇用統計が戦後最悪の悪化となったにもかかわらず株式市場がアフターコロナ期待で上昇したように、パニック的なコロナショック材料は相当程度に織り込んでいるために最近の米経済指標悪化に対する市場の反応は鈍い。
5月19日のNYダウは前日比390.51ドル安と反落した。18日には米モデルナ社のワクチン開発報道等から前日比911.95ドル高と大幅上昇していたが、ワクチンの開発にはまだ時間がかかること、医療系ニュースサイトSTATがモデルナ社のワクチン開発について専門家が懐疑的な見方をしていると報じたことから反落した。モデルナ社は18日にワクチン開発の第1段階の治験で良好な結果が確認されたと発表した。同ワクチンの治験では約600人が参加する第2段階の治験が近く始まり、7月には数千人規模の第3段階に移行する予定とされる。
パウエル米連銀議長とムニューシン米財務長官がコロナ対策関連での上院議会証言を行った。財務長官が減税に言及したほかは特にサプライズはなく、パウエル議長については前日に証言原稿が公表されていたために市場反応は限定的だった。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、5月7日未明安値をサイクルボトムとした上昇が12日未明高値で一巡して弱気サイクルに入っていたが、13日夜安値106.74円と14日午後安値106.76円をダブルボトムとして再び強気サイクルに入った。15日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとすれば15日午前高値を基準としてトップ形成期が20日午前から22日午前にかけての間と想定される。19日深夜へ続伸した後も高値圏を維持しているのでまだ上昇余地ありとみるが、107.50円割れからはいったん弱気サイクル入りと仮定して20日夜から22日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では18日夜の上昇で遅行スパンが好転し、先行スパンも上抜いた状況を維持しているので、遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、遅行スパン悪化からは調整安入りとみて安値試し優先とする。その際は先行スパンが下値支持帯になりやすいと思われるが、先行スパンから転落する場合は下げが加速しやすいと注意する。
60分足の相対力指数は19日夜の上昇で70ポイント台に到達した。50ポイント台を支持帯としてまだ上昇余地ありとするが、20日に高値を切り上げる際に指数のピークが切り下がる弱気逆行が発生する場合はいったん調整安につかまりやすいと注意する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、107.50円を下値支持線、19日深夜高値108.07円を上値抵抗線とする。
(2)107.50円以上での推移中は上昇余地ありとし、108.07円超えからは108.50円を目指す上昇を想定する。108.50円以上は反落注意とするが、107.50円以上での推移なら21日午前にかけても高値試しを続けやすいとみる。
(3)107.50円割れからは弱気サイクル入りと仮定して107円台序盤試しを想定する。円高材料を伴って下落する場合は13日深夜安値106.74円試しへ下値目途を引き下げる。また107.50円以下での推移が続くうちは21日午前も安値試しへ進みやすいとみる。
【当面の主な予定】
5/20(水)
15:00 (英) 4月 消費者物価指数 前月比 (3月 0.0%、予想 -0.1%)
15:00 (英) 4月 消費者物価指数 前年同月比 (3月 1.5%、予想 0.9%)
15:00 (英) 4月 消費者物価コア指数 前年同月比 (3月 1.6%、予想 1.4%)
15:00 (英) 4月 小売物価指数 前年同月比 (3月 2.6%、予想 1.6%)
15:00 (英) 4月 生産者物価コア指数 前年同月比 (3月 0.9%、予想 0.6%)
17:00 (欧) 3月 経常収支・季調済 (2月 402億ユーロ)
17:00 (欧) 3月 経常収支・季調前 (2月 338億ユーロ)
18:00 (欧) 4月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 0.4%、予想 0.4%)
18:00 (欧) 4月 消費者物価コア指数改定値 前年同月比 (速報 0.9%、予想 0.9%)
22:30 (英) ベイリー英中銀総裁等、財務委員会証言
23:00 (欧) 5月 消費者信頼感 (4月 -22.7、予想 -23.4)
25:00 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、オンライン討論
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨
5/21(木)
休場、スイス
未 定 (南) 南アフリカ準備銀行政策金利 (現行 4.25%、予想 3.75%)
08:50 (日) 4月 通関貿易統計・季調前 (3月 49億円、予想 -5600億円)
08:50 (日) 4月 通関貿易統計・季調済 (3月 -1900億円、予想 -7774億円)
17:30 (英) 5月 製造業PMI (4月 32.6、予想 35.0)
17:30 (英) 5月 サービス業PMI (4月 13.4、予想 22.1)
20:00 (ト) トルコ中銀、政策金利 (現行 8.75%)
21:30 (米) 5月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (4月 -56.6、予想 -41.0)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 298.1万件、予想 245.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 2283.3万人)
22:45 (米) 5月 製造業PMI (4月 36.1、予想 38.0)
22:45 (米) 5月 サービス業PMI (4月 26.7、予想 31.0)
23:00 (米) 4月 景気先行指数 前月比 (3月 -6.7%、予想 -5.6%)
23:00 (米) 4月 中古住宅販売件数・年率換算件数 (3月 527万件、予想 430万件)
23:00 (米) 4月 中古住宅販売件数 前月比 (3月 -8.5%、予想 -18.4%)
23:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、オンライン討論会
26:00 (米) クラリダFRB副議長、オンライン討論会
27:30 (米) パウエルFRB議長、新型コロナウイルスの経済的影響を巡るFRBイベントで開会挨拶
オーダー/ポジション状況
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