トルコリラ円レポート月曜版
〇先週のトルコリラ円は大手外資金融機関に対する規制解除でトルコ買いが先行そのまま堅調を維持
〇トルコの感染者数の減少、ラマダン明けの生活正常化に向けた動きもサポート材料
〇21日のトルコ中銀金融政策会合コンセンサスは0.5%の利下げ
〇対ドルは4月上旬の防衛ライン6.80を目指して上伸
〇今週のトルコ円買戻しのターゲットは15.70、15.25レベルがサポート、15.75レベルがレジスタンス
注:ポイント要約は編集部
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、引き続き対円でも上値の重たい流れは続けるものと見て「最安値に近い14.70レベルをサポートに、15.25レベルをレジスタンスとする週」を見ていました。実際のレンジは、安値が14.94レベル、高値が15.54レベルと、週初安値週末高値の強い地合いを継続した一週間となりました。
先週のトルコリラは、前週に発表された金融規制の強化(誤解を招く価格をもたらしたり、異常もしくは不自然な水準に維持したりする取引を操作的とし、為替、金利、CDS取引をその対象とする)によって、トルコリラ取引が禁止されていた大手外資金融機関に対する規制が週初に解除されたことからトルコリラ買い戻しが先行してのスタートを切りました。
またトルコに限ったことではありませんが、新型コロナウイルス感染者が減少してきていることもトルコ経済の減速懸念を和らげる材料として見られ、前週までのトルコリラ売りポジションの巻き返しが特に対ドルで顕著だったことがあげられます。
今週のイベントは、昨日のこととなりますがトルコ国内の感染者数減少により観光相が国内旅行を5月28日目途に解禁する旨を発表しました。現在トルコ国内はラマダン(とは言っても感染者拡大からモスクに集まっての礼拝は無い様子です)となっていてラマダンが今週末23日に終わりますので、ラマダン明けの段階で徐々に国内の人の移動の制限を解除していくようです。
エルドアン大統領もラマダン前にラマダン明けの通常生活復帰を掲げていましたので、予定通りに進んでいると言ったところですが、旅行解禁は海外の国に対しては6月中旬から認める方針で空港に検査センターも開設するとのこと、一時期のトルコの状況に比べると色々なところで状況が改善しているようです。
そして今週は最大の注目材料としてトルコ中銀の金融政策会合が21日にあります。これまで連続して利下げをしてきたことから政策金利は既にインフレ率を大きく下回る8.75%になっていますが、今回も0.25〜0.75%の利下げが行われるという予想で、コンセンサスは0.50%の利下げです。コロナショックでトルコ経済も悪化したという理由付けは出来そうですが、市場参加者がどう取るかとなると難しいところです。
ただ、トルコ中銀がインフレ退治とトルコリラ売り防止のため急速に利上げを行う前である2018年4月の政策金利が8.0%(翌月一気に16.5%に利上げ、ピークは24.0%)であったことを考えると、8.0%水準に戻してトルコ経済は回復してきているといったアナウンス効果を考えている節はあるかもしれません。またいまはトルコ経済だけでなく世界的に大減速しているということを考えれば、ここで下げても影響は少ないということもたしかです。最近の予想よりもやや広めに下げる傾向を考えると、8.0%は十分ありうる水準です。
テクニカルにも見てみますが、今週はドルトルコリラの日足チャートから見てみましょう。
5月7日に7.2685レベルの高値(トルコリラ安値)をつけて以降は、着実にトルコリラは対ドルで買い戻される動きを続けています。4月上旬にトルコリラ防衛ラインとされていた6.80水準まで戻ればトルコリラが崩れる前の水準に戻すこととなりますので、対ドルでのターゲットは今週この6.80と見ておいてよいでしょう。
いつもの4時間足チャート(上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)もご覧ください。
中段のドルトルコリラは、下段との境界がちょうど先ほどの6.80となり、チャートの左端の時期(4月中旬)となります。この時のトルコリラ円は15.70水準でした。ドル円も当時の水準と大きくは変化していませんので、今回のトルコリラ買い戻しのターゲットとして15.70を考えておくとよさそうです。
いっぽう下値は先週半ばにもみあっていた水準が15.30レベルとなりますので、今週はこれらの上下に若干の幅を持たせて、15.25レベルをサポートに15.75レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
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