ショートカバー主導のランド買いは一服。来週はSARBに注目
〇南アランド円は週初リスクセンチメントの改善に5.91まで上昇
〇その後は米中対立とう嫌気して反落5.76で越週
〇南ア円は6.0を回復できずテクニカルにも「地合いの弱さ」印象付ける
〇ファンダメンタルズも弱い
〇来週はS&Pによる南アフリカ格付け見直し、南ア中銀政策金利発表など材料目白押し
〇来週の南ア円予想レンジ5.50ー6.00
注:ポイント要約は編集部によるものです
今週のレビュー(5/11−5/15)
今週の南アフリカランド円相場は、週初5.80円で寄り付いた後、@世界的な外出規制の緩和を受けた楽観ムードの広がりや(南アフリカでも5/6から段階的に学校が再開)、A原油先物価格や株式市場の持ち直しを受けたリスク回避ムードの後退、B短期筋によるショートカバーの活発化が支援材料となり、翌5/12に、4/30以来となる高値5.91円まで上昇しました。しかし、一目均衡表基準線やボリンジャーバンド上限に続伸を阻まれると、C米中対立激化懸念の再燃(一部メディアによる「米共和党のグラハム上院議員らが対中制裁法案を準備している」との報道)や、D南アフリカ経済を巡る先行き不透明感が重石となり、結局5.76円まで押し戻されての越週となっております。
来週の見通し(5/18−5/22)
南アフリカランド円相場は、2/21に記録した高値7.48円をトップに反落に転じると、4/24には史上最安値となる5.60円まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い売りシグナルを表す三役逆転や弱気のパーフェクトオーダーも成立するなど、テクニカル的にみて、「地合いの弱さ」を印象づけるチャート形状となっております(今週前半に持ち直す場面も見られましたが、心理的節目6.00円には到達できず結局反落。引き続き史上最安値圏での上値の重い展開が続いております)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@南アフリカ経済を巡る先行き不透明感や、A国営電力会社エスコムを巡る負債問題(度重なる計画停電→南アフリカ経済減速)、B米中対立再燃リスク(米中対立リスクが再燃すれば、経済的な結びつきの強い南アフリカ経済に悪影響が及ぶ恐れ)、C中東を巡る地政学的リスク、D南アフリカ国内における感染者数の増加リスク(外出規制緩和後に再度感染者数が増加に転じる第2波リスク)、E南アフリカ国債利回りの上昇に伴う財政赤字拡大懸念、F南アフリカ中銀による追加利下げ観測(来週5/21のSARB金融政策決定会合で50bpの利下げに踏み切る見込み)など、不安材料は山積みです。
以上の通り、南アフリカランド円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。新型コロナウイルスの感染拡大に端を発した南アフリカ経済への下押し圧力や、WGBIからの除外を受けた資本流入経路の縮小、米中対立懸念の高まりを受けた南アフリカ経済への波及リスクが重石になると見られ、当方では引き続き、南アフリカランド円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします(来週は南アフリカの製造業生産高や小売売上高、S&Pによる南アフリカ格付け見直し、南ア中銀政策金利発表など材料目白押し)。
来週の予想レンジ(ZARJPY):5.50ー6.00
南アフリカランド円日足
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